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DAZN観戦 2022年J2リーグ第41節 ファジアーノ岡山vsブラウブリッツ秋田

2022-10-19 18:11:05 | サッカー視聴記(2022年J2)

※前回の岡山の記事はこちら(36節・徳島戦、0-1)
※前回の秋田の記事はこちら(39節・熊本戦、2-1)

<前節からの変更>

岡山=ステファン・ムークの出場停止も含め3人変更。そのムークの左シャドーには河井が入る。その他は左ウイングバックが成瀬→佐野、FWの片割れが永井→チアゴ・アウベス。チアゴはベンチ外が3試合続いたが復帰即スタメンと、負けられない戦いを控え出し惜しみは無い模様。

秋田=2人変更だが、その2人はドイスボランチ両方と異色の入れ替え。稲葉・藤山が揃ってベンチ外となり、スタメンに入ったのは江口・井上。ベンチに出来た穴には、吉村が今季初のメンバー入りを果たす。

スタメン

2強(新潟・横浜FC)以外で、唯一自動昇格の可能性を残しているのが岡山。
それでも残り2戦全勝がマストという厳しい条件であり。
そんな特別な試合となったホーム最終戦、選手入場時のアンセムはいつものものでは無く、演奏団によるJリーグ公式アンセムが流された辺りにいつもと違う感が高められたでしょうか。(といっても岡山は定期的に演奏団を採用している)

対戦相手の秋田も、中心選手の稲葉不在というイレギュラーを抱えて挑み、また前半戦のチームメイトであった輪笠が敵として相対する事象も発生。
前半2分に早くも右サイドから江口がロングスローを投げ入れ、ニアサイドでの青木のポストプレイを経て茂がダイレクトでシュート(枠外)という得意手を見せます。
しかしこれにより岡山サイドも、以降徳元のロングスローを常用する流れが出来上がり、ロングスローの応酬という絵図が繰り広げられる事に。

戦術的には、ロングボールを多用する立ち上がりを経た岡山が、次第にビルドアップの際に秋田のプレッシングを受ける立場に移り変わり。
しかしその幕開けである9分、右サイドで柳がパスを受けた所に秋田は茂が喰い付き、「2トップ+サイドハーフ1人」によるプレッシングの姿勢を見せ。
柳→河野へ出された所にさらにサイドバックの才藤が出ていった所、河野のミドルパスでかわされるというシーンを作ってしまった秋田。(このパスをチアゴが落とすも繋がらず)
これを受けた秋田は、岡山のウイングバックにSHが付く体勢を崩さず、破綻を防ぐ事を重視します。
それでも、岡山はSBに近い属性の左センターバック・徳元が控えているので、彼と左WB(佐野)の二枚看板を軸にした左サイドアタックを防ぐのに難儀する秋田。

一方秋田の攻撃は、立ち上がりの時間を過ぎたのちもロングボールを軸とする平常運行。
ゴールキックなど最後尾からの蹴り込みは、右SHの中村をターゲットとする姿勢はほぼ不変。
これにより2トップを2人ともその前方に配置でき、繋がった際はより圧力を持った速攻が出来るという印象でした。
24分にはその流れ(GK田中雄大ロングフィード→中村フリック)から、さらに青木の落としがエリア内へ繋がり、齋藤恵太がシュート。(GK堀田キャッチ)

空中戦(ヘディング・ダイレクトパスの応酬によるボールの右往左往)のシーンも膨れ上がり、そこから生まれる好機。
27分にはクリアボールを岡山・輪笠が拾い、チアゴに繋がってミドルシュートが放たれたもののエリア内で秋田・千田がブロックで防ぎ。(その後さらにチアゴが連続でミドルシュート、枠外)
続く28分今度は井上が拾って秋田の攻撃、左サイド奥を突いて茂が左ポケットからマイナスのクロス。
これが誰も居ない中央へと転がり、後方から走り込んだ井上がシュートするも、岡山・河井のブロックに阻まれゴールならず。

エアバトルでは互角以上といった秋田ですが、岡山の左サイドアタックには苦戦が続き。
数的不利を嫌ってか、次第にボランチの江口が右に流れて前進を防ぐというシーンが増え。
すると岡山は左→右へのサイドチェンジも絡め始めるという具合に、ドツボに嵌ったような守備を強いられていったのが30分台。
そんな状況を受け、以降はSHの片側が降りての5バックの姿勢を取るようになりました。
しかし中村・茂のどちらが降りるのかは決まっていないといった感じで、両方降りてしまい6バックに近い布陣も見られ。
42分にはその6バックの体制から、池田が前に出てパスカットに成功した事でカウンターに持ち込み、齋藤恵のドリブルの横で並走する池田。
そしてパスを受けて左からクロスを入れる(ブロック)という、CBらしからぬ好機の絡み方を見せました。

それでもハッキリと引く姿勢になった事で、終盤は岡山が攻撃権を支配。
徳元のロングスローも多くなり、堅固な守備をこじ開けんとしましたが、さしたるフィニッシュは放てず時間は過ぎていき。
結局スコアレスのまま前半を終えました。

ハーフタイムでの交代は無く迎えた後半。
試合絵図は大きく変わらずも、秋田はHTを挟んだ事で基本の4-4-2ブロックを維持する微調整を行い。
しかしそれにより立ち上がりから岡山が攻勢を掛け、前半同様に左サイドで繋いでの前進、空中戦からボールを確保しての攻撃を絡めて作られる好機。

そして迎えた後半5分、右サイドからの攻めで河野のスルーパスを受けたチアゴが奥で溜めを作り、マイナスのクロスをエリア内へ送り。
これを中央で河井が合わせシュート、GK田中雄が触れるもゴール左へと突き刺さり
自動昇格に向け、欲しかった先制点を獲得した岡山。
河井は移籍後初ゴールとの事で、この押し迫った時期に初ゴールが胸すく先制点となった事によりホームの雰囲気も高揚します。

逆にカウンター主体の秋田にとって、リードを奪われる事は苦しいの一言であり。
ともに逆転負けが皆無という今季の成績も、その色を一層強める要素。

その後も秋田のアバウトな前進を凌ぎつつ、攻撃権を確保する岡山。
リードした事でその振る舞いは盤石に映っていたものの、11分にゴールキックの際、ヨルディ・バイスがGKに代わってそのままロングフィードを蹴るというシーンが見られました。

それでも全体の姿勢は変わらず、14分には徳元のロングスローから2点目を奪わんと攻勢を掛け。
こぼれ球をチアゴがミドルシュート、ブロックに阻まれるも尚もボールを確保し、バイスや柳といったターゲットマンをエリア内に残してチャンスを伺う岡山。
しかしそれが仇となり、デュークのポストプレイが柳に繋がらず、クリアボールを青木に拾われると一気に秋田の得意手のカウンターに持ち込まれます。
スルーパス一発で裏を取られると、齋藤恵がそのスピードで岡山・河井を追い抜いて受けてドリブルに入り、そのままエリア内に切り込みシュート。
そしてゴールまで奪ってしまうという、凄まじい前へのパワーを見せたロングカウンターを完遂させて同点に追い付きました。

主体的に攻め上がる一方で、カウンターも警戒しなければならない岡山。
尚も16分に敵陣でボール支配を軸として攻めるも、またもデュークのポストプレイがズレた所を秋田・茂に拾われる事態となりましたが、ここは輪笠がカバーして防ぎ。
さらに18分には、パスを空振りするというミスで青木に拾われるシーンを作ってしまい。(その後右サイドから中村がクロスも精度欠く)

じっくり繋ごうとするとカウンターを意識して堅くなり、かといってロングボール攻勢も秋田の硬さ(同点以降再び5バックへの色が強まる)の前に難儀。
攻撃権は握るも、目立ったフィニッシュはチアゴのミドルシュートぐらいといった岡山のこの時間帯となりました。
膠着状態となった所で、22分に両者ベンチが動き。
岡山はチアゴ・田中雄大→永井・ハンイヴォンへと2枚替え。(ハンイヴォンは左WBに入り、佐野がシャドーに回る)
秋田は齋藤恵・中村・茂→武・小暮・三上へと一挙に3枚替え。

