
上橋 「夏のはじまり」 油彩
どうも幸介です!本日ご紹介するのは大人クラスより上橋さんの油彩です。ご自身で撮影された蓮の蕾の写真をモチーフに制作されました。横浜の三渓園で撮った写真とのことです。仏像などが手に持っていることもある蓮の蕾。なんというか、色彩も淡く、どこか厳かな印象を与えてくれる花ですよね。日本画などでは描かれることも多いのではないでしょうか。まずはご本人のコメントからどうぞ↓
『いつか描きたいと思っていたスクエアにしてみました。梅雨があけたかどうかの7月11日に撮った蓮の花。夏の光を描きたかったのですが…』
いや描けてます!初夏の暑すぎない日差しになっていると思います!!
モネのように(あれは蓮ではなく睡蓮でしたが)淡い色でぼんやりと色彩を乗せるのであれば花の艶やかさなども伝わりやすいとは思いますが、上橋さんは写実的なアプローチで制作されています。油彩で写実的に花を描くのは難しいんですよね。画材自身の重みや濃さもあり、固くカッチリした絵になってしまいがちです。花は自然物ですし、風をうけて揺らいでいたり陽の光に透けたり、そういった周囲の環境に左右されながら生きていますよね。幹や葉に比べても花びら自体が存在している期間も短いですし、要はあんまりカッチリしてないんですね。
上橋さんの今回の作品では、蕾のピンクにグレート―ンを多用したり、輪郭の逆光も弱~く繊細に入れています。中間色の幅の広さが素敵ですね。葉っぱも手前と奥で描きこみの量にかなり強弱をつけ、風が抜けるような空間を演出!花びらも彩度の高いピンクを使って目立たせようとはせずに、周囲の葉っぱの彩度を上げることによって花を際立たせています。これだけ大きくモチーフを配置しておきながら、花が固かったり重たかったりしていないのはさすが!と感じております。ピンクとグリーンという補色のようなどぎつい色彩関係の作品のハズなのに、静寂すら感じます。それもきっとグレイトーンのおかげでしょうか。中間色って大事ですね。
本日ご紹介の油彩が完成した後も、また油彩を制作中の上橋さん。現在制作中の作品は人物画ですので、また中間色や淡く鮮やか過ぎない色彩感覚が肝になってきそうです。こちらの作品にもまた期待しております!!
田中幸介