15日に愛知県内で発生した14歳の少年によるバスジャック事件の続報がいまだに続いている。
《バスジャック:幸運と機転でスピード決着
「おれにも14歳の子どもがいる」。愛知県の東名高速道路で起きた高速バス乗っ取り事件で、県警の捜査員はそう言って山口県宇部市の中学2年の少年(14)を説得した。通報から少年の身柄確保まで約1時間。少年は県警の調べに「最初から乗客を傷つけるつもりはなかった」と供述しているというが、長引けばどんな事態に展開したか分からない難事件は、幾つかの幸運と乗客や捜査員の機転でスピード決着した》=19日 毎日夕刊
《少年は調べに対し「金銭トラブルで両親にしかられた。母親が西鉄バスジャック事件のことを話していたのを思い出し、嫌がらせしようと思った」と供述しているという。犯行のヒントにしたという西鉄バスジャック事件は、少年が小学校入学前年の00年に発生。佐賀県佐賀市の当時17歳の少年が高速バスを乗っ取り、乗客5人が死傷した事件で、その少年は「(親に)見放された」などと供述していた。少年もJR東海バスの中で「親から見捨てられた」と話していた》=19日 日刊スポーツ
NHKも「東京に行くつもりで新幹線に乗ったが、名古屋止まりの最終便だったので名古屋で降りた」などと19日朝のニュースで報じていた。
これほど大きく報道するニュースなのだろうか。14歳の「子ども」が刃物を突きつけて路線バスを乗っ取る。外形的にはショッキングな事件だ。ただそれだけではないか。
この少年は、運転士や乗客に危害を加えるつもりはなかったと思われる。百均で買った果物ナイフでは威力も知れている。彼は自分でも言っているように「大きな騒ぎを起こして、親を困らせたい」、この一心で犯行に及んだのだろう。
毎日新聞は「長引けばどんな展開になるか分からない難事件が、乗客や捜査員の機転などでスピード解決した」と書いている。長引いた場合、どんな展開が予測されるのか。私には全く理解できない。もともと、「やる気がない」犯行ではないか。バスジャックに成功し、機動隊に取り囲まれ、テレビ中継車が来た時点で行動計画は完了していたのである。
彼は母親から聞いた8年前の西鉄バス・バスジャック事件をまねたという。西鉄事件の17歳の少年は、精神病院に入れた親を深くうらんでいた。凶器には刃渡り40センチもの牛刀を用意していた。今回の少年とは、本気度が違う。
あえて言えば、この程度の事件をメディアが大々的に取り上げることが模倣犯予備軍を育てているような気がする。確かに、「親を困らせたい」から、いきなりバスジャックに及ぶ思考回路については、「なぜ」の疑問が沸く。でも、昔から親に怒られた腹いせに、よその家に火をつけたりする子どもはいた。それと同様の事件だという気がする。
この少年は、煙草を吸ったり、10万円の借金を友達に申し込んだりしているように、年よりもだいぶませているようだ。昔で言う「問題児である」。学校が「ノーマークだった」などというのは、生徒の行動を把握していない証明でしかない。
ちょっと困った生徒が起こした、道具立てだけ大きい事件。こう見るのが正解だろう。だが、次に起きる事件もこのように推移するかといえば、そんなことはあるまい。事件を「学んだ」子どもたちは、より刺激的で過激に模倣する恐れがある。折から夏休み。暑苦しい夏はご免こうむりたい。
《バスジャック:幸運と機転でスピード決着
「おれにも14歳の子どもがいる」。愛知県の東名高速道路で起きた高速バス乗っ取り事件で、県警の捜査員はそう言って山口県宇部市の中学2年の少年(14)を説得した。通報から少年の身柄確保まで約1時間。少年は県警の調べに「最初から乗客を傷つけるつもりはなかった」と供述しているというが、長引けばどんな事態に展開したか分からない難事件は、幾つかの幸運と乗客や捜査員の機転でスピード決着した》=19日 毎日夕刊
《少年は調べに対し「金銭トラブルで両親にしかられた。母親が西鉄バスジャック事件のことを話していたのを思い出し、嫌がらせしようと思った」と供述しているという。犯行のヒントにしたという西鉄バスジャック事件は、少年が小学校入学前年の00年に発生。佐賀県佐賀市の当時17歳の少年が高速バスを乗っ取り、乗客5人が死傷した事件で、その少年は「(親に)見放された」などと供述していた。少年もJR東海バスの中で「親から見捨てられた」と話していた》=19日 日刊スポーツ
NHKも「東京に行くつもりで新幹線に乗ったが、名古屋止まりの最終便だったので名古屋で降りた」などと19日朝のニュースで報じていた。
これほど大きく報道するニュースなのだろうか。14歳の「子ども」が刃物を突きつけて路線バスを乗っ取る。外形的にはショッキングな事件だ。ただそれだけではないか。
この少年は、運転士や乗客に危害を加えるつもりはなかったと思われる。百均で買った果物ナイフでは威力も知れている。彼は自分でも言っているように「大きな騒ぎを起こして、親を困らせたい」、この一心で犯行に及んだのだろう。
毎日新聞は「長引けばどんな展開になるか分からない難事件が、乗客や捜査員の機転などでスピード解決した」と書いている。長引いた場合、どんな展開が予測されるのか。私には全く理解できない。もともと、「やる気がない」犯行ではないか。バスジャックに成功し、機動隊に取り囲まれ、テレビ中継車が来た時点で行動計画は完了していたのである。
彼は母親から聞いた8年前の西鉄バス・バスジャック事件をまねたという。西鉄事件の17歳の少年は、精神病院に入れた親を深くうらんでいた。凶器には刃渡り40センチもの牛刀を用意していた。今回の少年とは、本気度が違う。
あえて言えば、この程度の事件をメディアが大々的に取り上げることが模倣犯予備軍を育てているような気がする。確かに、「親を困らせたい」から、いきなりバスジャックに及ぶ思考回路については、「なぜ」の疑問が沸く。でも、昔から親に怒られた腹いせに、よその家に火をつけたりする子どもはいた。それと同様の事件だという気がする。
この少年は、煙草を吸ったり、10万円の借金を友達に申し込んだりしているように、年よりもだいぶませているようだ。昔で言う「問題児である」。学校が「ノーマークだった」などというのは、生徒の行動を把握していない証明でしかない。
ちょっと困った生徒が起こした、道具立てだけ大きい事件。こう見るのが正解だろう。だが、次に起きる事件もこのように推移するかといえば、そんなことはあるまい。事件を「学んだ」子どもたちは、より刺激的で過激に模倣する恐れがある。折から夏休み。暑苦しい夏はご免こうむりたい。