酔眼独語 

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新疆情勢は極めて深刻だ

2009-09-05 06:38:58 | Weblog
 中国の新疆ウイグル自治区の中心都市ウルムチで漢人(族)による大規模なデモがあり、自治区トップに「辞めろ」コールを浴びせたという。

 《中国国営新華社通信によると、新疆ウイグル自治区ウルムチ市で三日、地元政府の対応に不満を持った漢族住民数万人が抗議デモを行った。七月の騒乱後も緊張状態が続いている同市で、政府への反発が広がっていることを示した。

 ウルムチ市では注射針を使ったとみられる刺傷事件が相次いでおり、デモはこうした治安悪化に抗議したものだという。しかし、地元住民は本紙の電話取材に対し、七月の騒乱後拘束されたウイグル族の一部が釈放されたことに、漢族が不満を持ったことが抗議の原因だと指摘した。

 この住民はウイグル族の釈放について「中国政府が建国六十周年を控え、民族団結を強調するために行った」と説明。反発した漢族が市中心部の市政府や自治区政府などを取り囲み、「厳正な処罰を」などと叫び、自治区トップの王楽泉共産党委員会書記の辞任を求めた。二日にも数百人規模の抗議デモが行われたという》=東京web=

 3日のデモでは武装警察の鎮圧行動によって、市民3人が死亡したことが確認された。これは容易ならざる事態だ。ウイグル人(族)の暴動より深刻といってもいい。現地政府が「人民」から罵声を浴び、叛旗を翻されたのだ。建国60年式典を目前にして、中国政府の動揺は激しいはずだ。

 辺境の地であるウイグルは、漢人たちの生活も厳しい。開拓兵団や地方政府関連の企業に就職している連中はともかく、それ以外は沿海部などとは比べ物にならない暮らしぶりだ。

 カラマイや石河子のように極端に生産性が高い街もある。ウイグル全体が格差社会中国の象徴であり、ウルムチはそれが凝縮された都市なのだ。

 自治区書記の王楽泉は「ウイグルの皇帝」とも呼ばれ、もう20年近くにわたって君臨する実力者だが、政治手法はきわめて古い。簡単に言えば飴と鞭の使い分けである。慕ってくるものは優しく包み込む。かつての自民党議員のようなタイプと思えばいい。だから、「ウイグル人には進学の特別枠を設けるなど配慮を尽くしている。感謝されることはあっても不満などない」などという発言が飛び出す。

 クオーター制度ともいえるウイグル枠に貧しい漢人が反発している。悪循環である。

 少数民族の暴動は力で抑え込むこともできるが、漢人のデモとなるとそうもいかない。今回死者まで出してしまったことは大失態だ。天安門を思い出させるかもしれない。雇用不安などで、中国は全国のどこで民衆の大反乱が起きてもおかしくはない。ウイグル問題の処理には中国のあしたが懸かっているといっても言い過ぎではないだろう。

 
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