梅雨の走りに

2008年06月05日 | Weblog
この時期になると思い出すことがある。

社会人3年目、やっと自分のペースで生活ができるようになってきた頃の話。

あの日は梅雨の晴れ間で気持ちのいい日だった。
外を歩いていたら一本の電話が。高校時代の男友達からだ。

いつもと様子が違う。黙って話を聞いた。

「○○(以後T君)が亡くなった。理由は分からないけど、部屋で見つかった。詳しく分かったらまた連絡するから。」

T君とは同じく高校時代の友人。修学旅行で同じ班になって以来そのグループでつるんでいて、仲良しの一人。電話をくれた友達とT君は家も近く、中学からの同級生だ。
第一報は近所の彼にT君のお父さんからだったらしい。

数日後、T君の家に招集がかかった。
T君は大阪で勤めていたから、連れて帰ってくるのに数日かかった。調べることもあっただろうし。

この時の変わり果てたT君との再会は一生忘れない。ご両親の憔悴ぶりも。
ショックすぎて何も言えなかった。涙すら出なかった。
遺書を読んで、もっとショックを受けた。こんなに前から書き綴っていたなんて。

どうして、周りにいっぱい仲間がいるのに何も相談しなかったのか。
ここまで嫌なら会社を辞めて帰ってくれば良かったのに。

5月の連休は帰ってきたときにみんなで会って遊んだのに。
1週間前、珍しく長電話して、また夏休みに遊ぼうって約束したのに。

亡くなる直前、T君の最後の携帯発信記録は私の携帯番号だった。
この電話には私は出ることができなかった。
この着信に出ていたら、結果は変わったんだろうか?
それだけが、心に引っかかっている。

もう7回忌も終わって一区切りしたので、それまでは毎年T君宅にお邪魔していたけど行かないことにした。ご両親も新しい生活ペースができたのに、いつまでも過去を思い出させては悪いし。

その代わり、私達仲間はこの時期に集まって飲む。
今年もその日が来ます。