酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

野茂クン お疲れさまでした

2008-07-18 05:58:56 | Weblog
 1989年11月26日、東京の赤坂プリンスホテルは異様なざわめきに包まれていた。

 パンチョこと伊東一雄の甲高い声が「第一回選択指名選手 野茂英雄 投手 新日鉄堺」と繰り返していた。8球団から指名された野茂の交渉権は、近鉄が引き当てた。野茂神話の始まりである。


 野茂が引退を決意したという。記者会見ではなくホームページで公表したのが野茂らしい。汗っかきだし、テレビのライトや林立するマイクがうるさかったのだろう。でも、今日あたりは会見に引っ張り出されるのではないか。ご苦労さま。

 野茂が凄いのは、日米とも力で投げぬいたことだ。真っ直ぐとカーブに伝家の宝刀フォーク、球種はほぼこの3種類しかない。これで20年近く一線で活躍できた。類まれな強靭な下半身と豪腕のなせる業だ。

 野茂の魅力は三振の山を築くけれんみのなさだ。もう少し力を抜いて投げれば楽なのに、と思ったりしたが、それでは思うような球が行かないのだろう。


 メジャーのスタンドに「k」ボードをはやらせたのも野茂だ。ア・リーグ、ナ・リーグの両方でノーヒット・ノーランを成し遂げている。メジャーでも両リーグでのノー・ヒッターとなると、サイ・ヤングやノーラン・ライアンほんの数人しかいない。これだけでも野茂の偉大さが分かる。

 15年前、長岡悠久山球場でオリックスの鈴木がプロ本塁打を放った。打たれたのは野茂だ。鈴木はイチロー。外野に芝生もない田舎の球場で、野茂とイチローが初顔合わせをしていた。今日の二人の姿をあの時誰が想像しただろうか。

 野茂には野武士の風格?!があった。いつも腫れぼったい唇を尖らせていたような印象だ。とつとつと語り、技術論も深みにははまらない。心から野球が好きなんだろう。背中で語れるプロ野球選手がいなくなるのは寂しいが、仕方がない。

 地方の独立リーグで、オーナー兼プレーイング・マネジャーをやってくれると最高なんだが…。nomoクラブは都市対抗へ、もう一つは独立リーグの王者。そんな日が来ることを夢見ている。
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「竹島」記述 間の悪さは天才的だ

2008-07-15 05:51:27 | Weblog


12年度から完全実施される中学の新学習指導要領の解説書が公表された。領有権をめぐって日韓が対立している日本海上の岩礁・竹島については「我が国と韓国の間に主張に相違がある」などと記載されているという。

 《文科省は当初「我が国の固有の領土」と明記する方針だったが、韓国の反発を受け政府内で調整。直接的に領有を示す表現を避けた。一方、日本の主張に基づいて指導することも求めており、日韓両国の世論に配慮した玉虫色の記載となった。

 町村信孝官房長官は会見で「李明博(イミョンバク)大統領と福田康夫首相のシャトル外交は軌道に乗っており、日韓関係がぎくしゃくすると、新時代に向けた積極的な動きが頓挫する。拉致問題解決にも悪影響を及ぼしかねない」と述べ、韓国側に配慮したことを明言した。

 韓国は駐日大使の召還を決めるなど反発を強めているが、町村官房長官は「一つの案件で日韓関係が大きく左右されるのは避けたい。冷静な対応を期待する」と述べた》=毎日電子版


 教師が使う解説書にこの程度の記述を載せることにどれほどの意味があるのかよく分からない。書くならきちんと書くべきだ。

 竹島問題では、韓国は国際司法裁判所への提訴に同意せず、軍隊を常駐させて実効支配の実績を積み重ねている。不法占拠も長く続けば既成事実化され、既得権にもなりかねない。現状が好ましくないことは明白だろう。


 にもかかわらず、である。あえてこのタイミングでこんな解説書を出す神経は全く理解しがたい。政治オンチ、外交オンチぶりをさらけ出したようなものだ。


 イミョンバク政権は、BSE問題をきっかけとする反体制派の攻勢を受け青息吐息である。不況の直撃もあり、政権基盤は軟弱になる一方だ。反大統領運動に北朝鮮の息がかかった勢力が浸透していると見るのは、常識だろう。


