ブロブロガー@くつログ

Proと呼ばれたい...そして日々悪戦苦闘する
Brofessional な職業人の安息の日誌

◇日本はなぜ戦争への道を歩んだのか?

2008-07-27 | 歴史認識
> 前回の議論の中で,対米戦争を不可避なものに運命づけた原因は,日独伊三国同盟
> の締結であったと云うお話をしましたよね...

要因としては多数の事柄が複雑に絡み合うのが歴史の常ですが,米国が対独戦を決意す
る事になる限りにおいて,これを主因として間違いではないと考えています。。。

> 現在の日本は米国と「日米同盟」の関係にある訳ですが,日本も将来再び戦争への道
> を歩む事はあると思いますか...?


みんな余り切実な問題としては意識していないのですが,事実日本の自衛隊は既にPKO
として海外で戦争を行っています...
当然,近い将来,戦闘行為にも巻き込まれる事があり得ると,覚悟しなくてはなりません。


> 日本人は大東亜戦争に敗れた経験から,「侵略戦争」を絶対的な罪悪として深く自覚
> しているので,自衛目的以外にその様な心配は不要ではないですか?
> それに地球上の「植民地」も,今ではほぼ皆無ですし。。。

「楽観」こそが危険なのだと思います。
仮に「植民地」が地球上から無くなったとしても,「帝国主義」が無くなる訳ではなく,さらに
また「軍国主義」は,おそらく戦前の様な在り方には戻りえないとしても,日本としてどの程
度の「軍事力」を必要とするかは,国際情勢如何でどうにでも変化するはずです...

> でも,「大日本帝国」は既に無くなって,今では民主的な「日本国」になりました。。。

民主国家であれば「反戦的」と考えるのは無理がありますし,「アメリカ帝国主義」と云う批
判が示すとおり,民主国家でも「帝国主義的」ではありえます。


> 以前 Bro は,「帝国主義という概念を発明したのはレーニンだった(と思う)」と言っていま
> したよね...

ええ...マルクス主義経済学で云うところの,所謂「帝国主義」と云う概念は,レーニンが
主著「帝国主義論」で書いたのが始まりです。。。

> 今回改めてネットで調べてみたのですが,言葉としての「帝国主義」を発明した人は,イギ
> リス自由党のグラッドストンと云う政治家が,保守党ディズレイリ内閣の大英帝国主義的
> 海外膨張主義を批判して用いたのが最初の様です。。。


たしかに「帝国主義」と云う言葉の示す内容は,使う人によって微妙にニュアンスが異なるの
で注意が必要ですね...
グラッドストンの意図した「大英帝国主義的海外膨張主義」と云う概念は,「植民地主義」
と言い替えて,ほぼOKだと思います...内容的には,軍事力を背景とした植民地の直接
統治とその拡大,と云った概念です。
またレーニン以前にもホブスンと云う人が1902年に「帝国主義論」を著していて,植民政策
から離れた資本投下と市場開拓のための資本活動を「文明の堕落」と考え,「帝国主義」
と呼んで批判しています。
レーニンはこのホブスンの影響を受け,マルクス主義の立場から1912年に『資本主義の最高
段階としての帝国主義』を出版した経緯です。


> ホブスン的な帝国主義は,現代の国際金融資本の活動そのものですよね。。。


ええ...しかしホブスンにあっては,なお「労働価値説」の思想が看取され,これがマルクス
主義のレーニンに影響を与えて,帝国主義列強間の衝突を不可避にして共産主義への進
化を促進する「資本の運動法則の最高段階」と考えられました。

> レーニンが建設した「ソビエト社会主義連邦共和国」は,1991年に崩壊しましたよね...

はい,旧ソ連が崩壊した事で「マルクス主義的歴史観」の誤りが実証されたと,私は考えて
いますが,今なお中国,北朝鮮をはじめ共産主義国家は存続しています...

> しかし中国に関して言えば,「市場主義原理」を大幅に取り入れて存続できているので,
> イデオロギーとしての「共産主義」は,とっくに放棄していますよね...

逆説的ですが,「労働価値説」の下では労働者はあまり働かない(笑)...


> 「働かないで食って行きたい...」のが,人間の本性と云う事ですか。。。


近代経済学の立場では,「労働価値説」よりもむしろ「効用価値説」を中心に考えます...

> 何ですか,それは?

水の全く無い砂漠に取り残された人間は,ダイヤモンドよりもコップ一杯の水により多くの価
値を感じる...つまり「需要」の基礎となる主観的な有用性...これが「効用」です。

> なるほど...ではマルクス主義は既に死滅したと考えて良い...?

それはどうでしょうか...?
少なくともホブスン的な意味での帝国主義は,今なお健在です。。。

> しかし「帝国主義」と云う言葉には批判的なニュアンスが強い訳ですが,「グローバリズム」
> の要素としての「国際金融資本の活動」そのものに対しては,むしろ外国資本の活用と云
> う意味でプラスの評価をする事が多くなっていますよね...

結局「労働価値説」の立場に立って,「資本による搾取」を強く意識するから批判的な評価
になってしまう訳です...むしろ資本と労働とは,供に「生産要素」として補完関係にある訳
ですから,対立要素と考える必然性は本来ないのです。。。


> なぜマルクスにおいては「対立要素」と考えられたのでしょうか?


それは「分配問題」が大きく関与したのだと考えます...
つまり生産活動の成果である剰余所得(利潤)は,資本と労働と(さらに敢えて言えば政府)
の間で分配される訳ですが,拡大再生産を極大化する為には再投資に向けられる要素に
還元する事が経済合理性に適う行為であり,これを「資本の必然的な運動」と捉えた...
結果的に労働への分配は,再生産の維持に必要な最低限度の水準に据え置かれる事に
なり,結局「持てる者と持たざる者の格差」は拡大する一方で,これを「資本の搾取」と呼び
やがて階級闘争を惹き起して破綻する運命にあると考えた。。。

> 決定論的唯物史観と云うやつですね...「歴史の必然性」を考える...


...そう,マルクスは社会現象を「科学的」に考察するにあたり,ニュートン物理学の様に,
社会現象にも決定論的な運動法則が存在すると考えていました。。。
簡略に言えば,「資本」を物理学での「エネルギー」の様なものと考えて,その運動法則は
「エントロピーの法則」に従うものだと考えたようです。。。
要するに「平等な社会」こそ,「争いの少ない安定的な社会」であると云う意味です。。。

> う~ん...何か解った様な,解らない様な,そんな気分です...


注意して欲しい事は,マルクス・レーニン主義においては「階級闘争」や「帝国主義戦争」を
「資本主義の必然的な運動」と考えている事です...
そしてこの運動は全世界が共産主義になるまで終わらない...
なので「真の世界平和」を早期に実現するためには,積極的に資本主義打倒の戦いに臨み
勝利する事が必要かつ合理的行動であり,「正義」である。。。

> と云う事は,人類の歴史が戦争を必然的なものと既定する事を説明する理論でもある訳
> ですか...!


。。。ですね。。。


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