ここ何日間か火星は地球の空でよく見えるだろう。この驚くような視界を得るために、宇宙船は実際にこの赤い惑星を訪問しなければならなかった。イメージの中央を横断して走るのは太陽系で最も大きな峡谷の一つである。このマリネリス峡谷と名付けられた壮大な谷は、長さ 3,000 キロメートルにわたり、幅600キロメートル、深さ8キロメートルほどで急激に落ち込んでいる。比較として、米国アリゾナ州のグランドキャニオンは、長さ800キロメートル、幅30キロメートル、深さ 1.8 キロメートルである。マリネリス峡谷の起源は不明であるが、主要な仮説は、惑星が冷えた数10億年昔に亀裂として始まったとしている。いくつかの地質学的プロセスがこの峡谷で確認されてきた。この合成は、1970年代に、バイキング軌道船によってとられた火星の100を超えるイメージからつくられた。明日(注)、火星は、日没の後南東の方向の赤い惑星として11年間で最も地球に接近して通過するだろう。
(注): ここでは5月30日、日本時間では5月31日。ただし、この日に極端に近づく訳ではないので前後数週間ほどは十分に楽しめる。
<出典>: 「今日の天文写真(Astronomy Picture of the Day)」
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<ひとこと>:地球と火星は概ね2年ごとに接近する。地球の軌道が太陽に対してほぼ円形であるのに対して火星の軌道はやや楕円を描く。このため接近の都度二つの間の距離は異なる。今、火星は、日没後南東の方向、てんびん座付近にあり、赤い星があれば火星。イメージは5月28日に石垣島天文台から観測されたもの。