「確認」から続き……
11月10日
24号線を法隆寺ICに向かって走り出すと、ナビの『所要時間』が変わった。「到着19時40分」。この道を走っている車のドライバーは大抵、田舎のおじさんおばさんだから急がない。速度40キロから50キロなので、走るほどに到着時間が遅くなる。美味しい料理は期待していないからいいようなものだが、夕食時間を過ぎてしまって「食事なし」ということになってはつまらない。
名阪は、法隆寺より一つ東のICから四日市まで無料になっている。でも、降りたり乗ったりしていると更に時間を食う。ショーは、駐車は上手くないけど割とスピードが好きだ。高速へ入ると110キロで飛ばした。反応は遅いし目は悪いし安い車だから、人の車に当たっても当たられてもお陀仏だ。
『三重』でお昼を回っていた。エリアのレストランで食べる時間が惜しいのでトイレへだけ行って、昔問題になった「赤福」を買って車の中で食べた。何年も、売れ残りの箱だけ換えて売っていた赤福、「ごめんなさい」と誤っていたけど、今も同じかもなあと思いながら、食べた。
到着予定時間は早くなって、18時28分と表示していた。120キロで走ったら2時間で240キロ行けるのに、なぜか残りまだ98キロある。雨がぱらぱらし始め四日市で薄暗くなった。つるべ落としもクソも、お日様がない。 ここで気が付いたのだけど、ナビが音声で案内しない。
「たしか、この辺押したら声が大きくなる筈やけど」
と手さぐりでボタンに触ってみたが、うんともすんとも言わない。拗ねたのかナビ。
高速道路の標識は灯りが点いてなくて見え難い。私がプリントした紙には、「三ケ日のICで降りて10分後戻り」と書いてある。三ケ日は名古屋から4つほど先だ。「みっかびみっかび」と繰り返し言った。なのにショーは名古屋の手前の亀山で外へ出た。 「あっ。こんなとこで出たら、また3時間もかかるわ。折角17時台になったのに」 名古屋のIC を経由するとだいぶ北へ行ってから南東へ行かなければならないので、勿体ないと思って外へ出たのに違いない。高速料金払うのが嫌いなのだ。かなり走ってナビを見たら豊田だった。豊田—豊川—豊岡—その先が三ケ日だ。夕方のこんな時間、普通の道路は24号線より混んでいる。
ショーはしまったと思ったのか、急に無口になった。ところがカーナビは納得しなかった。矢印をぞろぞろあっちへ並べたりこっちへ移したり……。ショーも自信がないのでナビが→→→を並べる方へハンドルを切った。で、ようようまた高速に入った。名古屋南のICだった。
……続く……