好きな色 好きな季節と たずねしが
一番知りたき “人”の名聞かず …poppo
私は引き出しからあのカセットテープを取り出すと、テープレコーダーに入れた。
ジュンサンの明るい声が流れ出す…。
あの日、12月31日私に“好きな人”の名前を教えてくれるって、「必ず来いよ」って約束していたのに…。
なぜ、約束の時間に来なかったの?
それなのに、なぜあんな時間に、あんな場所で事故になど…
私に会いに来ようとしていたんでしょう?
学校へは転校の手続きがとられていたという。
でも、転校先の学校名はなくて、いったいあなたはどこへ行こうとしていたの。
私に何も告げずに…
12月31日。
私は朝から落ち着かなかった。
今日は約束の日。
何色のマフラーをして行こうかしら?黄色?それとも白?
やっぱりジュンサンの好きな白にしよう。
ジャンパーも白にして…、雪が降ればいいなぁ…。
ヒジンたら、取って置きの耳あてを出してきて、可愛くして行けだなんて、小さくてもやっぱり女の子ね。
「あのかっこいいお兄ちゃん、どうして晩御飯食べないで黙って帰っちゃったのかしらね。」
「ほんとね。きっとお母さんに早く帰りなさいって、言われていたのを急に思い出したのよ。
それで、帰ると言ったらきっとヒジンが悲しがると思って黙って帰っちゃったんじゃないかな。」
「ふーん、そうかぁ。
じゃあ、今日お兄ちゃんにあったら、私はそんな駄々っ子じゃないから、今度はちゃんと言ってから帰ってねって言っておいてね、お姉ちゃん。」
「わかったわ。ヒジンが一緒にご飯が食べられなくて残念がっていたから、また来てねって言っておくわ。」
「うん。」ヒジンがにっこり笑った。
〈ほんと、黙って帰るなんて、今日会ったらそのこともとっちめなくっちゃ。
それから電話番号と住所も聞かないと。
私たちもう付き合っているんだから、それくらいいいわよね。〉
私は時間になると、今日こそはジュンサンより先に約束の場所へ行こうと家を出た。
雪が降ってきて寒いけれど、白いマフラーとジャンパーが雪の色と溶け合って、きっとジュンサンは気に入ってくれるはず。
早く来ないかしら。
そして、早くジュンサンの言葉を聴きたい。
私も…、言いたい。
そうしたら、私たち本当の恋人同士よね。
でも、ジュンサンは来なかった。
何時間待っても、新年を告げる花火が上がっても、ショーウインドウの明かりが消えてしまっても…。
ずいぶん遅くなってしまった。
お母さんに怒られるわね。
しかたなく私はバスに乗って家へと向かった。
バスの外の道路が何か騒がしい。
年末年始で道路が混んでいる上に、事故でもあったのかしら?
でも私は、なぜジュンサンが来なかったのか、「必ず来いよ。」と言っていたのに…、それだけが頭の中をぐるぐると回っていて、何も考えることができなかった。
まさか、その事故がジュンサンだなんて思いもせず…。
好きな色も、好きな季節も、好きな食べ物も覚えたけれど、一番聞きたかった「好きな人の名前」― 聞かなくても分かってるわ、でもあの日あなたの口から聞きたかったのに…。
そして、なぜ初雪の日黙って去ったのか。
なぜ転校したのか。
もう何もジュンサンに聞くことはできない。
後悔と疑問だけが残されてゆく…
一番知りたき “人”の名聞かず …poppo
私は引き出しからあのカセットテープを取り出すと、テープレコーダーに入れた。
ジュンサンの明るい声が流れ出す…。
あの日、12月31日私に“好きな人”の名前を教えてくれるって、「必ず来いよ」って約束していたのに…。
なぜ、約束の時間に来なかったの?
それなのに、なぜあんな時間に、あんな場所で事故になど…
私に会いに来ようとしていたんでしょう?
学校へは転校の手続きがとられていたという。
でも、転校先の学校名はなくて、いったいあなたはどこへ行こうとしていたの。
私に何も告げずに…
12月31日。
私は朝から落ち着かなかった。
今日は約束の日。
何色のマフラーをして行こうかしら?黄色?それとも白?
やっぱりジュンサンの好きな白にしよう。
ジャンパーも白にして…、雪が降ればいいなぁ…。
ヒジンたら、取って置きの耳あてを出してきて、可愛くして行けだなんて、小さくてもやっぱり女の子ね。
「あのかっこいいお兄ちゃん、どうして晩御飯食べないで黙って帰っちゃったのかしらね。」
「ほんとね。きっとお母さんに早く帰りなさいって、言われていたのを急に思い出したのよ。
それで、帰ると言ったらきっとヒジンが悲しがると思って黙って帰っちゃったんじゃないかな。」
「ふーん、そうかぁ。
じゃあ、今日お兄ちゃんにあったら、私はそんな駄々っ子じゃないから、今度はちゃんと言ってから帰ってねって言っておいてね、お姉ちゃん。」
「わかったわ。ヒジンが一緒にご飯が食べられなくて残念がっていたから、また来てねって言っておくわ。」
「うん。」ヒジンがにっこり笑った。
〈ほんと、黙って帰るなんて、今日会ったらそのこともとっちめなくっちゃ。
それから電話番号と住所も聞かないと。
私たちもう付き合っているんだから、それくらいいいわよね。〉
私は時間になると、今日こそはジュンサンより先に約束の場所へ行こうと家を出た。
雪が降ってきて寒いけれど、白いマフラーとジャンパーが雪の色と溶け合って、きっとジュンサンは気に入ってくれるはず。
早く来ないかしら。
そして、早くジュンサンの言葉を聴きたい。
私も…、言いたい。
そうしたら、私たち本当の恋人同士よね。
でも、ジュンサンは来なかった。
何時間待っても、新年を告げる花火が上がっても、ショーウインドウの明かりが消えてしまっても…。
ずいぶん遅くなってしまった。
お母さんに怒られるわね。
しかたなく私はバスに乗って家へと向かった。
バスの外の道路が何か騒がしい。
年末年始で道路が混んでいる上に、事故でもあったのかしら?
でも私は、なぜジュンサンが来なかったのか、「必ず来いよ。」と言っていたのに…、それだけが頭の中をぐるぐると回っていて、何も考えることができなかった。
まさか、その事故がジュンサンだなんて思いもせず…。
好きな色も、好きな季節も、好きな食べ物も覚えたけれど、一番聞きたかった「好きな人の名前」― 聞かなくても分かってるわ、でもあの日あなたの口から聞きたかったのに…。
そして、なぜ初雪の日黙って去ったのか。
なぜ転校したのか。
もう何もジュンサンに聞くことはできない。
後悔と疑問だけが残されてゆく…