内視鏡を使った胸腔鏡手術が用いられる。初期のがん患者に対して一般的に行われる「完全胸腔鏡手術」では、胸の横などに開けた直径1~3センチの穴2、3か所から棒状の小型カメラや、手術用具を入れ、モニター画面を見ながら病巣を切除していくという。
切開手術と比べて傷口が小さく、術後の回復が早いのが特長だが、患部を正確に把握する必要があった。
今回ニュースで発表されたのは、
肺がん患者の骨や患部などをコンピューター断層撮影法(CT)で撮影した画像を、手術時に体の表面に投影する技術を高知大医学部の穴山貴嗣講師らのグループが開発したというもの。
手術を行う際にCT画像を直接映し出す方法は珍しく、最小限の傷で確実な手術ができるメリットがあるという。高知大医学部では、
「肺がん以外の手術にも使えるよう工夫したい」と。
穴山貴嗣講師(高知大医学部)は、3年ほど前から胸腔鏡手術がさらに安全で効率的に実施できるように研究を進めてきたが、
今回発表した手術方法では、投影装置を工夫し、手術前のシミュレーション(模擬手術)などで使用したCT画像を手術時に患者の体に直接映すことで骨や腫瘍、切開予定の位置などを示すことに成功したという。
穴山講師は今年2月以降、7件の完全胸腔鏡手術で画像を使用したという。
従来の手術に比べて手術時間が短縮し、患者の負担が減ったという。
穴山貴嗣講師は、
「多くの患者のメリットになるよう、他の分野の医師たちと、新しい技術や手法を共有していきたい」と。
(ヨミドクター)
穴山貴嗣講師(高知大学医学部付属病院)