中村というターゲットが退いた事で、以降秋田の攻撃はロングボール・スローインをひたすら青木目掛けて入れるという姿勢へ。
つまりは攻撃に拘わる枚数が1人減る事を意味し、その通りにフィニッシュに繋がる攻撃は殆ど無くなり、ただ陣地を押し戻す意味合いの域を出なくなります。

岡山が秋田ディフェンスを破れるかどうかに懸かってきた風である試合の行方。
29分には自陣でのスローインから徳元の左→右サイドチェンジを経て、受けた河野のアーリークロスにデュークが合わせヘディングシュート。(枠外)
秋田のブロックが揃う前に、という姿勢を見せるも勝ち越しはならず。
左WBがハンイヴォンに代わった事で、徳元もコンビネーションで左サイドを踏襲するという事が出来ず、逆サイドへのフィードという選択が多くなり。
31分に再び左サイドからロングボールを送る徳元、今度は裏への対角線のロングパスで、受けた永井が右サイド奥からのクロス。
そしてニアサイドに入り込んだデュークが再度ヘディングシュート(枠外)と、何とかストロングヘッダーにゴールを齎さんと手を変え品を変え。
(30分に岡山は河野・河井→成瀬・仙波に交代)

守勢を強いられる秋田は、31分に井上→小柳へと交代。
ボランチの強度を高め、岡山の圧力を跳ね返しに掛かります。

33分にはハンイヴォンが左サイドからカットインシュートでゴールを狙うも、右へ大きく逸れてしまいタッチを割る結末に。
連係が落ちつつある中、個の力で何とかしようという意図は見られるも空回りといった印象。
それでも34分にハンイヴォンの切り込みから左CKを得て、ここからCK攻勢に入る岡山。(キッカーは全て仙波)
3本目の右CKの後、防いでマイボールにした秋田ですがバイスがボール奪取し尚も継続する岡山、エリア内左奥からのハンイヴォンのクロス。
仙波のポストプレイを経て、成瀬がダイレクトでシュートを放つと秋田・千田がブロック。
これが千田の左腕に当たったとして、岡山サイドはバイス・柳といった「激しい剣幕で詰め寄る」人材が揃っている状況そのままに、主審に詰め寄って抗議する一幕を生んでしまいます。
当然ながら判定は覆る訳も無く、その後の4本目のCKもモノに出来ず。

乾坤一擲のシュートも実らなかった事で、以降岡山の攻撃は「ただ圧力を掛ける」といったものに落ち込み。(40分に輪笠→本山に交代)
CKや徳元のロングスローのシーンは膨らむも、単なる放り込みに映る攻撃も多く、秋田の姿勢とも相成り「玉蹴り」の応酬という流れも生まれます。
44分に秋田が右サイドで加賀の縦パスから前進していく攻撃を仕掛け、それを防いだ岡山がカウンター。
バイス→永井→ハンイヴォンと各々ドリブルを交えつつ繋いでいき、左からハンイヴォンがカットインでエリア内左を突いてクロス。
大外で成瀬が足から跳び込むも僅かに合わずと、形になったという観点ではこの攻撃が最も惜しかったでしょうか。
それでもどうしても勝ち越し点が奪えないまま、時間はアディショナルタイムへ。

何としても2点目が欲しい岡山の絵図を見て、「リードしているのは秋田」という錯覚も生まれかねない状況。
試合を落ち着かせんとするように、秋田のスローインの際に加賀が遅延行為で警告を貰ってしまった事もそれを加速させ。

そして最後は、岡山サイドにもその意識が生まれてしまったでしょうか。
秋田が右サイドのスローインからパスを繋ぎ、奥を取った小暮が低いクロスを入れると、ボールはフリーになっていた青木の下へ。
放たれた青木のシュートがゴールネットを揺らし、自動昇格への幕を下ろす勝ち越し点となりました。
とにかくゴールを……という意識が、岡山ディフェンスの足を止めてしまったかの如き失点でした。

その後も諦めずに攻める岡山、2本得たCKではGK堀田も前線に上がってゴールを狙いましたが、実る事は無く。
1-2のまま秋田が勝利に辿り着き、ナイトゲームの横浜FCの結果を待つ事無く、順位が確定する運びとなりました。(横浜FC2位・岡山3位)
最後は今季初の逆転負けという形で自動昇格が絶たれてしまいましたが、何とか切り替えてプレーオフに挑んで貰いたいものです。

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DAZN観戦 2022年J2リーグ第41節 ザスパクサツ群馬vsいわてグルージャ盛岡

2022-10-18 16:01:15 | サッカー視聴記(2022年J2)

※前回の群馬の記事はこちら(34節・栃木戦、1-1)
※前回の岩手の記事はこちら(37節・熊本戦、0-1)

<前節からの変更>

群馬=2人を変更し、その2名はいずれもFW。平松・鈴木→北川・長倉へと入れ替えたうえ、前節右サイドハーフの加藤がFWに入り北川との2トップ。それに伴い長倉は右SHとなった。

岩手=こちらも2人変更、いずれも前線の選手と同様。クリスティアーノ→ブレンネル、中野→オタボーと入れ替え。出場停止のビスマルクに代わりメンバー入りしたのは石井で、実に7試合ぶり。

スタメン

前節の時点で、降格の可能性は琉球・岩手・群馬の3クラブに絞られ。
その中でも岩手と琉球は、残り2戦全勝が必須という状況であり。

そんな状態で、今節岩手は群馬との直接対決を迎えました。
群馬が勝つと岩手のみならず、琉球の降格圏も確定してしまうという、完全にキャスティングボードを握られている2クラブ。
琉球にしてみれば、ライバルであるはずの岩手の勝利を憚らずも祈らなければならないという可笑しな現象となっており。
外野から見れば最終節まで縺れて面白くして貰いたい所なので、その期待を一身に背負う?事となった岩手。

試合が始まると、ホームの群馬は相手の狙いを逸らすように、ロングフィードを中心に攻撃を組み立て。
最終ラインのみならず、フィードに定評あるボランチの岩上も控えている状況で、かつプレッシング意欲が旺盛な岩手相手では当然でかつ最適な選択だったでしょうか。
そうして陣地を押し込んだうえ、敵陣深めでスローインを獲得すると、スローインにも定評ある岩上が多彩なボールを投げ入れ。
ロングスローを匂わせつつ(ただしセンターバックは上げない)、近場の味方に出したり、低いボールでポケットを突いたりと工夫を見せて揺さぶりを掛けます。
勝利が必須の岩手は中々マイボールにする事が出来ず、必然的に攻撃機会も少なくなる苦しい状況に。

そうした状態へ相手を押し込んだうえで、12分には左サイドをショートパスで前進していき、加藤のグラウンダーでのクロスをニアサイドで北川が合わせシュート。(左サイドネット外)
このグラウンダーのクロス攻勢に、後々手を焼く事となった岩手。

迎えた18分、右サイドのスローインから右コーナーキックを得ると、ショートコーナーを選択。
一旦中央まで戻されたのち、エリア内から下がって受けに来た畑尾からロビングが上がると、エリア内右で岩上が落としたボールを加藤が奥で受け。
ディフェンスに挟まれながらもマイナスのクロスを入れると、狭い所を通して北川が合わせ、GK松山を弾いた末にゴールネットを揺らします。
必死の防衛も防ぎきれなかった岩手、この日も常時ビハインドを強いられる事となりました。

何とか追い付きたい岩手は、得意手のロングボール攻勢に活路を見出し。
ブレンネルのみならず、右サイドの宮市をターゲットにする二方面作戦で的を絞らせ辛くし、押し込む事に成功します。
24分には敵陣でのボール奪取から繋ぎ、ブレンネルがエリア内へミドルパスを送り、宮市右から折り返し→オタボーシュートでネットを揺らしましたが(宮市が)オフサイドを取られてノーゴール。

