酔眼独語 

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液状化するマグレブ

2013-01-20 15:29:16 | 外交
 アルジェリアの人質事件、アルジェリア軍による武装勢力掃討作戦は、20人以上の犠牲者を出すという代償をって一応終了した。軍の公式発表では人質の死者を23人としているが、まだ多数の消息不明者がいるとみられ、事件の全容が明らかとなるのはこれからだ。

 ≪アルジェリア軍は19日、イスラム武装勢力が人質を拘束していた天然ガス関連施設を急襲、4日間にわたった今回の事件が終了した。アルジェリア政府はこの事件で人質23人、武装勢力32人が死亡したと発表した。

  武装勢力に拘束されていた人質の出身国は最大で12カ国。19日深夜までアルジェリアからの情報はほとんど出てこず、日米英など世界各国の首脳は事態を見守った。今回の人質事件をきっかけに、北アフリカに拠点を置くテロ集団による脅威拡大の懸念が高まっている。


 アルジェリア政府高官によると、19日の急襲作戦中に外国人の人質7人と武装勢力11人が死亡した。同高官によると、アルジェリア軍は武装勢力が残る人質の殺害を始めたと確信したため、急襲作戦を実行したという。


 アルジェリア内務省は19日に発表した死者数は暫定的としている。アルジェリア当局は死亡した人質23人の国籍は明らかにしなかった。また、現場から機関銃やライフル銃、散弾銃、ロケット弾、ミサイル、手榴弾、爆発物のベルトを含む武器が回収されたことを明らかにした≫=ウォールストリートジャーナル日本語電子版=。

 日本人を含む多数の犠牲者が出たのは痛恨の極みだ。ただ、20年以上もテロとの戦いを繰り広げているアルジェリアには、強行突破しか選択肢がなかったのも明らかだ。プラント施設への侵入を許した段階で多国籍企業、政府側の「負け」。北アフリカ・マグレブの石油・ガス関連施設警備の脆弱性が浮き彫りになった。

 砂漠の中の巨大プラントにやすやすとテログループが侵入したことは、この地域一帯がさらに不安定化するのではないかという危惧を抱かせる。アフガン、イラク戦争の戦後処理やリビア解体を中途で投げ出したツケともいえる。

 アルカイダはアメーバのような組織といわれており、実態は必ずしも明らかではない。ただ、ソマリアやマリなどの破たん国家には必ずアルカイダもどきの組織がはびこる。シリアもかなり危ない。

 中東、アフリカの「民主化」は、アルカイダの台頭を招く側面もあり、手放しで礼賛するのは禁物だろう。不安定国家の石油関連施設が次々と襲われるような事態になれば、原油価格の高騰も避けられない。

 石油プラント防衛戦略を急ぐ必要があるが、その主体はどこになるのか。アメリカは余力がなく、フランスはもっと力不足だ。アフリカでの権益を拡大しつつある中国が出てくると話はよりややこしくなる。しばらくはマグレブ、中東から目が離せない。
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