林 鉛筆デッサン
気が付けば12月で戦慄しています、ナツメです。今回は日曜大人クラスの林さんのデッサンをご紹介します!
まずは9月に描かれた左のデッサン。カメラに羽、薄いペパーミントグリーンのマスカットの模型…とどれも複雑なものを選ばれました。他にがさがさザラザラとした質感のものがあると、差別化して描きやすいのですが、比較的滑らかなものが多い中でそれぞれの描き分けがされているのがまず素晴らしい!形が複雑なカメラも、レンズなど細かなパーツの一つ一つまで丁寧に描写されています。そしてポイントは瓶に立てられた羽根!試行錯誤されていましたがそれもそのはず、一番奥に置かれていますが黒いためかなり強めの暗さを入れなければならない上に、ペラペラに薄いものを正面から描く…という非常に難易度の高いモチーフでした。重なっている部分が透けて色が濃くなっているところや、ゆがみのシワを捉えて見事に描写されました!
右のデッサンは、先週完成したばかりの絵。前回のマスカットに続き、真っ黒なブドウの模型にチャレンジ。写真でも上達しているのが一目瞭然です!マスカットも小さい粒がひとかたまりになっている、という重要なポイントはしっかり押さえられていますが、黒いブドウではそれに加えてその中でそれぞれの粒がお互いにどう影響しているか、という「周囲の環境」が巧みに拾われているのがわかります。ワイン瓶やラクダの玩具、それらが置いてある布の影も含め、それぞれの重さや同じ空間に配置された時の関係性の描写が優れています。
前回のブログで、「一部を注視せず全体でモチーフを見ると良いですよ!」というような話をしたのですが、今回の2枚はそこが非常に良くできていると思います。瓶のラベルやカメラのロゴなど、ばらばらに見えてしまいがちな部分をモチーフの一部として、自然に表現されています。林さんのような『観察力が高く無限に情報を拾える&その情報を精密に描くような根性のある』方が、見た物をあるがまま紙に描き写す力を身につけたら、もうなんでも描けますね!『デッサンはモチーフではなく空間を描く作業』と言われるほど、周囲の環境をどれだけ反映されているかが重視されます。今回の作品のように周りの空気までもが伝わってくるようなイメージを、皆さんも是非意識してみてください!