奥山がワイドに開いて切り込むというもう一つの得意手も見せ始め、反撃体制を整えたかに見えた岩手。
しかし押し込まれるのを受けた群馬、守備時は5バックの体制を採り始めスペースを消しに掛かります。
加藤と高木友也が一列ずつ降り、5-4-1の布陣で相手の圧力を跳ね返す事に努め。

41分に岩手は和田のエリア内へのミドルパスにブレンネルが走り込み、右で受けてカットインからフィニッシュを狙ったもののGK櫛引に阻まれ。
これで櫛引がブレンネルとの接触で痛むシーンが見られたものの、前半の岩手の好機はこれが最後となりました。
以降は立ち上がりのような、群馬・岩上がスローインで変化を付けるシーンへと舞い戻り。
そしてアディショナルタイムに決定機を迎え、左サイドでラフな前進ながら加藤・高木友の2人で裏を取り、高木友からのグラウンダーのクロスをニアサイドで長倉が合わせ。
またもやグラウンダーのクロスからのシュートでしたが、ここはGK松山が足でのセーブで防ぎ追加点はならず。

群馬の1点リードで前半を折り返し。
2点取らなければならない岩手、ハーフタイムに手を打ちオタボー・和田→クリスティアーノ・中村充孝へと2枚替えを敢行。
果たして後半巻き返せるか、それとも降格への誘いに抗えずとなるのか。

その入りの群馬のキックオフ、城和のロングパスからいきなりフィニッシュまで繋げる事に成功。(セカンドボールを拾った岩上がミドルシュート・GK松山キャッチ)
さらに続く後半2分にまたも決定機、岩上がダイレクトでのミドルパスを続ける攻撃で、2本目が高木友に繋がってそのままエリア内左へ切り込みグラウンダーでクロス。
そしてニアサイドで北川が合わせるというこの日定番の流れで放たれたシュート、GK松山がセーブしたボールがポストに当たり、跳ね返りを北川に詰められるも松山が何とか抑え。
反撃どころか更なる失点も覚悟しなければならない流れを描きましたが、直後にカウンターを仕掛け、ブレンネルのエリア内左からのシュート(枠外)が放たれた事で何とか押し止めます。
攻撃も守備も一矢を繋ぐといった感じですが、他に手法があれば降格寸前のクラブとはなっていないはずなので仕方が無い。

クリスティアーノのフィジカルが加わった事で圧力が増したのは確かであり、クロスに合わせにいったクリスティアーノに対し、GK櫛引が激突しながらボールを抑えるというシーンも見られ。(8分・当然反則)

しかし11分敵陣でのパスミスで攻守を交代させられる岩手、群馬・高木友のミドルシュートまで繋げられ、ブロックで方向が変わったボールをGK松山が何とかセーブしてCKへ逃れ。
松山が何点防いだか解らない展開となってきましたが、そのCKでついに破綻。
キッカー岩上ファーにクロス→畑尾折り返し→加藤ボレーシュートという綺麗な流れを決められ、2点差に。
大外に上げられた事で、ゾーンの布陣の殆どがボールウォッチャーにさせられてしまったこの場面での岩手。
散々グラウンダーのクロスでピンチを作られた影響か、セットプレーでのクロス対応も曖昧になってしまっていた感がありました。

さらに直後の13分、高木友が敵陣でボールカットしてそのままエリア内左へ切り込みシュート(GK松山セーブ)と、勢いそのままに3点目を狙う群馬の攻撃。
岩手はどんな形でも良いから助かるに越した事はない、といった状態でしょうか。
14分、敵陣浅めでボールを受けたブレンネルが反則を受けフリーキックを得ると、中盤に近い位置ながらもキッカー中村太亮の放り込み。
エリア内やや右へ上がったボールをクリスティアーノが合わせると、ループの軌道でゴール左へと吸い込まれ。
強引な域を出ない攻撃ながらも、1点を返す事に成功します。

しかし直後の群馬のキックオフからの攻撃で、それはすぐに無に帰す事に。
後方から岡本が裏へミドルパスを送ると、北川はオフサイドポジションに居たため受けにいかず下がり。
それに対し岩手ディフェンスはあろう事か足を緩めてしまい、抜け出した長倉に拾われるという事態になってしまいます。
そのままエリア内に進入し、GK松山の上を抜くループシュートでゴールを奪った長倉、1分と経たずにすかさず2点差へと戻しました。
必死に長倉を追走したディフェンスリーダーの牟田でしたが、その報酬は失点に加えて自身の筋肉系トラブルという無情なものとなりました。(キックオフ前に深川へと交代、リベロの位置には甲斐)

これで単なる2点差よりも、一層ダメージが大きい(と思われる)状況となった岩手。
引き気味となった群馬ディフェンスに対し、中村太が中心となってクロスを連続して入れる攻撃を目立たせたものの、ゴールが遠いのは相変わらず。

群馬は20分に最初のカードを切り、北川→平松へと交代。
焦る岩手を逆手に取るように、22分に裏を突く攻撃で押し込んだ末に右CKを得ると、またも得点に辿り着きます。
キッカー岩上の中央へのクロスから、畑尾がヘディングシュートというシンプルな流れでゴールを奪い。
それでも手前で跳んだ城和に対して釣られるという具合に、岩手のこの日のセットプレーでの脆さはさらに際立つ事となりましたが。

後半はずっと5-4-1の守備を貫いていた群馬。
それを補強すべく25分に2枚替え、加藤・小島→川本・川上へと交代します。
これで3バックは3人ともCBが本職となり、岩手に一縷の望みも与えずといった立ち回り。

27分にFKを得た群馬。
クリアされたボールをキッカーだった岩上が拾い、川本がエリア内左からグラウンダーでクロスと、人が変わっても不変の攻撃の流れ。
ディフェンスに当たってこぼれるも拾った長倉が後方へ繋ぎ、岩上がミドルシュートを放ちましたがゴール上へと外れ。
まだ点が入りそうな予感を孕ませると、その2分後の29分でした。
細貝のラフなロビングを平松が足でトラップ、それだけで食いついた岩手・甲斐をかわすに至り、そしてエリア内左へ切り込み。
放たれたシュートがゴール左に突き刺さるという、実にあっさりとした流れで5点目を挙げました。

既にディフェンス陣の心は折れていたと言われかねない岩手。
32分に2枚替え(ブレンネル・小松→色摩・石井)を敢行し、何とか燃料を補填し戦う姿勢を見せに行きます。
もはや残留の望みはほぼゼロ(琉球も)ですが、諦める姿を見せる事は当然許されず。

しかし同様にメンバーをフレッシュにした群馬(長倉・岩上→鈴木・奥村)の攻撃を尚も受け続け。
新たに投入されたFWの鈴木や川本も、ライバルに後れを取るまいという姿勢でフィニッシュを放ち。
岩手は反撃の道筋も中々辿れない流れで、とうとうATに突入します。

群馬が完全に退く姿勢となった事で、ようやく押し込み続ける流れを得た岩手。
クロス攻勢は跳ね返されるも、セカンドボールを拾い続けて分厚い攻めを敢行しますが、単調な域を出ず。
早いうちに手数を見せていれば相手の破綻の可能性も上がっていたでしょうが、時既に遅し。

そして試合終了、ならびに残留争いの終焉を告げる笛が鳴り響き。
快勝で残留を決めた群馬を尻目に、降格圏の順位が決定した岩手。(と琉球)
J3の昇格争いに目を移すと、首位を快走しているいわきの「J2ライセンスが認められない」事に期待するしか無く。
前年の「J2ライセンスが無い宮崎が2位以内に入る」事より、さらに情けない他力本願な気がしますが、それしか方法が無いので仕方無い。
試合直後、J2昇格の功労者である秋田豊監督の退任も決定。
一旦リセットを強いられるような流れですが、まずは残された1試合を悔い無く戦い最下位脱出を果たしたい所でしょう。

