福島県、双葉郡双葉町。
東日本大震災にともなう東京電力福島第一原発の事故で
町民およそ7000人全員が避難しました。
今年、避難指示解除を前に「準備宿泊」が始まりましたが
対象は、町の面積の約15%に過ぎません。
双葉高校は、原発からおよそ3キロの距離にあり、
3回の甲子園出場経験を持つ、大正12年創立の伝統校です。
しかし、原発事故で野球部のメンバーもバラバラに避難しました。
ある日、会津の旅館に避難していたセカンド渡邊郁也(ふみや)選手のもとに
千葉県松戸市に避難したキャプテンの岩田智久君から電話が入ります。
それは、メンバーを再結集して練習を再開しようというものでした。
双葉高校は5か所の学校に間借りしながらサテライト授業を存続することになり
4月29日には練習が再開されました。
40人ほどの部員のうち、集まったのは15人。
2011年7月15日、夏の高校野球県大会
初戦の相手は好間高校。
試合は双葉高校が14対0で、5回コールド勝ち。
7月21日の二回戦は、白河旭との対戦でしたが
1点ビハインドで迎えた9回表、ツーアウト、ランナー1、3塁。
渡邊郁也選手は・・・三振に倒れ、膝立ちで天を仰ぎました。
双葉高校単独での高校野球出場は、これが最後になりました。
双葉高校は2016年末で休校し、
その後、中高一貫校に統合されたのです。
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渡邊郁也君は野球を続けながら専修大学に進学
今は「福島中央テレビの報道記者」です。
マネージャーの水野谷瀬里ちゃんは
廃炉作業に関わる建設関係の会社で働いています。
女子マネージャーだった水野谷瀬里ちゃんは
あまりにも思い出がありすぎて、11年間、一度も帰れずにいました。
2022年3月12日放送の特番「11回目の春 バックホーム」の取材では、
原発事故以来、初めて双葉高校(双葉町)に帰りました。
小説家の重松清さんとともに渡邊郁也くんの車で向かった
懐かしいあのグラウンド、毎日通った駅、そして海岸。
彼女の胸に去来するのが何なのか
画像は双葉高校のグラウンドを前に取材しているシーンです。
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他のメンバーも、地元で消防士になったり
復興のための建設現場に燃料を運ぶタンクローリーの運転手になったり
なんらかの形で原発事故の影響を受けて働いています。
そんななかでエース、田仲元貴君は
体育の指導者を目指して仙台大学に進学しました。
「震災で身に染みた野球の素晴らしさと、
仲間との絆の大切さを子供たちに伝えたい」
「いつか双葉高校が復活したなら
双葉高校野球部の監督になりたい」という夢もありました。
彼の夢は、今、取り組んでいることは・・・
文化放送サタデープレミアム
「被災地の真実―双葉高校野球部11回目の春・バックホーム」
取材、出演は小説家の重松清さん、双葉高校OBOG。
放送は
2022年3月12日夕方6時からです。