酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「連立号」はどこへ行く

2009-09-09 21:10:12 | Weblog
 話し合いが始まってから1週間弱、ようやく民主、社民、国民新3党による連立政権協議が合意に達し、調印にこぎつけた。

 《民主党の鳩山由紀夫代表、社民党の福島瑞穂党首、国民新党の亀井静香代表は9日夕、国会内で会談し、連立政権の樹立に向けた「3党連立政権合意書」に署名した。鳩山氏は会談で、両党に党首クラスの入閣を要請した。

 政策合意には、郵政事業の抜本的見直しや後期高齢者医療制度の廃止、労働者派遣法の抜本改正など10項目を明記。焦点の外交・安全保障政策では「日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」などとした》=日経NET=

 ようやくと書いたが、主張の異なる政党が一緒に内閣をつくろうというのだから、これぐらいの時間がかかっても不思議ではない。だた、ここまでの“前技”のやり方はかなりおかしい。自公連立と同様、数合わせのための連立と言ってもいいだろう。

 そもそも、民主党は連立を志向する必然性があるのか。

 衆院では3分の2に近い圧倒的多数を擁する。参院でも過半数には届かないが第1党の地位にある。課題ごとに連携すれば法案を通すことにそんなに難渋するとは思えない。これから繰り出す政策に自信があるなら、あえてブレーキを備える必要はなかったのではないか。共産党は「建設的野党」に転じ、公明党も「是々非々でいく」と言っているではないか。

 連立協議で最後までもめたのは在日米軍がらみの問題だ。社民党のここまでの抵抗を予想していなかったのだろう。最後は民主党が折れた格好だ。

 在日米軍再編と日米地位協定の見直しをアメリカに求めていくこと自体は間違っていない。いずれかのタイミングでなされるべき政策だ。問題は、なぜこれが選挙の3党共通政策に盛り込まれず、連立協議になって持ち出されたかだ。

 民主党の対米政策は、選挙戦で自民党が唯一の突破口と噛み付いた「弱点」だ。だからこそ民主党はマニフェストではインド洋にしろ、在日米軍にしろ踏み込んだ表現を避けた。選挙が終われば、これである。

 大事な争点を選挙から遠ざけ、勝ったらまた呼び戻す。こうした手法は有権者を馬鹿にしたやり方だ。これでは自民党と変わらない。

 日本の連立政権では自公連立に見られるように「尻尾が胴体を振り回す」逆転が目に付く。定額給付金が実現した経緯を見れば一目瞭然だが、尻尾の言うことと頭が考えることに整合性がなければ、その政権が目指す方向が分からなくなる。

 民社国連立も同じようなことにならないか。社民党は護憲と平和、国民新党は郵政民営化見直しが1丁目1番地の公約だ。どちらも大事な案件ではあるが、新政権がいの一番に取り組む課題かとなると、疑問が残る。

 いまはまず、雇用の回復、社会保障の再構築、経済の建て直しが最優先課題だろう。鳩山に求められるのは、メリハリを付けてスピーディーに課題を処理する迫力だ。ブレーキにばかり気を使っていては、車は前に進まない。
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新疆情勢は極めて深刻だ

2009-09-05 06:38:58 | Weblog
 中国の新疆ウイグル自治区の中心都市ウルムチで漢人(族)による大規模なデモがあり、自治区トップに「辞めろ」コールを浴びせたという。

 《中国国営新華社通信によると、新疆ウイグル自治区ウルムチ市で三日、地元政府の対応に不満を持った漢族住民数万人が抗議デモを行った。七月の騒乱後も緊張状態が続いている同市で、政府への反発が広がっていることを示した。

 ウルムチ市では注射針を使ったとみられる刺傷事件が相次いでおり、デモはこうした治安悪化に抗議したものだという。しかし、地元住民は本紙の電話取材に対し、七月の騒乱後拘束されたウイグル族の一部が釈放されたことに、漢族が不満を持ったことが抗議の原因だと指摘した。

