優緋のブログ

HN変えましたので、ブログ名も変えました。

女王 卑弥呼

2008-06-06 18:37:31 | 読書
三枝和子著 講談社


卑弥呼は美しい。
黒曜石をはめ込んだようなきらきらとした目。
しかし、その瞳には何も映らない。

そのことを知っているのは、側に仕える千千女(ちぢめ)と百百女(ももめ)それに長官の伊支馬(いけめ)弟尊の男具那(おぐな)だけだ。
千千女(ちぢめ)と百百女(ももめ)がかいがいしく仕え、周りにそのことを気づかせることはない。

その美しさは謁見した隣国の支配者をことごとく魅了し、跪かせ、長官の伊支馬(いけめ)や弟尊の男具那(おぐな)さえも密かに焦がれ、まぐわいたいと願っている。


卑弥呼は骨卜をよくした。
幼い頃よりその鋭敏な感覚によって四季の移り変わりや天候の変化読み取り予言した。
「三日あとに大雨が降る。刈り取ることのできる稲は早く刈り取った方がいい」
卑弥呼が言うとその通りになった。


卑弥呼の想いの中にあるのは、邪馬台国の平安と豊穣だけだ。
そのためには邪馬台国を狙う狗奴国王建留(たける)とまぐわうことも厭わない。
しかし、それは恋ではない。


ある日、卑弥呼は突然伊支馬(いけめ)に「まだまぐわえるか」と問う。
女御子を身ごもった卑弥呼は邪馬台国の威容を示す行列を整え、沖ノ島へと向かう。
そこで卑弥呼は予言どおりに女御子を産み、薨る(かんあがる)。
その亡骸は小船に乗せて流された。

卑弥呼亡き後、奥津宮の斎比売(いつきひめ)が卑弥呼の身代わりとなり邪馬台国を治めた。

しかし、斎比売(いつきひめ)は5年後に死に、その葬儀後邪馬台国は乱れに乱れた。

女帝・氷高皇女

2008-06-04 20:21:34 | 読書
三枝和子著 講談社

氷高皇女(ひだかのひめみこ)後の元正天皇は、推古天皇や持統天皇に比べると知名度が低いと思う。
私も永井路子さんの『美貌の女帝』を読むまで知らなかった。
しかし、この無名の天皇は、実は歴史の転換点にいた天皇といえるのではと、本を読んでからとても興味を持つようになった。


この本で、私は三枝和子さんのファンになった。
永井美智子さんとはまた少し違った観点で持統天皇、元明天皇、元正天皇を描いている。

天武の皇后(のちの)持統天皇は、数いる皇子のうち自らが産んだ草壁皇子を日嗣の御子(皇太子)に据え、天武の後を継がせようとする。
そのために、草壁皇子よりも逞しく人望のある大津皇子を謀反を企てたとして死を賜る。

ところが、病弱な草壁皇子は即位する前に突然死んでしまう。
孫の軽皇子を日嗣の御子にするため、やむなく皇后は自ら即位し、持統天皇となる。
それは、それまで続いていた、兄弟相続による皇位争いを収束させるためだった。


天皇の地位も、相続のあり方もまだ不確かだったこの時代、皇女たちも政治に無関係ではいられなかった。
氷高皇女も、藤原氏との確執の仲で未婚のまま母元明天皇より皇位を継ぐことになる。


休むということ

2008-06-03 10:09:15 | おもいつくまま
今の私の状態は、見た目にはとっても元気です。

四月の子宮筋腫での入院が幸いし、うつ病は格段に改善しました。(私の実感では)
人に会うのがいやとか、出かけるのが億劫とかいうことは全くなくなりました。
他にも精神的に楽になった部分がずいぶんあります。

ただ、疲れやすいことと、疲れるとやはり意欲が減退するということはまだ改善されていません。
なにより、眠りが安定していないこと。
このことが、まだうつから完全に開放されていない証拠なのだとドクターは言います。

眠剤ももちろん処方されているのですが、寝つきが悪いことと、必ず一度は目が覚めてしまうこと。
これによって睡眠時間が確保できていないのです。

「何時間寝てます?寝る時間と起きる時間は?」
「11時には布団に入るようにしています。起きるのは5時前後です。(遅くとも6時)」
「6時間睡眠ではこの病気は治りませんよ。」

ドクターのこの一言は痛かったですね。

昼寝は30分程度がよく、頭もリフレッシュされ、それ以上はかえって体のだるさなどがおきるのでよくないといいます。
それはうつ病の場合は当てはまらないのだそうです。

夜睡眠時間が取れないのであれば、「よく昼寝をしてください。できるだけ。」と言われました。
体は休んでいるようでも、あれこれと考え事をしているようでは、心の疲れが取れない。

「怪我や他の体の病気と違って、動こうと思えば動けてしまうのがこの病気の厄介なところなんです。
本人も調子がよいとつい動いてしまうし、家族や周りの人にも理解されにくい。
もう少しできるという、今ある力の8割から6割でとどめて、疲れてしまわないようにコントロールしていかないと、なかなか病気からは開放されませんよ。」


結局、『休む』ためには『眠る』しかないということがよくわかりました。