 その北をめぐっては、核計画の申告・査察などを話し合う6各国協議が終わったばかりである。相変わらず北朝鮮は「行動には行動で応えよ」というだけで、新たな譲歩は拒んだ。日本は重油支援国から外れ、その分を韓国がかぶることになりそうだ、と先日、本ブログで触れておいた。


 北朝鮮国内には「日本はまたも約束を破った」と非難する声が高いとされる。一方、韓国国内では「なぜ、日本の尻拭いをしなければならないのか」との反発が広がっている。牛肉問題と絡め、「日米に屈服するイミョンバク」のイメージを広げようという動きもあるという。


 こんな折、琴線に触れる竹島問題が初めて日本の教科書解説書に登場する。イ政権が心穏やかでいられないのは当然だろう。ここは形だけでも思い切り強硬な態度に出てくるはずだ。駐日大使への償還命令はその第一弾だろう。

 

 《韓国の李明博(イミョンバク)大統領は14日、日本が新学習指導要領解説書に竹島(韓国名・独島)問題を記述したことについて「深い失望と遺憾の念を禁じえない」と述べ、厳重な対応を取るよう指示した。これを受け、外交通商省は権哲賢(クォンチョルヒョン)駐日大使の一時帰国を命じ、事実上の召還措置を講じた

 韓国の駐日大使が召還されるのは、01年4月の歴史教科書問題を巡る摩擦で崔相龍(チェサンヨン)大使(当時)が10日間帰国して以来。

 また、柳明桓(ユミョンファン)外交通商相は14日夕、重家俊範・駐韓日本大使を同省に呼んで強く抗議、解説書から竹島に関する記述を即時削除するよう求めた》=毎日電子版


 福田首相は「お互いの立場がある。しかし、立場は乗り越えて、お互いの理解を深めることは必要なのではないか」(毎日)相変わらずのポーカーフェイスぶりだ。お互いの理解を深めるとは、相手の傷口に塩をなすりこむようなことではないはずだ。主張が正しくても、時機を失すると何にもならない。逆に事態を悪化させることさえある。


 政府の外交センスのなさには、ほとほとあきれる。
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大分汚職は氷山の一角だ

2008-07-13 05:55:46 | Weblog
 大分県教委の汚職事件が世間の話題をさらっている。まったくとんでもない連中だ。でも、これって地方公務員や教員採用、異動でもよくある話ではないか。大分を特殊扱いするのは間違いだろう。この際、教員に限らず公務員の人事問題を徹底的に洗ってほしい。



 毎日新聞は、下記のような分析をしている。多分いくらかは当たっているのだろう。しかし、本質は射ていない。

 《現職の小学校校長や教頭、教育委員会幹部ら計5人が逮捕された大分県の教員採用汚職事件は、昇任試験でも金品のやりとりが明らかになった。県議を含めた複数の口利きルートの存在も浮上するなど、疑惑はさらに広がる様相だ。背景には、県教委の限られた職員に採用権限が集中する構造があり、他地域にも共通する問題点が見えてきた。

 「不正システムが常態化していた」。県教委参事の矢野哲郎容疑者(52)は再逮捕後、弁護士にそう語った。背景には、県教委参事の江藤勝由容疑者(52)が事件時に課長補佐として統括していた県教委義務教育課人事班に権限が集中していたことがある。

 人事班はたった5人で成績の集計から選考、採用後の配属先の起案など実務のすべてを任されていた。採用者名簿も作成し、上層部の決裁はあっても原本との照合はされない。資料は「10年保存」という内部規定に反して、毎年度末には廃棄されていた。

 不正を動機づける状況は、大分だけではない。他の九州各県でも、採用試験に関しては面接の一部を除いて、教委以外の県人事委員会や民間人は関与しない仕組みだ。試験資料も「保存1年」の自治体が多い。

 また、得点の本人開示について、文部科学省は毎日新聞の取材に「全都道府県と政令市は成績を本人に通知している」と回答しているが、実際には多くの自治体が受験者中のA~Cのランク付けだけを通知しているとみられる》


