ブロブロガー@くつログ

Proと呼ばれたい...そして日々悪戦苦闘する
Brofessional な職業人の安息の日誌

◇大東亜戦争の開戦は過ちではなかったのか?

2008-07-26 | 歴史認識
> 前回の,東條由布子さんの「外人記者クラブでの演説」についてですが...


なかなか聞きごたえのある,一本,筋の通った演説だったでしょ!

> 日本人としての一つの立場を堂々と主張している点で,立派な演説だと思うのですが
> 後半部分で一点だけ納得できない箇所があります。。。


何ですか?

> 「大東亜戦争(太平洋戦争)の開戦は過ちではなかった」と主張した部分...

なるほど,これまでの日本人の一般通念とは最も大きく異なる部分ですよね,確かに。


> お祖父さまの東條英機元首相の名誉のために「弁明」をしているとしか思えない...

自身の祖父の名誉に関する事ですから,心情としてそのような動機が働く事は止むを得
ない事だと思います...
しかしながら,東條さんはA級戦犯として東京裁判の審理の場に或る時から,家族には
周囲に対する一切の「弁解」を固く禁じていたと聞きます。。。
実際,その言いつけがあったからこそ,戦後60年もの長期に渡って沈黙を守り続けたの
でしょう...並大抵の我慢ではなかった事だと想います...
おそらくは,何度も何度も,繰り返し,繰り返しこの点を熟考し,資料の検討と勉強を重
ねた上で,満を持して,ご自身の所信を披露したのだと思います。。。
多方面から批判のある事は「覚悟の上の言葉」だと思いますよ...それだけ重みのある。


> その点は,演説の最後に「私の言葉に傷ついた方もいるかもしれませんが...」と補足
> している事からも感じる点ではあるのですが,一般的な議論として「負けた戦争」を正
> 当化し得る「理由」など,これまで歴史書を読んでいて見た事がありません。。。

...確かに歴史の記録は,いつの時代にあつても「勝者」の論理で記述されているもの
で,その意味で「正義とは力なり」と云う俗論にも一面の真理を感じる気はします。

> 実際「東京裁判」自体の評価についても,「勝者の茶番である」として,そこに何等の
> 歴史的価値をも認めない人々が大勢いますよね...

もしそうであるなら,戦後60年を経過した現在,「東京裁判」や「靖国神社問題」につ
いて繰り返し語られる事の意味は説明できないと思います。。。
「審判」についてはひとまず置いておいて,そのプロセスと内容を十分に吟味する事には,
現在においても非常に歴史的な意義のある事だと思います。
実際問題,終戦の処理方法として,この様な「歴史的な検証」を可能にしてくれた点で
大いなる価値を感じている人は,少なくないのではないでしょうか。


> もし,敗者の立場から負けた戦争を「過ちでない」と主張するのであれば,それは如何
> なる意味においてでしょうか?


勝敗の結果ではなく,「闘うと云う行為」自体に意味があると考えられる場合でしょう。。
考えてみると,大東亜戦争のプラスの結果として,以下の2点をあげる事ができます。

① 欧米列国の植民地状態にあったアジアの独立を促進したと考えられる事。

② 未だ「富国強兵」の国是から脱却できず,軍国主義的であった日本の民主化を達
成し得た事。


> ②については,アメリカの占領政策が適切であった事の「恩恵」を受けたのであって,
> 日本が開戦時から意図していた事ではないですよね...

確かに結果論にすぎないのですが,「奇跡的」と言っても過言でないほど,みごとな成果
をあげましたよね...多くの日本人が「負けて良かった」と回顧するほど...

> 東條由布子さんは「戦いに負けた事が東條首相の責に帰する唯一の失敗だった」と
> 述べていますから,「開戦が過ちでない」とする趣意は,①についての所見ですよね...

そのとおりだと思います。。。

> でも,大東亜戦争が仮に無かったとしても,アジアの独立は達成できたのではないで
> しょうか?


