原 油彩
大竹です。今日ご紹介させて頂くのは、原さんの油彩作品です。今回はいつもの緻密な作風を封印し、大胆な荒っぽい筆遣いで制作されています。
ゾウの群れの作品、こちらはアフリカに旅行された方より頂いた写真だそうです。筆跡を残すタッチで煌めく水面が描かれており、モザイクタイルの様な美しさがあります。ゾウのどっしりとした重さも、体に色々な色を乗せる事で表現されていますね。野生動物たちが生き抜いていく自然界は厳しいものですが、こちらの作品ではそんな中での穏やかなひと時をを感じさせてくれます。かといって、ゾウたちに弱々しい印象は無く、美しい景色の中で逞しく生きている様子が伺えます。今回の課題であった思い切りのよい筆使いが活かされていますね!
細かく描く事を抑え、大まかなタッチを意識して描くのは苦労されたかと思いますが、「こんな表現もあるんだ!」「そんなに描かなくてもいいんだ!」といった色々な発見があったかと思います。
こちらはペインティングナイフを多用されました。ゴツゴツと岩が転がる荒れた土地で放牧される、ギリシャ・スキロス島(写真は小原先生の旅行時のもの)の羊たち。その乾いた道をナイフで表現した作品です。硬い道路はふわふわとした質感の羊との対比にもなっていますね。また、羊たちは柔らかな暖色でまとめられているので、生物を触った時の暖かさをも感じさせます。真ん中下でこっちを見つめている羊ちゃんの愛らしさといったら、思わず笑顔になってしまいますね。
道の奥の風景は思い切ってぼかして描かれていますね。それにより、手前の羊達により視線が向かう様になっているのでしょう。こうした思い切りの良さは、大胆であればあるほど作品全体に大きく影響を及ぼしてくれます。ちょっと勇気が要りますが、大雑把なタッチに思えても、離れて見てみると案外いい感じだったり…是非今後の制作にも活かしていって頂けたらと思います。
そういえば、どちらも動物の群れが描かれているのは意図されていたものなのでしょうか?群れシリーズで制作されても面白そうですね!