 この記事は何が駄目なのか。

 ①県教委の限られた職員に権限が集中する  
 こんなことはあり得ない。人事班は実務者であり、権限などないに等しい。権限者というなら教育長と審議官だろう。どうやら大分県教委は人事班に責任を押し付けて逃げ切る方針のようだ。

 ②参事の矢野容疑者が述べている「不正システム」とは何か。
 人事班が原案を作ることではなく、人事班に圧力を掛ける存在こそが不正の元凶である。人事班はその言いなりになっていたということではないか。

 ③教委の問題ではなく、県のシステムの問題である。
 県議や国会議員も働きかけを行っていた。おそらく、県幹部もいたはずだ。教員の世界は独特のロジックがあり、多少の不自然さは問題にならない。

 上記①②③の複合汚染が大分県教員汚職の実像だろう。

 

 この問題は、大分県特有ではない。某県では、学閥による支配がいまだに続いているとされる。有力校の校長人事は、閥に割り振られている。金が介在することもあるかもしれない。

 教員試験受験に当たっては「○○さん、××さん、▼▼さんには必ず挨拶をしておくように」などのアドバイスもある。挨拶に何を持参するかは承知していない。


 父(県中堅幹部)が娘に向かっていわく「とにかく合格してくれ。採用は何とかする」。


 大分の例では得点を操作していたとされる。ここまで悪質な例は少ない。国家公務員試験と同じく、教員試験も合格者数と採用数にはズレがある。ここにコネや情実が働く余地がある。


 公務員や教員の採用は議員の腕の見せ所だ。首長も暗躍する。この疑惑がどこまで解明されるかで、日本の将来を占うことができる。大分ともう1県ぐらいかなあ。お先は真っ暗だが、パンドラの箱が開かないとも限らない。
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対北朝鮮政策のジレンマ

2008-07-12 05:35:41 | Weblog
 10日から始まった6カ国協議で、日本の孤立が際立つ。日朝協議は行われず、北への重油支援では「日本の穴をどこが埋めるか」が焦点になる始末だ。

 《北朝鮮は見返り支援の遅れに再三不満を表明しており、期限を示すことで、核施設無能力化の早期完了と核計画申告書の検証に向けた積極的な協力を促す狙いがある。

 首席代表会合に合わせて開かれる同作業部会で具体的な支援計画確定を目指すが、日本は拉致問題を理由に参加を保留。日本の負担分の扱いが最大の焦点となり、調整は難航も予想される。

 同作業部会の議長国、韓国政府当局者によると、北朝鮮は「日本が参加しないのなら残りの4カ国が解決すべきだ」と主張》=共同


 日本は先の日朝協議で制裁の一部解除に同意している。ところが、国内、とりわけ拉致被害者家族らの猛反発を受け、方針を転換した。ここがポイントだろう。

 以前にも指摘したとおり、アメリカのテロ支援国家解除と日本の制裁解除は一連のものであり、気脈が通じていることは明らかだ。サミット前の日米首脳会談でブッシュが「日本を助ける」といった意味はそこにある。日朝交渉が進展しなくても、6カ国全体の枠組みには影響させない--というアメリカなりの決意表明である。

 日本は拉致の調査に進展がなければ、制裁解除には応じない方針らしい。これが日朝協議の合意と矛盾するのか、しないのか。日本も北も、合意をすぐ反故にするという点ではどっちもどっちだろう。

 最も問題なのは、日本政府が①対米②対6カ国③対北④国内向け--の4つのポーズを使い分けていることだ。協議が膠着しているときには破綻は生じないが、動き出すとあちこちでボロが出る。今回のケースはその典型だ。

 結局、日本の分の重油支援は韓国が肩代わりすることになりそうだ。ここから得られる「成果」は何か。

 ①北朝鮮の反日宣伝強化。北は日本の支援がないことをことさらに言い立て「6カ国の中に義務を果たさない国がある」と大宣伝に乗り出だろう。この口実を与えた
 
 ②韓国内に「なぜ日本の分をかぶるのか」と言う声が沸きあがる。弱体化している李政権を攻撃する絶好の材料になるだろう 


 ③日本不参加に不満を表明している中ロの更なる離反。直接の影響は少ないだろうが、領土交渉などに影を落とすことになろう

 
 エネルギーや食料の支援が得られれば、北朝鮮の思い通りだ。日本がいなくても一向に問題ない。こうして拉致問題そのものが6カ国から実質的に切り離されていくことになるのではないか。福田首相や外務省に戦略眼がないからこうなる。


 外交で民主主義国家が独裁国家に後れを取るのは世界史の常識でもあるのだが…。 
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情けないぞ 日本のメディア

2008-07-10 05:23:06 | Weblog
 8日の本ブログで、サミット夕食会の問題点を指摘しておいた。案の定、海外メディアは「ウニをつつきながら飢餓問題を語るなんて無神経」と手厳しく反応してきた。


 《「豪華ディナーを食べながら食糧危機を語るとは」。8日付英各紙は、世界が食糧問題で苦しむ中、主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)に出席した首脳や夫人たちが歓迎夕食会でぜいたくな料理を楽しむのは「偽善的」などと手厳しく報じた。

 各紙とも7日のサミット関係で最も大きく紙面を割いたのはこの歓迎夕食会。「キャビアやウニを食べながら、指導者は食糧危機を考える」。インディペンデント紙はこんな見出しを掲げ、「アフリカの飢餓問題など、食糧危機の協議は、腹の減る仕事なのだ」と皮肉を込めて伝えた。タイムズ紙も、サミットは「過剰な費用とぜいたくな消費で、ひどいスタートを切った」(最大野党の保守党有力議員)といった批判的コメントを並べた》=共同




 情けないのは、これを外国の反応としか伝えられない日本のメディアである。NHKの19時のニュースが、うれしそうにメニューを伝えるのを見て何の感想もわかなかったのだろうか。「変だと思ったが、客観報道なので」などと言う弁解が聞こえる。

 街の人たちの声を一言でも聴けば、海外メディアぐらいの感想は聞ける。巨大な政治ショーとなったサミットの実態をきちんと伝えるべきだ。おいしい弁当を食べて、数千円の土産をもらったぐらいで喜んでもらっては困る。

 下のような記事を書くなら、せめて各食材の時価をどこかに記すべきではないか。札幌のホテルでこのメニューを頼めばいくらになるか、と書いてあればよりましだ。残念ながら毎日新聞(北海道版?)の記事からは批判精神のかけらも感じられない。でも、書いてあるだけまだいいか。

 ブッシュのヘリ問題とか仔細に点検していけば、サミットの実像を伝えるトピックはいくらでもあるはずだ。議長総括の記者会見で福田首相が質問をいくつか飛ばしたのに、何の追及もなかった。馴れ合いの会見ごっこはうんざりだ。 
 


 《ザ・ウィンザーホテル洞爺で7日夜行われた福田康夫首相主催の夕食会は、同ホテルの中村勝宏総料理長、斎藤寿、中道博の両顧問が腕を振るった「北海道でしか味わえない料理」がテーマ。オホーツク産の毛ガニなど、道産食材をふんだんに使った和洋折衷メニューとなった。

 今が旬のバフンウニは利尻島産。羊蹄山の伏流水で仕立てたスープは毛ガニをまるごと使い、身の甘さとカニみその濃厚さが口に広がるという。炭火でじっくり焼き上げた網走産キンキの塩焼きは、鮮やかな赤が特徴。ラベンダー畑で有名な美瑛からはユリ根とアスパラガス、ジャガイモがエントリーした。

 メーンの肉料理は白糠(しらぬか)町産の子羊。フランスで「アニョー・ド・レ」と呼ばれる乳飲み子羊の背肉をポアレにし、朝採りのアスパラを添えた。飲み物は「ル・レーヴ グラン・クリュ ラ スル・グロワ」(仏)「磯自慢 純米大吟醸中取り 磯自慢酒造」(静岡)など。【芳賀竜也、三沢邦彦】

《夕食会の主なメニュー》

◇シャンパン酒と共に(ウニとスモークサーモンのパンシュープリーズ)

◇輪島塗の盃(さかずき)による乾杯

◇八寸 流水膳(ぜん)七夕飾り(和牛冷しゃぶ昆布風味アスパラ・ゴマクリーム、ハマグリ・トマト・大葉のゼリー寄せ、車エビの土佐酢ゼリー寄せなど)

◇オホーツク産毛ガニのビスク(スープ)

◇キンキ塩焼き

◇熟成チーズ各種とラベンダーのハチミツ

◇ファンタジーデザートG8(ユリ根ムースのゼリー寄せ、水ようかんなど)

◇コーヒーと果実と野菜のコンフィ

◇飲み物はシャンパン「ル・レーヴ グラン・クリュ ラ スル・グロワ」▽「磯自慢 純米大吟醸中取り 磯自慢酒造」(静岡)▽白ワイン「コルトン・シャルルマーニュ2005 ルイ・ラトゥー》


 はいご馳走さまでした。で、サミットの成果は何かありましたか。

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石原慎太郎の耄碌を哀しむ

2008-07-09 06:00:34 | Weblog
 
 かつては何で障子を破るほどの元気があった石原慎太郎氏も、もう75歳。国の格付けでいえば立派な後期高齢者だ。耄碌するのも無理はない。

 耄碌とは、老いぼれることである。見かけや言動が矍鑠としているからといって内面が衰えていないとはいえない。逆に居丈高な口ぶりが、老化の進行を示す場合もある。意固地、頑固、喧嘩っ早くなるなどはその症状の典型例だろう。

 以下の発言は石原氏の耄碌ぶりを示して余りある。

《皇太子ご一家のお世話役の宮内庁東宮職トップ・野村一成東宮大夫は4日の定例会見で、2016年夏季五輪の招致活動をめぐり、石原慎太郎東京都知事らが皇太子さまに協力要請する方針を示したことについて「招致運動というのは政治的要素が強く、(招致運動の段階から)皇太子殿下がかかわることは難しい」と否定的な考えを示した。そのうえで「政府内でしっかりと詰めるのが先決だ」と述べた。

 これを受け、石原知事は「政府が正式に申し込んだら別な話だと思うね。宮内庁ごときが決めることじゃない。国家の問題なんだから。木っ端役人が、こんな大事な問題、宮内庁の見解で決めるもんじゃない」と語った。

 皇太子さまの招致活動への協力については、石原都知事が1日に福田首相に仲介を要請していた》=朝日・電子版


 東京五輪は東京都が招致するのである。国は基本的には関係ない。これを「建前論」とする声は多い。だが、この意見は、ゆがんでいる現実に照らして建前だと述べているに過ぎない。五輪が国家から離れられないことが多くの問題を生んでいる事実に気づかねばならない。

 石原氏自身、チベット問題が起きる前から「中国の国威発揚のような北京五輪になんか行けるかい」と語っている。五輪をそんな舞台にしてはいけないという認識は正しい。

 ところが、自分のこととなると前言をまるで忘れてしまう。東宮大夫 が木っ端役人かどうかは別にして「(五輪招致は)国運が懸かってるんだから…、国家の問題だ」と繰り返す口ぶりはどうしたことだ。こんな大時代的な感覚では、招致活動の成功はおぼつかない。

 大体、招致活動の旗印に皇太子を担ぎ出そうなどという心根が捻じ曲がっていると言わねばならない。東宮大夫の言を待つまでもなく皇室の政治利用であり、憲法上許されない。皇太子を引きずり回すことになり、招致に失敗すれば傷もつける。臣・石原がその程度の思慮も持っていないとは驚きだ。耄碌以外の何物でもあるまい。

 政府を使って皇太子を引きずり出す。石原氏はまだ希望を捨てていないらしい。石原さん、見苦しいまねはやめましょう。それでなくても東宮は、右から蹴られ、左から叩かれ、前からはなじられ…で大変なのだ。

 都民以外の国民の皆さんにご負担は掛けません。こう胸を張って五輪招致活動に精を出してください。国や皇室に頼るような五輪招致なら失敗するに決まっている。 
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高級リゾートで飢餓を論じるサミットとは

2008-07-08 06:03:39 | Weblog
 洞爺湖サミットが始まった。初日の7日はアフリカ各国首脳を招いての拡大会合が行われ、食料、教育支援などについての話し合いが行われたようだ。

