
石垣 油彩
夏の気配を感じるこのごろですが皆様いかがお過ごしでしょうか。土曜日担当の岩田です。
今日は、そんな時期に完成した油彩を紹介します。こちらの作品を描いたのは、土曜日の午前クラスに通われている石垣さんです。
実は、こちらの油彩は、今年の2月から制作されていたようです。ということは、私がこちらに来る2ヶ月前から描かれていて今日で約5ヶ月間かかって完成に至ったという事です。
まだこの絵のモチーフを選んだ時期は、寒かったと思うのですが貝殻やランタンといった初夏を感じさせるチョイスが絵のフィニッシュを迎えた今の時期にぴったりですこし驚きます。又、絵の印象がとても爽やかでモチーフが醸し出す雰囲気と大変マッチしています。
この絵で私がとても良いなあと感じるのは、個々のモチーフの質感表現です。例えば貝殻は、表面の硬質でデコボコした感じを出す為に絵の具を立体的に盛るような感じで描かれていますし、ストライプの布を見てみますとシワに合わせて筆致を工夫して絵の具を置いているのが分かります。
又、奥のランタンは、石垣さんがかなり時間を掛けて取り組んでいた箇所ですが途中で一回かなり厚めにこのモチーフの補色である赤系の絵の具を置いていました。その甲斐あってなんとも言えないこの古びた感じが再現されています。ガラス部分も非常に美しいです。
幾つかのモチーフを組んで静物油彩や水彩を描く時に個々のものを描いていくと、やもすると全体の統一感が無くなってしまうような事がありますがこの石垣さんの作品は、そういったバランスを欠くこと無く描き切った作品だと思います。
このようなクオリティーの高い作品が出来上がったのは、時間が掛かっても惰性で描く事をせず、常に客観的な視点を忘れないで描いていった結果なのではと感じました。