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TV観戦 天皇杯 第102回JFA全日本サッカー選手権大会決勝 ヴァンフォーレ甲府vsサンフレッチェ広島

2022-10-17 16:00:54 | サッカー視聴記(2022年その他)

<甲府スタメン> 3-4-2-1
GK 河田
RCB 須貝 CCB 浦上 LCB エドゥアルド・マンシャ
RWB 関口 DH 石川 DH 山田 LWB 荒木翔
IH 長谷川 IH 鳥海
FW 三平
<広島スタメン> 3-4-2-1
GK 大迫
RCB 塩谷 CCB 荒木隼人 LCB 佐々木
RWB 茶島 DH 野津田 DH 川村 LWB 柏
IH 森島 IH 満田
FW ドウグラス・ヴィエイラ

前回の天皇杯の記事- 準決勝・京都vs広島

鹿島までもを破り、とうとう決勝戦まで辿り着いたJ2・甲府。
「お前らの奇跡はもう終わった」とばかりに立ちはだかってきたJ1クラブを、悉く退けて決勝の舞台・日産スタジアムに降り立ったメンバー。

まるでフィクションの物語内のような展開ですが、反面非情な現実は、リーグ戦において嫌という程突き付けられており。
準々決勝(福岡戦・2-1)以降、リーグ戦では勝利どころか勝ち点を全く積み上げられない状態に陥ってしまい。
1週間前の40節・岡山戦でも敗れ(1-2)、とうとう7連敗というその成績は、リーグ戦を捨てているのかと揶揄されかねず。
かくして今週予定されていた41節(町田戦)は、勝ち上がりにより水曜に回される事となり、大事な大事な一戦を迎えました。

共に3-4-2-1をフォーメーションとするミラーマッチ故、プレッシングサッカーが主体の広島にとっては、中途半端なポゼッションに拘るクラブは格好の餌。
前半1分に早くも佐々木が敵陣でパスカットし、そこから(森島の)クロスにまで持っていくという具合に持ち味を発揮させます。

そのため普段は繋ぐサッカーを根底とする甲府も、裏狙いの姿勢を一定割合で見せなければならずといった所ですが、それは前回の準決勝・鹿島戦でも同様なので大したギャップにはならず。
5分山田の裏へのミドルパスに三平が走り込み、エリア内で受けましたがこれはオフサイド。
このシーン以外は広島の圧力に苦しみ、満田にボール奪取された浦上がすかさず反則を犯してしまったり、自陣でスローインを受けた三平が手に当ててハンドを取られるなどで広島にセットプレーを与える苦しい流れを描きます。

そんな試合絵図が変わったのが15分。
石川が中盤中央で反則気味にボールを奪うと、広島のゲーゲンプレスを山田がドリブルでかわしての好機。
荒木翔の縦パスを受けた長谷川がエリア内左へ切り込みシュートにいき、ミートせずDFに当たったボールをさらに鳥海が詰めてシュートしましたが、オフサイドディレイで実らず。
しかしこれでペースを掴み、直後の攻撃では一旦途切れるも右サイドで関口がカットして継続、そのまま広島・佐々木の股を抜くスルーパスを通し。
受けた長谷川がエリア内でシュート(GK大迫セーブ)と、ゴールに近付くシーンを見せました。
20分には須貝が右サイドを駆け上がってクロス、流れるも逆サイドで拾って継続し、長谷川が広島・佐々木のマークを離れた隙を突いて中央からパスで前進。
そして鳥海がミドルシュートを放つ(広島・荒木隼がブロック)という具合に、普段の攻撃さながらの流動性も表れるに至り。

逆に広島が攻めあぐみを見せ、相手に奪われない事を重視したようなビルドアップも却って甲府の守備意識の前に通じず。
そうした流れで迎えた26分、中盤からのフリーキックで放り込みを選択した甲府、その後GK河田のフィードからの再攻撃で左サイド奥を突いてコーナーキックに。
この左CKでキッカー長谷川はショートコーナー、山田の返しを受けたのち左ポケットへのスルーパスを選択し、走り込んだ荒木翔からマイナスのクロス。
これをストライカー・三平がニアサイドで綺麗に合わせ、ゴールネットを揺らして欲しかった先制点に辿り着きます。
戦力的に不安が過る中で、セットプレーをモノにして以降リードを凌ぎに掛かるという、トーナメント戦ならではの必勝パターンに持ち込んだ甲府。
同じ天皇杯決勝という事で思い出させるのが、2018年の浦和vs仙台の戦いでしょうか。

あろう事か先制された広島。
意気上がる甲府に対し、31分には野津田の(甲府・鳥海への)アフターチャージによるFKから、須貝のヘディングシュートでゴールを脅かされ。(GK大迫キャッチ)
続く32分にはパスカットした甲府・マンシャを引っ掛けてしまった森島が反則・警告を受けるなど、反撃したい意識が空回り気味となり。
その後何とか試合を落ち着け、自身がボールを握る展開に持ち込むも、前回鹿島が嫌という程味わったように守備を固める甲府の背中を追い掛ける戦いを強いられます。
野津田が最終ラインに降り、塩谷を前に押し出すという可変の色を強める事でボールは回せるようになったものの、次に待ち構えるのは甲府の5-4-1ブロックをどう崩すかという課題。

こうなると、比較的薄いサイドからの前進を余儀なくされるしか無く。
41分にはスルーパスに走り込んだ川村が奥からマイナスのクロスを入れるも、ニアに走り込むヴィエイラには合わず。
このシーン然り、ターゲットになるべく中央で張っていたヴィエイラですが、それ故に甲府の守備の前にボールが来る事は稀であり。
サイドは他の選手で崩すという役割が明白な分、相手にとっても守り易いといった状態に陥っていたでしょうか。
結局リードされたのちはフィニッシュに辿り着く事は無かった広島。

前半を終えて1-0で甲府リードと、大アップセットへの期待が高まる中で過ぎ去ったハーフタイム。
勝負を賭けるべく2枚替えを敢行した広島のミヒャエル・スキッベ監督。
ヴィエイラと森島に代え、ナッシム・ベン・カリファとエゼキエウの両助っ人を投入します。

立ち上がりは一進一退。
裏狙い中心にエリア内を突かんとする甲府に対し、広島も裏狙いを敢行しますが、その橋頭堡となったカリファの動きが旺盛であり。
明らかに甲府DFの方が近いというスルーパスにも、スピードで追い越して先に追い付き脅威を与えるカリファ。
広範囲に動き、サイドに開く事も厭わないというヴィエイラとは異なるその働きに、前半とは違った守備対応を強いられる甲府サイド。
後半9分、ボールカットした荒木翔がすかさず無理目のロングシュートを放つ(枠外)など、そうした恐怖と相対した故の焦りが見え始め。

そんな相手の隙を突きたい広島。
13分には浮き球を収めようとしたカリファが甲府・須貝に倒され、中央やや右という位置での直接FK、キッカー野津田は直接シュートを狙いますが壁に当たって枠を外れ。
16分には佐々木の裏へのロングパスを例によってカリファが走り込み、クリアされるも川村が繋いだボールを、反転シュートに持っていったカリファ。(甲府・浦上がブロック)

守備で奔走させられるようになった甲府。
17分に交代カードに手を付けて2枚替え、三平と鳥海に代え、ウィリアン・リラと松本凪生を投入。
さらに21分には荒木翔→野澤陸へと交代、入れ替わるように須貝が左ウイングバックに回るという具合に、早くもクローザー投入を余儀無くされます。
その後は前線にリラだけが残り、クリアボールが彼に繋がれば……という姿勢を強いられる事となり。