 アフリカの首脳たちは、穀物への投機を規制するようかなり厳しく迫った模様だ。G8の側は「まあまあ」ととりなすのが精一杯だった。なしにろ、アメリカの穀物メジャーや投機筋はこの間の暴騰で大もうけ、ブッシュがこれを規制できるわけがない。

 最終文書は結局無難な表現でまとまるのだろう。

 アフリカ問題に限らず、サミットが現実的な対処策を打ち出せないのは、当事者たちの能力不足もさることながら、現実感覚に乏しい人の集まりになっているからだ。ホワイトハウスや首相官邸にいるだけでは何も分からない。

 時たまの視察はすべて段取りが行き届いており、いわば映画のセットみたいなものである。これで世の中が分かったように思っている連中が、世界の矛盾を感じるわけがない。アフリカ問題を話し合うなら、ダルフールの難民キャンプに1週間ぐらい缶詰になってやってもらいたいものだ。

 それなのに、である。

 福田首相夫妻主催の夕食会は「北海道、大地と海の恵み」をテーマにしたとかで、利尻産のバフンウニなど北海道の高級食材がてんこ盛りだったらしい。

 新鮮な毛ガニをミソまで丸ごと使い、完熟トマト、羊蹄山の流水で仕立てたスープ「オホーツク産毛ガニのビスク“カプチーノ”」。網走産キンキの塩焼き、白糠産子羊のローストは、美瑛のアスパラガス添えだ。ほかにも旬の食材がたっぷりで、世界のグルメたちを堪能させた。

 一体何の会合なんだ。一泊100万円以上もする高級ホテルに泊まって、山海の珍味に舌鼓。よくこれで貧困や飢餓を論議する気になれますねえ。

 警備の都合があるから、ビジネスホテルの泊まれとは言わない。食中りも怖いから、食事も吟味する必要があるのは分かる。しかし、昔の宮廷ディナーのような夕食会は適当ではない。

 こういう暮らしをしているから、社会の反応に疎くなるのだ。

 各国のトップが世間知らずなのは仕方がないとも言える。いまや、彼らを支えるスタッフや政策立案者でさえ、雇用環境や農業現場、学校の実態など何も知っていない。国の施策への反抗がおきにくい日本では、これは致命的だ。

 早くサミットが終わって、戒厳令が解除されないかな。多くの国民はそう思っているはずだ。
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素粒子をめぐる朝日のお粗末

2008-07-05 06:46:10 | Weblog
 朝日新聞夕刊1面の名物コラム「素粒子」が、鳩山法相に「死に神」の称号を贈った問題が、掲載日から3週間たっても収まらない。朝日に寄せられた抗議は軽く2000件を超えているらしい。

 
 確かに品のないコラムであった。筆者もすぐ気づいたと見えて3日後の21日には同じ欄で「死刑執行の数の多さをチクリと刺したつもりです」「風刺コラムはつくづく難しい」「法相らを中傷する意図はまったくありません」などと弁解にこれ努めた。

 
 鳩山からの抗議だけだったら頬かむりを無理を決め込んだのだろうが、全国被害者の会(あすの会)から「私たちへの侮辱でもある」とねじ込まれて万事休したようだ。

 
 30日付けで回答を送付し、2日付けの紙面ではお詫びらしきものも掲載している。「犯罪被害者遺族の気持ちに思いが至らなかった」とし、「批判を厳粛に受け止め、教訓として今後の報道に生かす」などと述べている。


 あらためてコラムの全文を以下に記す。

 永世名人 羽生新名人。勝利
目前、極限までの緊張と集中力
からか、駒を持つ手が震え出す
凄み。またの名、将棋の神様。
    × ×
 永世死刑執行人 鳩山法相。
「自信と責任」に胸を張り、2
カ月間隔でゴーサイン出して新
記録達成。またの名、死に神。
    × ×
 永世官製談合人 品川局長。
官僚の、税金による、天下りの
ためのを繰り返して出世栄達。
またの名、国民軽侮の疫病神。

 「永世○×」と「またの名」をキーワードにした言葉遊びである。その日の夕刊記事に現れた世相を56字ほどで切り取るのが腕の見せどころで、代々〝名文家〟が担当しているらしい。

