土星探査衛星カッシーニは土星の多くの不思議な姿をとらえてきました。その一つにリングの「プロペラ構造」があります。土星のリングは、数センチメートルから数メートルの大きさの無数の氷で形成されています。その中に埋もれた直径約数100メートル程度の小さな衛星の重力がこのプロペラ構造のもとになっているされています。この映像はプロペラ構造ができる様を可視化したものです。プロペラ構造の他にも、土星リングの氷が描き出す特徴的な構造が見えます。前半では無数の氷が水面のさざ波のような模様を描くのを見ることができ「ウェイク構造」と呼ばれ、氷が自らの重力で集まろうとする効果と、土星の周囲を回る速度が位置によって異なるために粒の塊が引き伸ばされる効果によって生まれる構造です。映像の後半では、プロペラ構造の近くで、リングに埋もれた小さな衛星の重力によって、周囲の氷が衛星に引き寄せられ、その表面に降り積もります。降り積もらない氷も衛星の重力によって動きが乱されます。その影響で衛星の前後に伸びる穴ができると考えられています。観測されているプロペラ構造の典型的な大きさは数100メートルから数キロメートルです。
<出典>: 「国立天文台:今週の一枚」
<動画>: イメージをクリックして Youtube から。
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