一方の広島は25分に茶島・柏→野上・松本泰志へと2枚替え。(川村がボランチ→左WBに回る)
何とか攻勢を結果に繋げたい所で、29分に甲府が一糸の流れを掴んでの好機。
即ち1トップのリラへボールが繋がった事で、ドリブルでエリア内右へと持ち込んだリラがシュートを放つと、ボールは伸びる軌道で広島ゴール上部を襲い。
しかしゴールバーに当たって枠外と、試合を決める追加点は得れず終わりました。

広島にとっては肝を冷やすシーンでしたが、気を取り直して甲府陣内へ圧力を掛け。
33分には直前に浦上がボールを腕に当てるもハンドを取られなかった事で、広島サポーターから上がるブーイング。
これに動揺したのか山田がボールを空振りしてしまい、野津田が奪って広島の好機。
満田がエリア内を突き、ディフェンスに遭いこぼれた所を野津田がミドルシュート(枠外)と、ミスを突いて攻撃するも実りません。

着実に相手のダメージは高まっていくも、肝心の得点が得られない広島。
34分に野津田→ピエロス・ソティリウに交代と勝負手を打つ(満田がシャドー→ボランチへ回る)も、時間も押し迫りビハインド故のプレッシャーとも戦わなければならない状況となります。

38分右サイドで野上が甲府・須貝の股を抜くスルーパス、これに松本泰が走り込んでクロスを入れるも、中央のソティリウには合わず。
ターゲットを増やしたうえでサイド奥を突き、クロスを入れるという姿勢で何とか得点を奪えれば……といった感じでしたが、それを逆手に取るような攻撃でついに結実。
続く39分左サイドから、エゼキエウのキープからの持ち運びでアタッキングサードに進入すると、またも甲府・関口の股抜きでのスルーパス。
しかし今度はエリア内左を突くパスで、走り込んだ川村もクロスでは無くシュートを選択すると、GK河田のセーブを掠めてゴール上部へと突き刺さるボール。
堅守をとうとう打ち破り、同点に追いついた広島。

しかしラストパスを出したエゼキエウが足を痛めてしまい、倒れ込んでプレー続行は微妙なものとなってしまいます。
既に交代枠も無く、何とかピッチに復帰したエゼキエウですが足を引きずりながらのプレーを強いられ。
その後1トップの位置に入り、後半終了まで凌ぐ事となりました。

それに併せ、野上と塩谷のポジションを入れ替える策も敢行した広島。
その右サイドから前進する姿勢を見せつつ、突入したアディショナルタイムでは満田のロングパス一本で裏を取ったカリファ、エリア内へ進入してループシュートを狙い。
しかし前に出たGK河田がブロックして防ぎ、勝ち越しは許さず。

ATは6分もあったものの、やはりエゼキエウの負傷により実質数的不利なため際立った攻勢は掛けられない広島。
一方の甲府も、一度後ろ重心となった意識を少ない残り時間で戻すのは並大抵の事では無く。
結局、甲府はリラが、広島はカリファが1本ずつヘディングシュートを放ったのみに終わり。(両者とも枠外)
1-1のまま後半終了を告げる笛が鳴り、延長戦に突入となりました。

交代カードが1つ補充されたものの、前述の通りエゼキエウ負傷のため、即使用する事を余儀無くされた広島。
投入されたのは住吉ジェラニレショーンで、これにより満田がシャドーに戻り、野上が右WB・塩谷がボランチかと勝手に予想を立て。
しかしシャドーに入ったのは塩谷で、満田はボランチのままという変節を見せました。(野上は予想通り右WBへ戻る)
前線をフィジカル重視へと舵を切った形となったでしょうか。

その入りの延長前半1分、ロングボール攻勢からソティリウが甲府・野澤陸に反則を受けた事で早々に直接FKを得た広島。
左ハーフレーン・エリアからすぐ手前という絶好の位置で、キッカー満田は当然直接シュートを放ち。
これがゴール右上を襲うもバーを叩いて跳ね返り、拾った荒木隼がハンドを取られて終了と、惜しくもモノに出来ず。

以降はパワープレイ気味にロングボールを多用する広島と、それを凌いでハッキリクリアしたい甲府による蹴り合いといった絵図となる試合。
着実にダメージを与えていくスタイルを採った広島、カテゴリの違いを存分に活かすといった立ち回り。
10分にはスルーパスを左サイドでカリファが受け、戻しを経て満田がミドルシュートを放ちますがGK河田がセーブ。
12分には再び左サイド奥でカリファが持ち、戻しから川村がグラウンダーでクロスを入れ、塩谷のスルーを経てソティリウがシュート体勢に入るもブロックされて撃てず。
15分には再度カリファのボールキープから、パスを受けた河村が左ポケットを突いてグラウンダーのクロス。
シュートともとれるようなこのボールに、ファーサイドでソティリウが足から跳び込みましたが惜しくも合わずと、甲府を押し込み続け。
一方の甲府は11分に長谷川→ジェトゥリオに交代するも劣勢は明らかで、何とか失点は防ぎ延長前半を終了させます。

迎えた延長後半、再び開始1分で甲府・松本凪の反則により、広島が直接FKのチャンス。
しかし今度は距離が遠く、中央から満田が放った直接シュートはゴール上へ大きく外れ。

度重なる広島の攻勢で甲府はダメージを隠す事すらままならなくなり、4分にはスルーパスに走り込んだソティリウを防ぎにいった浦上。
ソティリウに反則を受けると同時に足を攣らせてしまったようで、一旦はプレーを継続するも交代措置が採られる事となります。
この土壇場でディフェンスリーダーを代えざるを得ないというスクランブルで、代わって投入されたのは大ベテラン・山本。(7分・同時に山田→フォゲッチへと交代)

山本はボランチに入り、3バックは須貝が再び右CBへと戻り、中央が野澤陸に。
タイトルを獲るかどうかという中で、甲府の象徴的存在がピッチに立つという運命的な試合となり。(なお山本の最後の出場は35節・大宮戦、スタメンフル出場)
しかしその山本自身が、試合を左右するシーンも演出してしまうとは予想不可能だったでしょうか。

9分に野上のグラウンダーのクロスを塩谷が合わせシュート、これを須貝がブロックと、相変わらず際どい凌ぎを強いられる甲府。
続く10分には広島の攻撃を断ち切るも、自陣で拾ったリラがノールックでヒールパスという難しい繋ぎを選択した結果、再度広島ボールとなり右サイドから住吉のクロス。
これをブロックで防ぐも広島はスローインを素早く入れ、受けた満田がエリア内へスルーパスを送ると、それをカットにいった山本。
しかしここで開いた左腕に当ててしまうと、無情にもハンドの反則を告げる笛が鳴り、エリア内という事で広島にPKが与えられてしまいます。
圧力にとうとう屈したというような形で、絶体絶命のピンチ。

決めれば勝利は濃厚という重要なPK、キッカーを務めるのは満田。
細かい助走からゴール左へとシュートしますが、GK河田は読み切って跳び付き、これをセーブしゴールライン外へと掻き出します。
守護神の大ファインプレーにより寸での所で凌いだ甲府、まだ勝負は判らず。

どちらに転ぶのか全く不透明な展開を受け、その熱気はピッチ外でも同様であり。
15分にリラが広島・満田のドリブルを反則で止めてしまうと、激しく判定に抗議を行う甲府・吉田達磨監督。
そして警告を受けてしまうに至りましたが、お構いなしと言わんばかりににその後も攻勢を続けた広島。

しかしPKという決定機を逃した影響は大きく、とうとう得点を奪えぬまま延長後半終了・ならびにPK戦突入を告げる笛が吹かれました。
コイントスにより広島ゴール裏でのPKとなり、先行は広島。

1本目はともに1トップが務め。
広島はソティリウがライナーのシュートを左へ突き刺し成功。(GK河田は届かず)
甲府はリラがGKの逆を突くシュートを左へ決め成功。
キッチリ決めた助っ人により、幕は開かれました。

