神戸高校生の感染が確認されたと思ったら、あっという間に感染者が160人を超えた。もちろん新型インフルエンザのことである。
《大阪と兵庫で新たに24人が新型インフルエンザに感染していることがわかり、これで感染者は163人になりました。
兵庫県尼崎市で新たに感染がわかったのは、男子高校生5人。うち3人は大阪の関西大倉高校に通い、他に大阪学院大学高校の男子生徒が1人、そして、神戸村野工業高校に通う男子生徒が1人です。
また、姫路でも男子高校生の感染が確認されました。さらに大阪でも18人の感染が新たにわかり、大阪と兵庫の感染者は163人になりました》=MBSニュース=
兵庫、大阪以外でも「疑い例」の情報が相次いでおり、全国に飛び火するのは時間の問題だ。臨時休校や出社停止、店舗の営業自粛などが続出している。東証が値を下げたのも、円高より「インフル懸念」と見た方がいいだろう。
このままでは国民生活が大混乱する。観光などを中心に経済への影響も避けられない。橋下大阪府知事ら地方が悲鳴を上げだした。こうなると国も動かざるを得ない。舛添厚労相は18日の会見で、週内にも行動計画を見直すとの方針を示した。
《大阪府と兵庫県内で新型インフルエンザ感染が拡大していることを受け、舛添要一厚生労働相は18日、政府の行動計画について週内にも見直しを検討する意向を表明した。
現行計画に従って自治体や企業が行動した場合、必要以上に社会機能がまひしてしまうとの懸念が関係者から出ていることに配慮したものだが、計画そのものではなく、運用面での変更にとどまることもあり得るとみられる。
18日午後、厚労省内で緊急記者会見した舛添厚労相は「政府の専門家諮問委員会から、今回の新型インフルエンザは感染力、病原性などの性質からみて、季節性と変わらないという評価が可能との報告があった」と述べた。その上で「病原性は高くない。(今回のウイルスである弱毒性の)H1N1に即した新しい方針をつくるのも方法の一つ。1週間以内にやる」と話した》=共同=
考え方は概ね妥当だろう。問題は新しい指針をどう決めるかだ。麻生首相は「弾力的に」と繰り返している。万事アバウトなこの男らしい。だが、弾力的は「無原則」と紙一重だ。自治体ごとに「弾力」が異なっては混乱に拍車を掛ける恐れさえある。「これ以上は縮まない」という一線をどこに定めるか。科学的知見に基づいた説得力ある指針を示す必要がある。
さらに重大なのは、準備万端整えた「新型インフルエンザ阻止作戦」があっけなく敗れたという点である。現時点での国内感染者は数千人から1万人前後だろう。弱毒性という点だけが救いである。
大交流の時代には水際作戦は効かないということだ。新型の「本命」とされるH1N5タイプがパンデミックになったとき、どうするか。国内流入の阻止に力を入れるより、被害の最小化を図る工夫が重要だろう。今回の事態を教訓に、作戦を練り直してほしい。
《大阪と兵庫で新たに24人が新型インフルエンザに感染していることがわかり、これで感染者は163人になりました。
兵庫県尼崎市で新たに感染がわかったのは、男子高校生5人。うち3人は大阪の関西大倉高校に通い、他に大阪学院大学高校の男子生徒が1人、そして、神戸村野工業高校に通う男子生徒が1人です。
また、姫路でも男子高校生の感染が確認されました。さらに大阪でも18人の感染が新たにわかり、大阪と兵庫の感染者は163人になりました》=MBSニュース=
兵庫、大阪以外でも「疑い例」の情報が相次いでおり、全国に飛び火するのは時間の問題だ。臨時休校や出社停止、店舗の営業自粛などが続出している。東証が値を下げたのも、円高より「インフル懸念」と見た方がいいだろう。
このままでは国民生活が大混乱する。観光などを中心に経済への影響も避けられない。橋下大阪府知事ら地方が悲鳴を上げだした。こうなると国も動かざるを得ない。舛添厚労相は18日の会見で、週内にも行動計画を見直すとの方針を示した。
《大阪府と兵庫県内で新型インフルエンザ感染が拡大していることを受け、舛添要一厚生労働相は18日、政府の行動計画について週内にも見直しを検討する意向を表明した。
現行計画に従って自治体や企業が行動した場合、必要以上に社会機能がまひしてしまうとの懸念が関係者から出ていることに配慮したものだが、計画そのものではなく、運用面での変更にとどまることもあり得るとみられる。
18日午後、厚労省内で緊急記者会見した舛添厚労相は「政府の専門家諮問委員会から、今回の新型インフルエンザは感染力、病原性などの性質からみて、季節性と変わらないという評価が可能との報告があった」と述べた。その上で「病原性は高くない。(今回のウイルスである弱毒性の)H1N1に即した新しい方針をつくるのも方法の一つ。1週間以内にやる」と話した》=共同=
考え方は概ね妥当だろう。問題は新しい指針をどう決めるかだ。麻生首相は「弾力的に」と繰り返している。万事アバウトなこの男らしい。だが、弾力的は「無原則」と紙一重だ。自治体ごとに「弾力」が異なっては混乱に拍車を掛ける恐れさえある。「これ以上は縮まない」という一線をどこに定めるか。科学的知見に基づいた説得力ある指針を示す必要がある。
さらに重大なのは、準備万端整えた「新型インフルエンザ阻止作戦」があっけなく敗れたという点である。現時点での国内感染者は数千人から1万人前後だろう。弱毒性という点だけが救いである。
大交流の時代には水際作戦は効かないということだ。新型の「本命」とされるH1N5タイプがパンデミックになったとき、どうするか。国内流入の阻止に力を入れるより、被害の最小化を図る工夫が重要だろう。今回の事態を教訓に、作戦を練り直してほしい。