一月二十一日
今朝は暖かでしたから、裏庭で花の済んだ寒菊を切ったり、増えすぎた西洋朝顔とジャスミンのつるを切ったりしていました。
ショーが縁の戸を開けて言いました。「灯油のタンク、出しとくよ」
(ヒトが折角用事してる時に、そんなどうでもええことを…)ショーがなにかをするということは、私に「しろ」ということなのです。鋏が要ったり、ネジ回しが要ったり、水が要ったり雑巾が要ったり、接着剤が要ったり、とにかく私がなにかしなければ、ショーに最初から最期まで全部一人で出来ることはありません。
「なに言うた?」
「灯油のタンク、出しとく」
「出しとく、言うても、うちがせんならんねんやろ?」
「うん」とガラス戸を閉めて引っ込みました。
灯油タンクは納屋の横に、ブロックを置いて二個ずつ並べ、硬質プラスティックの箱を逆さにして被せて置いてあります。一つは、上にゴミバケツを置いています。灯油は暮れに5缶買って、今2缶が空になっています。暮れに買った時より310円も値下がりしています。2月いっぱいはまだ必要でしょう。
庭を片付けてから、空タンクを出しました。空缶は両方の箱の下に一個ずつあるので、手間は倍です。二つのタンクを軽トラのそばまで運びましたが、この暖かさだったらあと二つもは要らないだろうと考え、一つをまた元のように仕舞い軽トラには一つだけ積みました。灯油代は私の負担です。
家へ入って、「まだ三つあるから、一つだけトラックに積んどいた」とショーに言いました。「なんのこと?」
「暮れに五つ買うたけどまだ二つしか空いてへん。もう買い足さんでもええと思うけど」
「灯油のタンクが空になってるから、庭から取れるように戸の前まで出しとく、言うてん」
ガラス戸の内側に、ストーヴの油タンクがちょこんと置いてありました。なんという日本語!? 灯油のタンクと言えば、あの赤か青の1,8リットルか2リットル入る四角いプラ缶です。ストーヴのタンクに油を入れる手伝いなどショーは、43年間一度もしたことがありません。
玄関から出て裏へ回って、ガラス戸を開けて、ショーが置いたタンクを持って行き、ゴミバケツを下ろして被せてあるプラ箱を取り、納屋からポンプと軍手を出し、油を補給しました。いつも私が入れるときは30秒かかるのに、10秒でタンクはいっぱいになりました。なんと!
タンクはまだ、空になっていなかったのです。まったく……ショーは余計なことしかしないのです。