2本目は広島=松本泰・甲府=ジェトゥリオ。
1本目とは反対に、広島がGKの逆を突き・甲府がGKの取れないコースに蹴り込みという形で両者成功。

3本目は広島・カリファと甲府・松本凪が、ともにGKの逆を突いて成功。

そして迎えた4本目、広島は同点ゴールを挙げた川村がキッカー。
ゴール右へシュートを放つも、反応したGK河田が見事にセーブ。
コースが多少甘かった事含め、試合でのゴールで運を使い果たしてしまった格好だったでしょうか。
一方の甲府は石川が落ち着いてループ気味に左へシュート、GK大迫も届かず成功となり、甲府がリードを得て運命の5本目に。

広島のキッカーは、試合でPKを外してしまった満田。
2度も失敗となれば帰れない、とばかりにGK河田も反応できない程のシュートをゴール右へ突き刺し。
成功させて望みを繋ぎます。

甲府のキッカーは山本、こちらも与PKという屈辱を試合で味わう事となった選手。
放たれた大ベテランのシュートは、勢いを持ってゴール左へと突き刺さり。
プレッシャーを乗り越えて成功させると同時に、甲府の勝利を決定付けました。

打ち破ったJ1クラブは札幌・鳥栖・福岡・鹿島、そしてこの日の広島。
まさに長い道のりという表現をしたくなる戦績で、悲願に辿り着く事となった甲府。
壮大過ぎる物語の結実に、サッカーファンならば感涙は不可避といった所でしょうか。

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DAZN観戦 2022年J3リーグ第28節 FC岐阜vsカターレ富山

2022-10-14 16:27:17 | サッカー視聴記(2022年その他)

<岐阜スタメン> 4-4-2
GK 松本拓也
RSB 山内寛史 CB 岡村 CB 藤谷 LSB 橋本
RSH 窪田 DH 庄司 DH 生地 LSH 畑
FW ンドカ・チャールス FW 藤岡
<富山スタメン> 4-4-2
GK 山田
RSB 柳下 CB 林堂 CB 大畑 LSB 松本雄真
RSH 松岡 DH 佐々木 DH 柴田 LSH マテウス・レイリア
FW 川西 FW 安藤

前回観た時とは、両チームとも監督が代わっていたという後半戦のカード。

昇格戦線に喰らい付けていけるかどうかという戦いの最中、富山は25節(沼津戦・0-1)終了後に監督交代を決断。
社長の左伴繁雄氏のコメントに「サッカーの内容に改善が見られなかった」とありましたが、それでもこの土壇場といえる状況で、実績豊かな石崎信弘氏のクビを切るのは中々出来る事では無く。
しかもその見通しの通りに、小田切道治氏が指揮を執ってからというものチームは好調に転じており、この社長は只者では無いという事を再認識させられました。

フォーメーションを弄りメンバーを微調整し、それまでの1点逃げ切りサッカーが信じられないような攻撃力を発揮して連勝。
俗にいう「監督交代ブースト」というだけなのかどうかは未だ不明ですが、終盤に向けて再度昇格争いに復帰できるのならばそれはどうでも良く。
そんな状態で迎えたこの日、その方針転換で割を食っていたのか、2試合メンバーから外れていた川西がスタメンに復帰してきました。

小田切監督の初戦(讃岐戦・4-0)で見せた、シュート20本という攻撃陣の跳梁はこの日も健在であり。
前半6分の柴田のミドルシュート(ゴール右へ外れる)を皮切りに、7分には松岡のドリブルから、中央でパスを受けた柳下がミドルシュート。(ブロック)
直後のコーナーキックからも、クリアボールを松本雄がダイレクトでミドルシュート(GK松本拓セーブ)と、遠目からでも果敢にゴールを狙う意識が旺盛という所を見せ付けました。
サイドハーフには松岡・マテウス(フォーメーションではFWとされていたがどう見ても左SH)とドリブル力に長けた選手を置き、そこからの仕掛けを軸とする事で他選手の動きも決まる、といった攻撃。
特に右サイド高目での柳下の攻撃の絡み方は素晴らしく、前述のミドルシュートのシーンにおける中央でのプレーを始め、積極的なパス&ゴーで崩しを図り活性化させ。

一方の岐阜、既に今季の昇格の可能性が無くなった挙句、スター選手の柏木が長期離脱とモチベーションが不安視される状況。
FWへの長いパスが中心の攻めで、中々形が作れないといった立ち上がりとなり。
しかしボランチの生地が上がり、ボールの引き出し役を務める事で徐々にボールの回りは改善していきます。

迎えた23分右サイドでのスローインから奥を取って繋ぐ岐阜、エリア内右でンドカが受け、ディフェンスに遭いこぼれた所を拾ったのはその生地。
すると富山・松本雄のスライディングに引っ掛かって倒れ、主審の笛が鳴って反則・PKを得る働きを見せました。
このPKを藤岡がゴール左へ蹴り込み、GK山田の逆を突いてゴールゲット。
先制点は岐阜に入りました。

気を取り直して反撃に掛かる富山、27分に右サイドで再び柳下を活かす攻撃、スルーパスを奥で受けてカットインからクロスを入れる柳下。
このグラウンダーのボールに安藤が合わせにいった所、GK松本拓に掻き出され惜しくもゴールならず。
しかし交錯した結果、松本拓が痛んでしまう事態が発生します。
幸い大した事は無いようで、プレーを続けた松本拓。
しかし29分に富山・柴田のシュートをキャッチした後、違和感を拭えなかったのか自らキックをサイドに蹴り出し。
傷?の確認のため小休止となりその容体が心配されたものの、結局は大丈夫という事で交代は無く。(なお放送席は気付いていない風で、飲水タイムと勘違していたようなコメントも)

そんな相手の状況でも富山は攻撃の手を緩めず(当然)、31分には右からのクロスを収めたマテウスがボールキープの末にシュート。
これもGK松本拓がセーブと、岐阜は中々松本拓への負荷を減らす事が出来ない展開となります。

しかし富山は中々ゴールを奪えず、このままでは焦りも生まれかねない状況に。
そんな中終盤を迎えましたが、その43分ついに試合を動かします。
ここも後方からのロングパスを柳下が受けて右サイドから形を作り、松岡が突破力を見せエリア内右を突き。
そして浮き球でマイナスのクロスを入れると、安藤が合わせてゴールネットを揺らし。
繰り返していた攻撃をついに得点に繋げ、同点に追いつきました。
尚柳下はボールを手放した後エリア内へ進入、クロスの際にはファーサイドに位置取っており、ここでも只のサイドアタッカーでは無い事を見せていた事を付け加えておきます。

その後岐阜が、窪田のドリブルで反則を誘い直接フリーキックを得。
これをキッカー庄司が直接シュートするも壁を直撃、という見せ場があったアディショナルタイム。
1-1のまま前半終了を迎えました。

ハーフタイムで両チームとも動きを見せ、岐阜は橋本・畑→三國スティビアエブス・富樫へと2枚替え。
富山は佐々木→末木へ交代。

交代を経て岐阜は、ンドカが左SHに回って富樫がFWに入るというポジション変更があったものの、大まかな流れは変わらず。
つまりは富山の攻勢が続けられる事となった後半の立ち上がり。

後半は川西が敵陣でボールの引き出し役を務めるシーンが増え、後方からのビルドアップでは地上・空中双方で長いパスを多用するといった富山の攻撃。
彼を警戒させつつ、出来たスペースを一発のパスで狙うという意識だったでしょうか。
後半7分には末木の縦パスを受けた安藤が中央からミドルシュート(ゴール右へ外れる)と、フィニッシュの意欲は相変わらず旺盛であり。

守勢を強いられた岐阜は、11分に富山のCKからカウンターに持ち込み。
スルーパスを受けた窪田が右サイドをドリブル突破、そのままエリア内右を突くという攻撃でCKを得、CKからCKという絵図を形成した事で流れを押し戻します。
窪田のスピード・突破力を活かすのを軸として、彼と逆の左サイドではシフトしてきたンドカや交代で入った三國などで、人数を掛けてパスを繋ぐ攻撃が目立ち。
時には窪田まで左へ流れてパスを受けるシーンも見られ、それでややバランスが悪くなっていた感がありました。

一方の富山は両サイドにドリブル出来る選手が揃っているのが脅威となり。
15分には逆に岐阜のCKからカウンターに持ち込む富山、マテウスのドリブルを岐阜・生地が後ろから倒してしまい反則・警告、そして左サイドからのFK。
これをキッカー末木がニアサイドに放り込み、柳下がフリックと見せかけて触れず、スルーの恰好となりゴールに向かったもののGK松本拓が何とかセーブ。

そんなバランスの良い富山とは対照的に、アンバランスながらも強引に前進せんとする岐阜。
その意識の影響か、次第にロングボールに偏った攻撃になってしまい好循環を得られません。
時々ポジションを入れ替え、ンドカがFWに戻ったりしていましたが効果は無く。

迎えた29分、岐阜がプレスにいこうとした所を大畑が縦パス、受けたマテウスがボールキープで掻き回して中央へパスし、川西がエリア内へ送ったボールを受けたのは安藤。
これを岐阜・窪田が後ろから押す形で倒してしまうと、反則を告げる笛が鳴り、PKを得た富山。
逆ベクトルを突かれる形で、いかにもアンバランスさが生んでしまった決壊といった感じで、キッカーはマテウスが務めてゴール左へシュート。
GK松本拓は反応したものの届かず、ついに勝ち越した富山。
直後に川西→高橋へと交代します。

リードを奪われた事で、さらに強引さを増して攻める岐阜。
33分にはロングパスが左サイドの富樫に渡り、パスを受けたンドカがエリア内左へ進入してシュート。(GK山田キャッチ)
34分に藤岡→松本歩夢へ交代した直後、その松本歩のフリックから敵陣でパスを繋ぎ、エリア内左を取ったのちポストプレイも絡め中央へ戻し。
そして庄司のミドルシュートが放たれましたが、これもGK山田のセーブに阻まれます。

やっと作った好機もモノに出来ず……といった岐阜を尻目に、富山は36分に再度交代カードを切り。
功労者というべき松岡・マテウスの両SHを代え、吉平とアルトゥール・シルバを投入します。
これで高橋の1トップ・シルバがトップ下に近いような位置取りで、右SHが安藤・左SHが吉平といった前線に。(一方の岐阜も38分にンドカ→服部に交代)

37分に再度岐阜がカウンターで好機、右サイドから窪田がカットインから中央でシュート、ブロックされた跳ね返りを生地がシュート(ブロック)と連撃。
これでは終わらず、エリア内へこぼれたボールをさらに松本歩がシュートし、富山・柳下がブロックするもさらに詰めた富樫。
GK山田がブロックするもこぼれ球がゴールに吸い込まれ、同点かと思われましたが、(松本歩のシュートの時点での)オフサイドを取られてしまい幻に終わりました。

またも折角の決定機なのに……という流れを作ってしまった岐阜。
それを受けて富山は40分に止めを刺しにいき、左サイドで松本雄・吉平のパス交換に食いついた岐阜ディフェンスの裏を吉平がとって好機、高橋→安藤と経由してエリア内へ繋いでいき。
そして安藤がディフェンスに遭いこぼされた所を、すかさず拾ったシルバがシュートを放ってゴールネットに突き刺します。
終盤を迎えるという所で、勝利を決定付ける追加点を得た富山。
再びキックオフ前にカードを切り、柴田→ガブリエル・エンリケへと交代。

尚も富山が敵陣でサッカーを展開する一方、思い通りに攻撃が繋がらない岐阜。
イライラも表れるようになり、富山選手のドリブルを身体でぶつかるように止めにいくシーンが目立ち始め。
正直、ATに安藤のドリブルを後ろから体当たりで倒して反則を取られた三國にはカードを出すべきだと思いましたがどうか。

何とか一矢報いたい岐阜、最後に富樫のドリブルが(富山・末木に)反則で止められ遠目からの直接FKに。
しかし既にATの目安時間は過ぎ去り(5分)、決めても大勢に影響無いという状況で富山は壁を作らずという中、キッカー三國が放った直接シュート。
これをGK山田がセーブした直後に試合終了の笛が吹かれる事となりました。

これで3連勝と巻き返し、2位と勝ち点差5で残り6試合という大詰めを迎えた富山。
現場・フロントの執念を感じさせましたが、報われるときは来るでしょうか。

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DAZN観戦 2022年J2リーグ第40節 大宮アルディージャvsレノファ山口FC

2022-10-13 16:01:27 | サッカー視聴記(2022年J2)

※前回の大宮の記事はこちら(37節・栃木戦、3-1)
※前回の山口の記事はこちら(35節・町田戦、1-0)

<前試合からの変更>

大宮=2人を変更。そのうちの1人が出場停止の栗本で、彼の居たボランチには大山が入る。もう一人が4日前(33節・山形戦、1-1)ハーフタイムで退いた小野で、彼の左サイドバックには茂木。11人中8人が35節以降スタメン継続と、残留に向かって固定メンバーで突き進むのみといった格好か。

山口=チームトップの出場時間を誇る佐藤謙介が出場停止となり、こちらも彼を含めて2人変更。穴の開いたボランチの一角には、前節左センターバックのが一列上がって埋め、菊地が左CBに入る。もう一人がGKで寺門→。サブには約一年間の離脱を経て戻って来た河野の名前が。

スタメン

残り試合も少なくなっていき、残留決定に安堵するクラブの姿を見るという恒例行事の時期に。
山口のそれは38節(群馬戦・6-1)で、大量得点で決めるという胸すく試合を演じ、それまでのうっ憤を晴らす形となりました。

一方の大宮、あと1勝で残留が決まるという状況まで辿り着き。
4日前の水曜の試合、終盤に追い付いての引き分けで勝ち点1をもぎ取る形と、まさに白兵戦の様相でこの時を迎えた状況。
ホーム・NACK5スタジアムという絶好の舞台で決める事が出来るかどうか。

試合が始まると、大宮は右サイドからのスローインの連続で前進していくという、相馬直樹監督の率いるチームらしい姿を見せ。
形振り構わずという白兵戦に相応しい入りとなると、見事に相手の山口をそのペースに巻き込む事に成功したでしょうか。
前半3分空中戦を経てボールがこぼれると、柴山のダイレクトでのスルーパスが前掛かりとなった山口の右サイド裏を綺麗に突き、走り込んだ富山からクロス。
ニアサイドで中野が合わせヘディングシュート、ゴールネットを揺らし、少ないタッチ数による前進を得点で締め。
ファーストチャンスが見事に先制点を叩き出しました。

出鼻を挫かれる格好となった山口は、4分に梅木がエリア手前からヘディングシュートを放ち(GK志村キャッチ)一息つく事に。
そしてボールを保持しての反撃体勢を築かんとしますが、思うようにいきません。
大宮は最終ラインまでプレッシングにいく事は稀で、その分ポゼッションは上がるものの、一列前へと運べばすかさず素早い寄せが待ち受けており。
そのため普通にパスを繋いでいては好機を作る事が出来ず、かといってリスキーな選択肢を採るには、早々に取られた先制点のシーンが頭を過るという状態だったでしょうか。

一種の混乱状態が生まれていたのか、最終ラインの形も安定せず。
高橋が右SBのような位置取りの4バックのように可変するのが基本形なはずですが、そこに前が降りてきたり、ないしはミシャ式のような形を取ったりと短い周期で様変わり。
敵陣ではサイドチェンジを多くして活路を見出さんとするも、中々実らない山口の攻撃。
すると大宮へとペースが移り、後方での細かい繋ぎを経てのロングパスで裏を取られるという、前への意識が強いチーム故のピンチの作り方をしてしまい。
17分には矢島慎也の左→右への対角線のロングパスが柴山に渡り、そのままドリブルを経てミドルシュートを放つ柴山。(GK関キャッチ)

