満員のバスに乗った。杖を突いているから、満員のバスには乗らないことにしているのだが、急いでいる姉と一緒だったので、「まあいいか」と乗った。
私と同じ年ぐらいの人の隣で、つり革につかまった。
その人のそばの席に腰掛けていた若い女の人が、その人に「どうぞ」と半分立ちかけた。
「いいえいいえ。ケッコウです。座っててください。あなた早くから乗ってはるのに。ありがとうありがとう」
と、折角の好意を辞退した。若い女の人は、笑いながら、バツ悪そうにまた腰を下ろした。
次の停留所で少し前へ進んだ。と、また別の女の人がその人に、「どうぞ」と席を立った。
「いいえいいえ。ありがとうございます。あなた座っててください。早くから乗ってはるのに」
また断った。「なにか、座りたくない理由でもあるんやろか?」と姉に小声でささやいた。「そんなに腰掛けたくないんやったら、こっちへ譲ってくれてもええのにね」
女の人は、「次、降りますから」と、その人の横に立ってしまった。
「ありがとうございます。ほんとに申し訳ない。ありがとうありがとう」
両手を合わせて拝んで、座った。
「拝むほどありがたいやろか?」
それなら、なんで断るんだろう? 最初からあっさり「ありがとう」と座ればいいのに。席を譲ってくれた女の人が降りるとき、またテを合わせて「有難うございました」と拝んでいた。
いやー。なんか、うっとうしー。
私と同じ年ぐらいの人の隣で、つり革につかまった。
その人のそばの席に腰掛けていた若い女の人が、その人に「どうぞ」と半分立ちかけた。
「いいえいいえ。ケッコウです。座っててください。あなた早くから乗ってはるのに。ありがとうありがとう」
と、折角の好意を辞退した。若い女の人は、笑いながら、バツ悪そうにまた腰を下ろした。
次の停留所で少し前へ進んだ。と、また別の女の人がその人に、「どうぞ」と席を立った。
「いいえいいえ。ありがとうございます。あなた座っててください。早くから乗ってはるのに」
また断った。「なにか、座りたくない理由でもあるんやろか?」と姉に小声でささやいた。「そんなに腰掛けたくないんやったら、こっちへ譲ってくれてもええのにね」
女の人は、「次、降りますから」と、その人の横に立ってしまった。
「ありがとうございます。ほんとに申し訳ない。ありがとうありがとう」
両手を合わせて拝んで、座った。
「拝むほどありがたいやろか?」
それなら、なんで断るんだろう? 最初からあっさり「ありがとう」と座ればいいのに。席を譲ってくれた女の人が降りるとき、またテを合わせて「有難うございました」と拝んでいた。
いやー。なんか、うっとうしー。