酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

世界記録とマテリアル

2009-05-11 05:46:26 | Weblog
 水泳の日豪対抗で、背泳ぎの入江陵介が従来の記録を1秒以上上回る世界新記録を出した。本人も「びっくりしている」という快記録だ。

 《競泳の日豪対抗が10日、オーストラリアのキャンベラで行われ、男子200メートル背泳ぎで入江陵介(19)=近大=が1分52秒86の世界新記録をマークして1位となった。昨夏の北京五輪決勝で、優勝のライアン・ロクテ(米)が樹立した1分53秒94を1秒08も上回った》=朝日com・共同=

 注目は入江が着用していた水着だ。ラバー素材を使ったデサントの新製品で、現在、国際水連(FINA)に承認申請中だという。現行の基準は満たしているのだろう。近く正式に世界新として公認されるのは間違いない。気になるのはその先である。

 先月行われたフランス選手権ではアリーナの新型高速水着を使ったベルナールが100フリーで史上初めて47秒を切るタイムをたたき出している。FINAはレーザー・レーサー(LR)に代表される一連の高速水着に新基準を設ける意向で、いま盛んに記録を出している各種水着が公認競技会で使用できるのは今年限りになりそうだという。

 そうなると、LRやほかの新型で樹立された世界記録の扱いはどうなるのか。伝えられるように非透水素材の使用が規制されれば、記録が出なくなるのは確実だ。北京五輪などで作られた多くの記録は「不滅の記録」としていつまでも残ることになる。

 FINAの選択は正しいのだろうか。競技環境や用具が記録の向上に大きく寄与しているのは、他の種目を見ても明らかだ。アンツーカーのトラックを10秒0で爆走したボブ・ヘイズは、今の高速レーンならどんな記録を出すか分からない。

 記録が伸びてこそ、その競技への関心が高まり、レベルアップにつながる。記録が出なくなって人気が衰えた代表は、陸上のやり投げだ。やりの重心の位置を変えた結果、飛ばなくなった。豪快さが消え観衆の注目も同時に消えた。

 水着規制は同じような弊害をもたらす恐れがある。健康障害などの心配がない限り、規制は最小限にすべきだ。児童など低年齢層の使用は、また別の問題だ。
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