そんな不安定な状況が、そのままスコアにも直結し。
18分の大宮は再び少ないタッチ数での前進、右サイドからのスローインで岡庭が長距離を投げ入れて山口の裏を突き、富山の落としを拾った中野がドリブルという単純明快な流れでエリア内にまで進入する攻撃。
そして放たれたシュートがゴール左へと突き刺さり、この日2点目を挙げた中野。
早々に2点リードを奪った大宮、残留決定に向けムードを高める事に成功します。

その後反撃したいがままならない山口に対し、ひたすら裏狙いで中野を走らせる攻撃を見せる大宮。
山口はそれをGK関の飛び出しで何とか防ぐというシーンが立て続けに描かれる等、前掛かりな山口の裏を突くという狙いを徹底し、嫌なプレッシャーを与え続けます。

そんな大宮の思惑を何とか掻い潜り攻め込む山口。
28分、ここも中盤の攻防からサイドチェンジを絡めて大宮のプレッシャーをいなし、左から高井のクロスをファーサイドで吉岡が折り返し。
そして橋本がシュートを放ちますが、ゴール前に居た味方の池上に当たるという具合に、不運も絡み実りません。

自陣でコンパクトな4-4-2ブロックを敷く大宮。
そのため普段は超攻撃的SBとして跳梁を見せる山口・橋本も、そのプレッシャーに対し思うようにプレー出来ず。
多用するサイドチェンジが巧く繋がった時は好機が生まれるも、そこからクロスが入れば……というのが関の山だった前半の山口。
それが防がれれば、変わらず続けられる大宮の裏狙いにヒヤリとさせられるという流れで時間が過ぎ去っていき。
最後は大宮のブロックの外でボールを回している内にアディショナルタイムは終了となり、前半を終えました。

流れを変えたい山口は、ハーフタイムで高橋→成岡へと交代。
これで前がディフェンスラインに入る……だけでは終わらず、4バックへとフォーメーションを弄り。
CBが菊地・生駒、SBは右が前・左が橋本という布陣で、梅木1トップ・池上トップ下とした4-2-3-1へとシフトしたでしょうか。

そんな変化の効果が表れる前に、いきなり後半1分に大宮が決定機。
ロングパスの跳ね返りをキープし、繋ぎを経て矢島慎の縦パスを受けた中野がエリア内を突き。
そしてシュートが放たれましたが、オフサイドを告げる笛に救われます。
その後も大宮は押し込み、4分にはフリーキックから、キッカー大山のクロスに袴田が合わせヘディングシュート。(枠外)
8分には大山のボール奪取から中野がドリブルで中央を運び、ラストパスを受けた柴山がエリア内右からシュート(ブロック)とフィニッシュを重ね。

山口は大宮に類似した4バックとした事で、可変によりギャップを作り易くする事でビルドアップの円滑化を図らんとしますが、中々果たせなかった立ち上がり。
11分には小島のボール奪取から鋭いカウンターも浴びる(パスワークを経て小島が左サイドをドリブル、グラウンダーのクロスに富山が跳び込むも僅かに合わず)など、依然として大宮の狙い通りの展開が描かれ続けます。

しかし15分、中盤で大宮・岡庭のパスミスを拾っての山口の攻撃。
池上からパスを受けた成岡が思い切ってミドルシュートを放つと、ブロックを掠めてゴール左へと突き刺さり。
早めの時間帯で1点差に詰め寄り、希望を繋ぎます。

その後は縦関係となるドイスボランチを中心に、田中が至る所に顔を出してボールを引き出す事でペースを掴む山口。
17分には田中のエリア内へのスルーパスに走り込んだ梅木がシュート。(枠外)
20分には左サイドで橋本のロングパスを前線で受けた田中から攻撃、高井のクロスはクリアされるも田中から再度クロスが入り、ファーサイドで受けた吉岡の戻しを前がシュート。(枠外)
前線に人数を掛けられるようになり、フィニッシュにも繋げられるという具合に文字通り活性化していった攻撃。

押し込まれる大宮は、23分に交代カードに手を掛け。
矢島慎・富山→武田・河田へと2枚替え、柴山が右サイドハーフ→左SHへとシフトします。

これで再び前線でプレッシャーを与えにいった大宮。
迎えた26分、スローインで投げ込まれたボールを河田がダイレクトで裏へ浮き球を送り、そこへ中野が走り込み。
先に入り込んだ山口・生駒が頭で触るも、これが短くなって中野が拾いにいく際どいシーンとなりましたが、GK関のブロックで何とか防ぎます。
すると交錯があったかどうかは不明ですが、走り込んだ中野がエリア内で足を抑えて倒れ込む事態となってしまった大宮、再度交代カードを切る事となりました。
吉永が投入され、本来のSBでは無く入団当初の登録ポジションだったFWにそのまま入る事に。

フォーメーションを弄った山口、後半のビルドアップは3枚の最終ラインを徹底し、そのテーマは橋本を前方に位置取らせる事だったようで。
右SBにシフトした前は上がらずにその最終ラインの右を担当、つまりは左肩上がりの陣形。
そのうえで前述の縦関係のボランチと併せる事で、自然と3-1-6のような形が攻撃時には出来ていたでしょうか。
30分前後からようやくその形が馴染んで来たようで、攻撃機会を重ねて押し込んでいきます。
30分には橋本のドリブルで陣地を奪い、一旦奪われるも成岡のパスカットから再度繋ぎ、その成岡がミドルシュート。(大宮・柴山がブロック)
33分には生駒の縦パスから池上→吉岡と渡り、右からカットインした吉岡が中央からシュート(大宮・新里がブロック)とフィニッシュも重ね。

そんな攻勢のなか35分、再び大宮の裏狙いのパスに、中野と交代で入った吉永が走り込み。
そして防ぎに出て来た前・GK関と交錯するという近似的なシーンが生まれ、拾った武田がゴールが空になった隙を突いてロングシュート。
これがゴールに吸い込まれたものの、交錯のシーンで反則を取られてしまい3点目とはならず。
危うく追加点の献上により折角の反撃ムードが萎む所だった山口。
その後35分に高井→沼田、40分に梅木・池上→岸田・河野と、前線に交代カードを費やしていきます。

ボール支配する山口に対し、ブロックを崩す事無く守り切りの姿勢を見せる大宮という図式の終盤戦。
その中で43分の山口は大宮の攻撃を自陣で切った事で、成岡のスルーパスに岸田が走り込むという毛色の違う好機が生まれましたが、GK志村の飛び出しに阻まれます。
ディフェンスラインが整う前に……という機会が臨めない展開だっただけに、願っても無いシーンでしたがシュートは撃てなかった山口。

そしてATに突入すると、万策尽きたかのように大宮の攻撃ターンに移り変わり。(大宮はATで大山→田代へと交代)
敵陣深めでボールキープの姿勢を見せると思いきや、左サイドでキープする河田が絶妙の切り返しを見せ、エリア内へ流れてシュート(枠外)というあわやの場面を作ります。
その後吉永に対する山口・成岡の反則で、直接FKの好機まで得た大宮。
キッカー武田が直接シュート、壁を抜いたもののゴール正面でGK関にキャッチされて実らず。
これらの大宮の攻撃で時間を使われてしまった山口、最後にコーナーキックを得て、GK関が前線に上がるという諦めない姿勢を見せるのが精一杯となりました。
そしてそのCKで反則を取られた所で試合終了の笛が鳴り。

2-1のまま逃げ切りを果たした大宮、無事にJ2残留を決定させた一日となりました。
それでも残留争いは2年連続で、さらに言えば3年前は昇格争いを演じていただけに隔世の感があり。
浮上の切欠を掴むにはどうすればいいのか、というのはJ1時代でも重くのしかかっていたテーマだけに、解決策を見出す事は出来るでしょうか。

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