 
 しかし、短文でばっさり断ずるわけなので、向こう傷が絶えない。殺到する抗議をさばくのも芸のうちなのだ。21日夕刊素粒子はその類である。天声人語でもときどきこういう芸を見せる。「お叱りをいただいた」で始まる一文をものしてしまうのだ。さすがである。

 今回の朝日の対応を見ていると、妙なことに気づく。コラムが「死に神」と名付けた鳩山には何の謝罪も言い訳もしていないのだ。「中傷の意図はありません」の21日付けコラムがあるだけだ(政治部の担当記者を通じて誤っているとか、幹部が一席設けて手打ちしたなどということはあったかもしれないが…)。

 名指ししたのは鳩山である。まず、鳩山に回答すべきではなかったか。


 「死に神」よりも法相を永世死刑執行人と呼んだことの方が問題だ。刑務所には現に死刑執行を担当する職員がいる。彼らが職務と死刑囚との狭間でどれほどの葛藤に苦しんでいることか。「死刑執行人の苦悩」を読めばよく分かる。現存する執行人をこのコラムが深く傷つけたことは間違いない。鳩山はハンコを押すだけで手は汚さないのだ。


 「コンベア式や乱数表で死刑執行を決めたい」という趣旨の発言をしている鳩山には「死に神はほめすぎでした」今後は「絞首台のドアボーイ」と呼ばせていただきます。これくらいの切り替えしがほしかった。

 
 被害者の会の抗議は「遺族が死刑を望むことすら悪いというメッセージを国民に与えかねない」という理由からだ。

 
 小生はあのコラムからそいうメッセージは読み取れなかった。だが、記事は筆者の意図とは別の読まれ方もする。その意味では配慮が欠けていたと言われても仕方がない。書かれる側の痛みを理解できないのが朝日の最大の欠陥だ。

 それは被害者の会への回答文の末尾に端的に現れている。

 「批判を厳粛に受け止め、教訓として今後の報道に生かす」。同じせりふを何回聞いたことか。改竄や盗用の際もそんな言い訳をしたのではなかったか。教訓は生かされない。それが朝日の伝統なのではないかと疑ってしまう。

 素粒子の記述のどこがどう問題なのかを、抗議とは関係なく検証することから始めるべきだ。「反論しにくい団体から言われたので、とりあえず誤っておこう」という姿勢が見え見えだ。それは新聞の自殺である。

 
 もっとも、朝日も毎日も不動産業が本業で、新聞は副業だったか。言論機関と呼ぶのもはばかられる。お粗末な対応を見るにつけ、その思いを深くする。



 
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サミットなんかやめたら

2008-07-03 05:16:20 | Weblog


 来週7日から洞爺湖サミットが始まる。
 
今回のテーマは京都議定書の第一約束期間が終了する2013年以降の地球温暖化問題だったが、第3次オイルショックでどこかに吹き飛んだようだ。

 事前の折衝はCO2排出削減値の基準年設定でつまずいてしまった。日本は削減量が少なくて済む2000年を主張、1990年にこだわる欧州と折り合えなかった。基準年が決まらなければ、目標値は設定できない。こと、地球温暖化に関する限り、サミットの意義はなくなったも同然である。

各国首脳の頭にあるのは、経済問題だろう。歴史的な原油高騰からくるインフレが世界を覆おうとしている。インフレと認めていないのは日米ぐらいのものだ。

大スタグフレーションが必至という状況にもかかわらず、G8は全く無力だ。ブッシュ米大統領は6月、サウジアラビアを訪問し原油の増産を促したが市場は全く反応しなかった。というより、逆に高騰する始末だった。日米は金利政策も採れない。

政策的な無力さもさることながら、集まる首脳自体がポンコツで当事者能力がない。これだけお粗末なサミットも珍しい。

任期満了まであと半年のブッシュは、何とか史上最低の大統領の汚名を晴らすことはできないかと頭がいっぱいのようだ。福田先生はごらんの通りである。英国のブラウンは支持率が10%台。何もできない。メドべージェフはプーチンの手のひらから抜けられない。サルコジは女房も連れてこれない。ベルルスコーニは…。ないないずくしだ。かろうじて存在感があるのはメルケルぐらいか。女一人に頼らねばならないとはG8も情けない。

