三枝和子著 講談社
卑弥呼は美しい。
黒曜石をはめ込んだようなきらきらとした目。
しかし、その瞳には何も映らない。
そのことを知っているのは、側に仕える千千女(ちぢめ)と百百女(ももめ)それに長官の伊支馬(いけめ)弟尊の男具那(おぐな)だけだ。
千千女(ちぢめ)と百百女(ももめ)がかいがいしく仕え、周りにそのことを気づかせることはない。
その美しさは謁見した隣国の支配者をことごとく魅了し、跪かせ、長官の伊支馬(いけめ)や弟尊の男具那(おぐな)さえも密かに焦がれ、まぐわいたいと願っている。
卑弥呼は骨卜をよくした。
幼い頃よりその鋭敏な感覚によって四季の移り変わりや天候の変化読み取り予言した。
「三日あとに大雨が降る。刈り取ることのできる稲は早く刈り取った方がいい」
卑弥呼が言うとその通りになった。
卑弥呼の想いの中にあるのは、邪馬台国の平安と豊穣だけだ。
そのためには邪馬台国を狙う狗奴国王建留(たける)とまぐわうことも厭わない。
しかし、それは恋ではない。
ある日、卑弥呼は突然伊支馬(いけめ)に「まだまぐわえるか」と問う。
女御子を身ごもった卑弥呼は邪馬台国の威容を示す行列を整え、沖ノ島へと向かう。
そこで卑弥呼は予言どおりに女御子を産み、薨る(かんあがる)。
その亡骸は小船に乗せて流された。
卑弥呼亡き後、奥津宮の斎比売(いつきひめ)が卑弥呼の身代わりとなり邪馬台国を治めた。
しかし、斎比売(いつきひめ)は5年後に死に、その葬儀後邪馬台国は乱れに乱れた。
卑弥呼は美しい。
黒曜石をはめ込んだようなきらきらとした目。
しかし、その瞳には何も映らない。
そのことを知っているのは、側に仕える千千女(ちぢめ)と百百女(ももめ)それに長官の伊支馬(いけめ)弟尊の男具那(おぐな)だけだ。
千千女(ちぢめ)と百百女(ももめ)がかいがいしく仕え、周りにそのことを気づかせることはない。
その美しさは謁見した隣国の支配者をことごとく魅了し、跪かせ、長官の伊支馬(いけめ)や弟尊の男具那(おぐな)さえも密かに焦がれ、まぐわいたいと願っている。
卑弥呼は骨卜をよくした。
幼い頃よりその鋭敏な感覚によって四季の移り変わりや天候の変化読み取り予言した。
「三日あとに大雨が降る。刈り取ることのできる稲は早く刈り取った方がいい」
卑弥呼が言うとその通りになった。
卑弥呼の想いの中にあるのは、邪馬台国の平安と豊穣だけだ。
そのためには邪馬台国を狙う狗奴国王建留(たける)とまぐわうことも厭わない。
しかし、それは恋ではない。
ある日、卑弥呼は突然伊支馬(いけめ)に「まだまぐわえるか」と問う。
女御子を身ごもった卑弥呼は邪馬台国の威容を示す行列を整え、沖ノ島へと向かう。
そこで卑弥呼は予言どおりに女御子を産み、薨る(かんあがる)。
その亡骸は小船に乗せて流された。
卑弥呼亡き後、奥津宮の斎比売(いつきひめ)が卑弥呼の身代わりとなり邪馬台国を治めた。
しかし、斎比売(いつきひめ)は5年後に死に、その葬儀後邪馬台国は乱れに乱れた。