みんな一緒でハッピー

　墓参りの帰り、食堂へ入った。
　空きテーブル一つ置いた隣の大きいテーブルに、家族がついていた。壁際に、おじいさんと左隣がお母さん右隣がお父さん。お母さんがおじいさんの娘みたいによく似ている。が、お父さんとおじいさんが父子みたいに仲が良い。おじいさんの向かいに中学生らしい男の子。お母さんの向かいに、男の子とあまり年の違わない女の子。

　男の子の箸の持ち方がおかしい。箸の真ん中を握って親指を立て、箸をＸ字型に交差させて物を挟む。不細工というより見苦しい。なんできちんと教えてやらなかったんだろうと父親の手元を見ると、同じ持ち方で食べていた。お母さん……と見たら、これも同じ持ち方。おじいさんも女の子も、全員同じ持ち方だった。
　いやあ、一人でもおかしいのに、家族五人が親指立てのクロス箸。他人事ながら恥ずかしい。
　ご飯のあと、5人がめいめいにデザートを注文した。スプーンも揃ってベビーにぎりだった。最後に、おじいさんが紙入れを出した。
（はあ。おじいさん持ちなのか）と思ったら、お父さんもズボンのポケットから財布を取り出した。
　お父さんがお札。おじいさんは硬貨と1円玉。お母さんは、子供となにか喋って笑っていた。

　しかし、平和な光景だった。おばあさんはきっと、お墓にいるんだろう。