サミットはもともと、先進国が経済課題を話し合う場だった。現下の危機的経済情勢に対応した宣言や行動計画を示せないようでは会合の意味がない。

サミットにかかる経費は300億円超ともいわれる。財政難の折、こんな大金を掛けて意味のない会合を開くのは無駄の最たるものだ。CO2を撒き散らしながら政府専用機で飛んできて、山海の珍味を味わって帰る。どこに環境への配慮があるというのか。数千人を収容できる国際メディアセンターは、サミット後は取り壊される。1週間しか使わない施設に28億円も投じるとは酔狂にもほどがある。

「大国クラブ」メンバーの8人で世界をリードできる状況ではない。そのことはクラブ員自身も感じている。サルコジは「13カ国」への拡大を主張している。

 BRICsで抜けているブラジル、インド、中国は加わる資格がある。現に胡錦濤は今回呼ばれている。だが、彼らが加わることでサミットの影響力が増強されるかといえば、そうも思えない。逆に論議が総花的になり、さらに具体的提言が減るという結果にもなりかねない。互いに利害が対立するのだから、当然の帰結だ。

 国際的な約束事を決めるのが極めて難しい局面を迎えている。資源本位主義がその根底にあるのではないか。資源国と消費国の有力首脳がひざを突き合わせて論議する会合の方がサミットよりはまだましだろう。ここでも、なかなか結論は出ないだろうなあ。

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終夜営業 コンビによりまず自販機の撤去だ

2008-07-01 05:20:33 | Weblog
 《京都市は市内中心部にあるコンビニエンスストアの深夜営業を規制する方針だ。消灯によって夜間の町並み景観をよくするのが狙い。地球温暖化ガスの市の排出量を抑える効果もある。7月にも業界団体や有識者が参加する研究会を立ち上げ、年内にも具体案を詰め、来年度にも実施する考えだ。環境や景観配慮の動きとして全国的に注目を集める可能性がある。

 深夜営業規制では、長野県軽井沢町が1976年から「静穏保持」を目的に、午後11時から午前6時までコンビニを含む商店の営業を条例に基づく要綱で原則禁止している。しかし、コンビニが集中する都市部の規制は例がないという》=日経電子版

 6月30日の朝日新聞が報じるところによれば、このほかにも埼玉県、東京都、長野県など10の自治体がコンビニの深夜営業の規制を検討しているという。

 狙いは地球温暖化防止策のアピールにあるらしい。サミットに合わせて駆け込みで花火を打ち上げた印象が強い。国会がサミット期間中のライトアップを止めるのと同じレベルのような気がする。

 コンビニの深夜営業規制問題は多くのテーマがごちゃ混ぜで語られているようだ。

 23時から6時までの営業を中止すれば、CO2排出量は数パーセントは下がるだろう。でも、保冷庫をはじめとする設備は稼動しているわけで、まるまる電気を使わないわけではない。削減効果を厳密に測定する必要がある。

 深夜のコンビニは防災や防犯に役立つとの論がある。警察庁がそういっているという(朝日)。確かにその側面はある。

 神奈川県の松沢知事は「(深夜営業の見直しは)青少年の非行防止にもつながる」(朝日)などと述べている。若い連中を誘蛾灯に集まる害虫扱いする議論だ。

 味噌もくそも一緒くたに議論しても始まらない。コンビニがなくなることで、夜型のライフスタイルが変えられる、などという意見もある。夜型と日中型のどちらがエネルギー消費が少ないかの検証もなしに語られても困る。

 コンビに以外にも終夜営業の店舗はいくらでもある。これらはどうするのか。

 多面的に検討すればいい。規制ありきより、店側の判断だ。消費者の側の判断もある。人が行かなければ、店舗自体がなくなる。

 そんなことより、全国に550万台も置かれている自販機の撤去に手をつけたほうがいい。タスポ導入で、たばこの自販機が終夜通電になるという。何を考えているんだか。道路という道路に自販機が立ち並ぶ異様な光景こそ、一掃されてしかるべきだ。景観を守るというならこちらが先ではないですか、門川市長。

 アメリカの自販機数は720万台で日本より多い。だがあちらは人口が日本の2・6倍、面積は25倍だ。密度が全く異なる。

 路上の自販機は一掃する。まず、これでしょう。
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