 この住民はウイグル族の釈放について「中国政府が建国六十周年を控え、民族団結を強調するために行った」と説明。反発した漢族が市中心部の市政府や自治区政府などを取り囲み、「厳正な処罰を」などと叫び、自治区トップの王楽泉共産党委員会書記の辞任を求めた。二日にも数百人規模の抗議デモが行われたという》=東京web=

 3日のデモでは武装警察の鎮圧行動によって、市民3人が死亡したことが確認された。これは容易ならざる事態だ。ウイグル人(族)の暴動より深刻といってもいい。現地政府が「人民」から罵声を浴び、叛旗を翻されたのだ。建国60年式典を目前にして、中国政府の動揺は激しいはずだ。

 辺境の地であるウイグルは、漢人たちの生活も厳しい。開拓兵団や地方政府関連の企業に就職している連中はともかく、それ以外は沿海部などとは比べ物にならない暮らしぶりだ。

 カラマイや石河子のように極端に生産性が高い街もある。ウイグル全体が格差社会中国の象徴であり、ウルムチはそれが凝縮された都市なのだ。

 自治区書記の王楽泉は「ウイグルの皇帝」とも呼ばれ、もう20年近くにわたって君臨する実力者だが、政治手法はきわめて古い。簡単に言えば飴と鞭の使い分けである。慕ってくるものは優しく包み込む。かつての自民党議員のようなタイプと思えばいい。だから、「ウイグル人には進学の特別枠を設けるなど配慮を尽くしている。感謝されることはあっても不満などない」などという発言が飛び出す。

 クオーター制度ともいえるウイグル枠に貧しい漢人が反発している。悪循環である。

 少数民族の暴動は力で抑え込むこともできるが、漢人のデモとなるとそうもいかない。今回死者まで出してしまったことは大失態だ。天安門を思い出させるかもしれない。雇用不安などで、中国は全国のどこで民衆の大反乱が起きてもおかしくはない。ウイグル問題の処理には中国のあしたが懸かっているといっても言い過ぎではないだろう。

 
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アメリカは民主党政権を警戒しているのか

2009-09-02 06:03:59 | Weblog
 鳩山民主党政権が16日に発足することになった。メディアの多くが世論調査を行い、民主党政権への期待度を測っているが、概ね好評のようだ。

 《共同=共同通信社が、政権交代確定を受けて8月31日、9月1日に行った全国緊急電話世論調査で、新首相となる民主党の鳩山由紀夫代表に「期待する」と答えた人は71・1%となった。直接の比較はできないが、昨年9月の麻生内閣発足直後の支持率48・6%を大幅に上回っており、新政権への期待度の強さをうかがわせた。「期待しない」は20・2%だった》

 《読売=読売新聞社が8月31日~9月1日に実施した緊急全国世論調査(電話方式)で、「民主圧勝―自民大敗」の衆院選結果を「よかった」と思う人は68%に上り、民主党中心の政権に「期待している」との答えは71%に達した》

 民主党への親和度が朝日と並んで高く出る傾向を持つ共同と、自民党寄りの結果を示すことが多い読売が共に「民主党への期待度71%」で並んだのが面白い。世の中の気分はそんなところか。

 朝日は世調が遅れているようだが、いつ掲載するのだろう。遅れといえば、1日の朝日の社説は平常スタイル。毎日、読売は大型の社説を掲げていた。これだけの政変劇について朝日は「選挙まとめ」1回だけでお茶を濁すのかと思っていたら、今日になって「鳩山新政権」への注文を大型版で書いていた。ワンテンポずれている。

 鳩山民主党政権については海外の関心が高いようだ。目を引くのは次の報道だ。

 《米紙ワシントン・ポストは1日付の社説で、日本の総選挙に勝利した民主党の鳩山由紀夫代表を「経験のない政治家」と論評。鳩山氏が東アジアに軸足を置いた外交政策を目指していることに触れた上で「日本が米国との決別を模索すること」は「核を持った北朝鮮の脅威」に直面する日本と周辺地域にとってあまりに危険だと主張した》=共同=

