田中 油彩
大竹です。いよいよ台風が近づいてきましたね。折角の三連休なのに家に閉じこもる他ない皆さま、これを機にゆっくりと作品鑑賞などは如何でしょうか?という事で、今回ご紹介させて頂くのは田中さんの油彩の作品です。
輪郭をぼんやりとさせたタッチは、見る人を現実と幻想の間に引き込むような不思議な雰囲気を作り出しています。暗い色合いでまとめられていますが画面にネガティブな印象はなく、湿度を感じさせる緑が広がっていますね。
左の作品は可愛らしい犬がまず目に入ります。花の匂いを嗅いでいるのか、くつろいでいる犬の様子が上手く表現されています。奥の人物は飼い主でしょうか。絵の具を何色も重ねて作られた木々や地面の色合いもとても美しいですね。小さな光の粒が集まっているようにも見えてくる木々のトンネルの、奥へと続く道の先には何があるのでしょうか?
右の作品は花壇の横を通り過ぎる傘をさした女性が描かれています。暗い画面の中に花、女性の服、傘にかかる葉などの明るい色がバランス良く配置されているので、重たくなりすぎす互いを引き立てています。周りの自然も葉の形をしっかり描き込む部分とそうでない部分の配置も良いですね。左上にちょこんと居る鳥にはお気付きですか?ペットのインコだそうです。傘をさしているのですから、おそらく雨が降っているのでしょうが、緑の中を歩く女性はそうした周りの風景を楽しんでいるようにも見えてきます。
田中さんは油絵具を使用する時、オイルをあまり使用しないそうです。かすれた絵の具を少しずつ少しずつ重ねる事で、柔らかくも濃密な画面が出来上がるのでしょう。