それに関する私の意見は否定的で,仮に独立を達成し得たとしても,なお相当の時間を
必要としただろうと考えています...
「東京裁判」の歴史的意義についてですが,その最大の意義は「平和に対する罪」と「人
道に対する罪」と云う2つの新概念を提起して,「日本の侵略的行動」を断罪した点にあ
ると思います...

> その2つについては「事後法」であるとの理由で,A級戦犯の責に帰する罪状としては不
> 適切であったと云う意見がありましたよね...

A級戦犯の罪状とするには不適切だと考えていますが,戦後の国際社会の平和を律する
規範を明示した点では画期的であったと思います。。。
「他国の領土を侵犯する事は,国際法上の罪である」と明確に示しました。
...そしてその結果,大戦後なお多く存在していた「植民地」の正当性を説明
する根拠を失ってしまった事を意味していました。。。


> ...なるほど,しかしこれも日本が開戦当初から意図していた結果ではないですね。

日本が開戦時に掲げていた理念は「大東亜共栄圏」と云う,「ヨーロッパ共同体」の様な
「アジア連合の建設」でありました。。。

> しかし,この理念は一方的すぎて「言葉を変えた植民地支配」と受けとめられています
> よね...単に「大東亜戦争」の意義を正当化するための「名分」にすぎないと...

当時としては先進的過ぎて,「詭弁」と受けとめられるかもしれませんが,未だ自由貿易
体制の確立していない国際社会にあって,日本の様に資源に乏しい貿易依存国が自
存を全うする為には,必要不可欠な社会システムと考えられた事は間違いありません。


> 東條さんが東京裁判において,「自存自衛のための止む無き闘い」と力説した所以で
> すね...その点は...

東條さんがこの時残した「東條宣誓供述書」は,開戦時の状況と日本のおかれた立場
を説明するものとしては,非常によく書かれたものであると思います。。。
もちろん「弁明」が目的である訳ですから,日本の立場からの説明である事は当然であり
「開戦決定の責任者」としての説得力ある説明が一貫しておれば十分な訳です。。。


> ...対米開戦が不可避な状況になっていった経緯は分かるのですが,「負ける戦争は
> 絶対にやるべきでない」と云う,孫子流のあたりまえの戦略的観点に立って,もしもハル
> ノートを受け容れる方向で東條さんが国内調整を行っていたらどうでしょうか...?


強圧的なハルノートの内容からすれば,これを受け容れるなど言い出したら,東條さんは
暗殺されるか,もしくは国内にクーデターを勃発して,それこそ日本国内の混乱は収拾不
能になっていただけだと思います...残念ながら...


> ...では,もはや選択の余地は無かった...?

。。。あるのは「一戦して,早期講和」,これだけでしょう...だから「止む無き闘い」です。


> 結局,もっと早い時点で戦争回避策を執る必要があった訳ですね...

前にも書きましたが,日華事変勃発の際にも政府は「不拡大方針」だったのですよ。。。

> でした。。。この戦争は実は中国そしてソ連側が望んでいた戦争でしたよね...

そこに米英が介入したのですよ...そして,泥沼化した...

> ドイツに接近したのも,これへの対抗上の理由からでした。。。

考えれば,日独伊三国同盟の締結が決定的なターニングポイントだったと思います。。。
...対米戦を運命づけた...
この時までは,海軍は徹底的に反対していましたがね...対米関係悪化を見越して。


> 結局,東條由布子さんの「過ちではなかった」と言う意味は,「遅きに失した」と理解す
> るべきでしょうか...?


東條由布子さんの発言の主意は,「東條宣誓供述書」の趣旨どおりに理解して良いと
思います。なので「東條宣誓供述書」の内容に対する批判は,そのまま彼女にも向けら
れる事でしょうね。。。良しにせよ,悪しきにせよです。

> なるほど,お祖父さまに代わって,これを向かえ討つ覚悟か...武士の一分ですね。
> やはり,血は争えませんねぇ。。。


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