
予報通り、前日の午後から、この日の出かける時間になっても、台風2号と列島を覆う梅雨前線は、線状降水帯となって、私の住む地域にも大きな影響がありそうな気配だ。
私は、レッスンを予約しているため電車に乗った。電車は遅延。乗れば速度制限となって30㎞のユックリさ。車内は混み蒸している。雨は斜めに窓を流れる。ハンカチで汗を拭う隣の大型スーツケースの男性。空気は淀んで息苦しさを覚える。誰もが無口。私は、出入口に近い座席の端に立っていた。ストールを外す。車窓から見える田んぼは水を被り、根付いたばかりの早苗が見えないほどだ。「早苗田」は、この時期の季語。などと、頭が遊び出した。一句を捻る。
「早苗田水没線状降水帯」字余り。
「すみません」と、低い声の二十代半ばの女性。数人が身をずらした。その女性は、ドアの側にうずくまると、汗を拭い、傘と分厚い本を持ち直した。そして、じっと何かを我慢している様子。ようやく、一つ目の駅に着くと、女性は降りて行った。
いつもなら気づかない車窓の景色。雨に洗われて彩鮮やかな紫陽花が見えた。「紫陽花」も夏の季語。
「速度制限の車窓青の四葩」。
乗換駅まで30分のところを1時間かかった。それでも、早めに家を出たのが良かったようだ。レッスン時間に間に合いそうだ。レッスンを終えてからフリーダンスを楽しむ。
ノウテンキな自分に呆れながら家路に着くと、知り合い数人が暮らしている住宅地が水に浸かったというニュース。テレビの画面にはゴムボートでの避難の様子が映し出されている。線状降水帯の居座りで、床上浸水の被害が出たらしい。けが人などが居なかったことがせめてもの救いである。温暖化のせいだろうか? 地球の怒りを感じる。
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