昨日から2日間、小学校受験ワークショップが4講座行われました。
年中対象では、『人物画(人体の基礎固め)』・『紙工作(円筒を多用した立つ動物)』
年長対象では、『行ってみたい所へ行く為の帽子制作』・『3人以上の人物を入れる構図』です。

年中さんは今回「細くて長い足でも立つキリン」を制作しました。一枚の画用紙から少しのゴミも出さずに、全員が安定した立ちポーズのキリンを制作することができました!
この時期、ハサミや糊などの道具の基本的な使い方や手先を使う能力をきちんと身に付けておく必要があります。
またそれだけではなく、作業中に机上整理をおこないながら制作できるか、お友達と一つの道具を仲良くシェアできるか、片付けはきちんとできるかは、その様子からどのような家庭生活を送っているか躾の一端をも見られています。
このような基本をきちんと身に付けた上で、綺麗で(少ない面積で)頑丈なセロテープの貼り方など、テクニックを磨いていくことが大切です。
絵画は頭・胴体・手足の長さを正確に知ることから始めました。アシスタントの菜々子先生の手足の模型で、実際の長さを客観的に見せると「キモチワルーイ」との声が!そうです、それこそが期待していた声。実際の手足は長すぎて気持ち悪い程なのです。(ですから子どもは手足を短く描きます。)
受験絵画で期待される人物の動きのあるポーズは、短い手足では表現できませんので、今回はここに重点を置きました。

年長さんの帽子作りでは、まず「どのような形でもいいので、頭に被れること」が最重要課題でしたが、なんと13人の参加者全てが難なくクリア!初めて参加したお子様も、できる子につられ見様見真似で被れる立体を1枚の紙から制作できました!
これに勢いを付けてみるみる個性的かつ立体的なアイテムがプラスされていきます。最初に行きたい場所を決めてそこで役に立つものや、行く為の手段などが一目で伝わる制作物を付けていきます。どの子も大変わかりやすくインパクトの強い帽子になりました。
制作は試験官による子どもへの質問があります。これは全ての受験生になされるのではなく、試験官が興味を惹く作品を(もしくはとても楽しそうに)制作している子どもに、「この飾りにはどういう意味があるの?」「これはとても綺麗な模様だけど何かな?」などと声を掛け、その子の表現したいことを掘り起こしてくれます。少々作りが雑でも、多少巧緻性が苦手に見えても、表現したいものがしっかりと語れることで、持っている資質や力を把握して頂けますが、まずは声を掛けてもらえなければ話になりません。作品に豊かな個性が備わっているかを判断して、声を掛ける選抜の材料としています。
絵画では短時間で多人数を描き切る為に、近景・中景・遠景にそれぞれ人物を配置するコツを覚えてもらいました。
・まず手前には見切れるように大きく自分を描く
・自分に重なるように中景の人物を少し小さく描く
・奥の人は一部が画面の外に隠れるようにする
試験では制限時間が設定されており、短い時間内で可能な限り状況を説明する為・他の子と差が付くクオリティにする為に、こういったテクニックを知ることは重要です。
しかし作品の内容・技術力も評価のポイントですが、創作中の態度や意欲も大事ですので、絵の題材のエピソードなどもきちんと話せるように導きました。
楽しい事は自然と積極的に取り組むことが出来ます。ご家庭での制作も、なんとなく「絵を描く」「工作をする」のではなく、作る過程においての言葉掛けを大切に、意欲を引き出していけると良いでしょう。
初めは稚拙で下手でも構いません。興味を見いだし一生懸命取り組むことを第一の目標とし、基礎力を身に付け、その中で様々な課題を見付けていきましょう。受験までに発想力・想像力を育み、浮かんだものを形にする力を磨き、完成度の高い作品を作り上げることを目指します。
この度は夏期講習にご参加頂きました51名の皆様、ありがとうございました。 小原