酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「いきなり殺人」の謎

2008-07-24 05:03:06 | Weblog
 22日、八王子の書店で33歳の男性が刃物をで人を刺した。アルバイトの女子学生が亡くなり、客一人が怪我をした。
 

 19日には、川口市の住宅で、寝ていた父親が15歳の長女に胸などを刺され死亡した。

 八王子の事件は怪我で会社を休んでいた男が、「むしゃくしゃする。誰でもいいから人を殺そうと思った」のが犯行の動機とされる。33歳にもなって、むしゃくしゃしたぐらいで、無差別に人を殺すことを思い立つ。この思考回路がどうしても理解できない。

 「識者」は次のように言う。

 《自分一人で生きていける力をつけさせるという教育のあり方が、失われたことに起因する=大谷昭宏(元読売大阪社会部記者) 

 容疑者が社会からの疎外感を募らせた末、その打開を狙い犯罪に走るという構図だ。欧米では個人と社会のつながりを意識させる「市民性教育」が始まっており、日本でも同様のシステムを教育に取り込む必要がある=小宮信夫・立正大教授》
               =いずれも毎日新聞 2008年7月23日 東京夕刊


 当たらずといえども遠からず、と言えばほめすぎか。二人の識者が指摘する点はその通りなのだろう。でも、何も言っていないに等しい。自分ひとりで生きていける教育や個人と社会のつながりを意識させる「市民教育」を取り戻すには何をしなければならないのか。このポイントが欠けている。


 一人で生きていける教育の結果が、他者への無関心を助長した側面はないのだろうか。派遣などの非正規労働が横行し、会社と個人のつながりが断ち切られた。社会構造全体にメスを入れる必要がありそうだ。


 川口の事件はもっとわけが分からない。少女は、人気ゲームもとにした「ひぐらしのなく頃に」のコミック版を読んでいて、突然父親を刺した、と述べているらしい。この漫画には少女が突然豹変し、凶器で人を襲う殺人の場面があるという。


 3月にJR岡山駅で起きた突き落とし事件の容疑者の少年もこの漫画を持っていたとされる。少女が父親を斧で襲う事件は昨年にも起きている。


 「ゲーム脳」の問題を指摘する意見が増えている。映像が脳にどのような刺激与え、行動に作用しているのか。このあたりの解明が不可欠だろう。心理学・社会学的アプローチと同様、脳科学の問題としても掘り下げなくてはならない。


 昭和50年代から急激に切り替わった食の環境が、脳に器質的な変化をもたらしていないか、などの点も気になる。ひょっとすると、人間自体が変わりつつあるのかもしれない。一切の予断を拝して、総合的な研究が深まることを期待したい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする