酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

高校野球報道はメディアの夏休み対策か?

2008-07-22 03:55:17 | Weblog
全国高校野球選手権大会=甲子園=出場を懸けた地方大会がたけなわである。かつては高校野球の報道は主催新聞(夏は朝日、春は毎日)と他社では紙面の割き方が違っていた。ところが、巨人人気の長期低落傾向に危機感を抱いた読売が、高校野球を大々的に報じるようになってから事態は一変した。


朝日も毎日も読売も、地方大会の段階からスポーツ面で大きく取り上げている。地方紙はもともと地方大会が「主戦場」である。これにNHKや民放まで絡む。かくしてこの国の夏は高校野球一色となり、新聞にはスポーツ面が5面も6面もできる。かてて加えて、今年は北京五輪がある。一体どんな騒ぎになるのやら…。


なぜ、日本のメディアはこれほど甲子園、高校野球に入れ込むのか。「国民の高い支持がある」「純真な球児たちのドラマは、殺伐とした社会のオアシスだ」。公式見解風にいえばこんなところか。だが、高校野球の胡散臭さなどメディアは百も承知である。高野連とべったりなのは特定の新聞社の特定個人だけだろう。旧態依然足るこの組織の変革を訴える報道など、不祥事が発覚したときぐらいで、その追及も極めて甘い。


 甲子園報道に集中するのは、大新聞とNHKの労務対策=夏休み対策ではないか。


 メディアにも夏休みは当然あるだろう。7、8月に消化するのが理想的だ。だが、人員配置はぎりぎりで、何か仕掛けをしないとうまく休暇が回らない。そこで考え付いたのが高校野球をしゃぶり尽くすことだ。


 支局や通信部の若い記者を地方大会ににぶち込む。あれこれ書かせれば、県版の三分の二ぐらいは埋まる。甲子園が始まったら始まったで「郷土の代表」を大きく取り上げればいい。NHKは甲子園に全国の若手アナをかき集める。技術者やカメラもしかりだ。あとは終日ゲームを垂れ流せばいい。これによって、昼の番組を作っていた連中などは長い長い夏休みを堪能できることになる。


 野球に何の興味もなく、ルールさえ知らない新人たちが伝える高校野球とは何か。よく考えほしいものだ。


 メディアの中にもこの異様な現象に疑問を感じている人はいるに違いない。しかし、それが表に出ることはまずない。エコだの地球環境だのと言うのなら、高校野球中継をやめたらどうか。「甲子園の○×戦の熱狂で、電力使用量が史上最高を記録しました」。こんなニュースは聞きたくない。新聞社も紙代が高騰する折、スポーツ面を増やして喜んでいる場合か。


 世界経済は破綻の瀬戸際にある。でも日米の指導者は相変わらずの能天気を決め込んでいる。子どもの棒ふりごっこにかまけて、危機の本質から眼をそらさせるような報道を続けてはならない。
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