 民主党の外交姿勢は当面最大の注目点だ。voiceを転載したNYタイムズの鳩山論文が米国“知日派”の間で批判を浴びたのは記憶に新しい。

 《民主党の鳩山代表が27日付の米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)に寄稿した論文をめぐり、米国内に波紋が広がっている。「米国主導」の世界経済の体制を批判的にとらえ、アジア中心の経済・安全保障体制の構築を強調した内容が、米側の目には「現実的でない」と映るようだ。専門家らの間には日米関係の今後に懸念を抱くむきもある》=朝日com=

 アメリカの知日派というのは、基本的にマッカーサーと同じような認識ではないか。「日本は12歳の子どもだ。だから優しく保護しないと」というあれである。

 鳩山・民主党は「対等な日米関係」を標榜している。衰えたりとはいえアメリカは世界のスーパーパワーだ。これと対等な関係が何を意味するか十分伝わってこないが、意気込みは分かる。相手が誰であれ、対等といわれるとむかつくのが米保守メディアだ(かつての母国イギリスと憧れの文化国家であるフランスだけは別格だが…)。

 このポスト論文は、実はホワイトハウス向けだ。ユニラテラリズムとの決別を宣言したオバマに対する警告とも見て取れる。「アメリカの国益に背くものは許してはならない」ということだ。

 いつもながらのお節介、ありがたく大きな迷惑だ。オバマと鳩山がどこへ向かうかは定かでないが、ブッシュ・小泉関係よりましなことは間違いない。金魚とそのウンチ状態には終止符を打つときだ。

 
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「利ざや稼ぎ」の政治に終止符を

2009-09-01 06:22:07 | Weblog
 8・30衆院選は民主党が圧勝、歴史的な政権交代が実現することになった。自民党は2ケタ割れこそ免れたが、議席をほぼ3分の1に減らす大惨敗。党再生か消滅かの崖っぷちに立たされた。

 首相指名を行う特別国会は15日に召集される。まあ、この2週間、民主党、鳩山、小沢らに関してアングラを含めさまざまな情報が乱れ飛ぶことになるだろう。目を凝らし、耳を澄ませていないとわけが分からなくなりそうだ。

 民主党が何ほどのことができるだろう。そう思っている人が多いはずだ。確かにその側面はある。だが、要はやり方だ。既得権者と談合し、不都合な情報は国民から遠ざける、隠す。自民党はこの手法で権力を維持してきた。新たな政権は、まずここを一新すべきだ。

 新政権に政策実行の迅速化を促す声がある。経済や雇用の状況をみれば、最もな指摘だ。でも、初めてハンドルを握った人物にいきなりフル・スロットルで走れというのも酷な注文だ。「ゆっくり急げ」ぐらいの叱咤にとどめておこう。

 小泉政権以降の政治(経済も)で際立つのは「利ざや稼ぎ」に狂奔する姿だ。政治における利ざやとは何か。適当なキャッチフレーズをぶち上げ、人気を博した人物を政党のトップに据える戦略?のことだ。

 安倍、福田、麻生。毛色は違うが時価が最も高いときに総裁に担がれ、値が下がると見捨てられた。政党の評価も同様だ。麻生は自民党株が値の付かないぼろ株になっているのも知らないで解散した。これが敗北のすべてだ。

 政治が力量を発揮し、一定の効果をもたらすまでには時間を要する。ここの許容時間がどんどん短くなっている。だから市場でも「さや抜き」が中心の短期売買が主流になる(のかな)。人間がどんどんせっかちになり、短気になっている気がしてならない。社会全体が「キレやすく」なっているのではないか。

 せっかく政権交代が実現した。これを有効に使わない手はない。新政権には、とにかく情報の開示に努めてもらいたい。「知らしむべからず」の政治から脱却することが最優先課題だ。くだらない!マニフェストの実行を急ぐのは「さや稼ぎ」を意識するためだ。評価は歴史に任せるぐらいの大きな気持ちで、政治改革に突き進んでほしい。
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