170802 データ活用の未来 <「官民データ活用」動き出した>などを読んで
今朝は久しぶりに少しひんやり(ヒアリではなく)としました。日中や寝る前に暑くても、深夜や早暁に少し寒さを感じると、体が休まるように思うのです。おそらく都会での生活ではむずかしいでしょうね。エアコンをかけ放しとなると、そんな体の自然な力がうまれえてこないように思うのです。
今朝はもう一つ気分のいいことがありました。野鳥は毎日いろんな種類が来て、騒がしいのですが、現在地で初めてだと思うのですが(2度目か?)コジュケイが甲高い声ですぐ近くで鳴いている感じです。里山で人がいないところや、山里のゴルフ場などに、決して姿を現さないで鳴くのが聞こえてきます。リズミカルに鳴くので、割合気に入っています。それがもう一つ、短く間欠的に鳴くのがいます。おそらく幼鳥かな、母鳥と一緒に散歩でもしているのでしょうか。それにしても木々に囲まれた分譲地のおかげで、日々楽しめています。
ところで、今日もいろいろ雑事というか、いくつかの和解条項案を準備したり、めずらしく調査嘱託申立書などを作成したりして、あっという間に時間が経ち、すでに5時を回っています。
安倍政権の人事案にはあまり関心がわかないですし、原発安全対策1兆円といった問題は大きい事柄ですので、別の機会に回すとして、見出しのコラムを見て、これは見落としてたなと思いながら、取り上げることにしたのですが、毎日の今日のウェブ情報には掲載されてないため、自分でタイピングしながら紹介しようかなと思う次第です。
筆者は、ローカルファースト研究所代表取締役の関幸子氏です。経済観測の欄で毎回経済専門家などが簡潔にトピック的なテーマについて書いています。関氏が取り上げたのは、昨年12月施行された「官民データ活用推進基本法」です。私自身は初めて聞く法律でした。
この法律について<【解説】官民データ活用推進基本法>というのがあり、これによると、いま話題の「AI」「IoT」「クラウド」が初めて定義されたとして、その要約を掲載していますが、引用できませんでした。法律の条文では、それぞれ①「人工知能関連技術」(2条2項)、②「インターネット・オブ・シングス活用関連技術」(2条3項)、③「クラウド・コンピューティング・サービス関連技術」(2条4項)が正確な表現で、それぞれ、順次以下のように規定されています。
①人工的な方法による学習、推論、判断等の知的な機能の実現及び人工的な方法により実現した当該機能の活用に関する技術をいう。
②インターネットに多様かつ多数の物が接続されて、それらの物から送信され、又はそれらの物に送信される大量の情報の活用に関する技術であって、当該情報の活用による付加価値の創出によって、事業者の経営の能率及び生産性の向上、新たな事業の創出並びに就業の機会の増大をもたらし、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与するものをいう。
③インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)を他人の情報処理の用に供するサービスに関する技術をいう。
さて関氏は、この法律について、「従来の自治体の事務事業や市民生活を根底から変える」と紹介しています。
その重点施策が3つについて言及していますが、うまく説明している印象なので、あえてそのまま引用します。
「一つ目がオンライン化原則。訳3万5000ある行政・民間手続きのほとんどをオンラインで行い、申請に必要であった住民票や戸籍抄本等の提出を不要とした。マイナンバー制度と連動させて公的個人認証を行う。」
たしかにいまオンライン化による申請が普及しつつあることはここ10年近くで感じています。しかし、住民票や戸籍抄本の提出を必要としないといった申請がどの範囲のことを念頭に置いているのでしょうか。たとえば相続登記を含む各種登記申請に必須の住民票、戸籍抄本が不要ということはあまり想定できないのですが、どうなんでしょうね。自動車所有名義変更申請なども印鑑証明書が不要なんてありうることでしょうかね。
たしかにマイナンバー制度と連動すれば、住民票、印鑑証明書を不要とすることは可能ではないかと思うのですが、省庁横断的な対応が近い将来可能になるとは容易に思えないのですが、うまくいけばそれは望ましいことですね。問題はセキュリティ確保が十分かという点、なかなか浸透するのに時間がかかりそうな気がします。
それにしてもマイナンバー制度では、相続と行った複雑なつながりを代替することはできませんし、戸籍抄本というか、改製原戸籍、原戸籍、除籍謄本など膨大な謄本なくしては証明困難と思いますので、この点は、単に個人の同一性証明に限る意味合いで指摘しているように思えます。だいたい、法務省が大々的に宣伝している「法定相続情報証明制度」も、あくまで単純な法定相続を前提としており、相続放棄があったり、代襲相続を含む複雑なケースだと適用されません。
関氏が2つめにあげたのは「国と地方の行政全体の業務見直し、文章や情報のデジタル化、ペーパーレス化等の情報システム改革を図り、人件費抑制、コスト削減を図ることにある。」というのです。
こういったことは従前から徐々に進んでいると思います。問題になった加計学園事件でも文科省の関係職員は交渉をメモをとり、デジタル化し職員間で共有していましたが、他方交渉相手の内閣府などではまったくメモもない(あるいは破棄)、デジタル化もされていないといったことですね。森友学園の近畿財務局でも信じがたいことですが、交渉中のメモはない(一年未満でも契約成立すると破棄する?)、デジタルデータもないというなんとも行政事務として信じられない状況です。そして防衛省における日報問題こそ、問題の本質の一端を露呈した物では内でしょうか。
要は、まず行政事務自体をしっかりとメモなり文書化することがその客観性、検証可能性を確保するのに重要なのに、それを怠っているというか、ま、はっきりいえば隠蔽しているとの疑いを抱かざるを得ない状況に問題があると思っています。その上で、デジタル化は大いにやるべきでしょう。
ついでにいえば、戸籍や登記簿については、最近のものはデジタル化していますが、ちょっと古いのはアナログですね。これがまた読みにくい、達筆というか乱筆(悪筆)というか(昔の捜査機関の作成した供述調書のようで)、解読に時間がかかります。それをデジタル化すると、もっと効率的になりますし、全国のどこからでもアクセスすることも可能になるでしょう。
3つめについては「オープンデータ化の促進が掲げられ、データを2次利用可能なルールを作り、機械判読しに適した形での公開を進め、著作者の許可を得ずに情報の2次利用や自由な編集・加工を可能とする。」というのです。
これは著作権法の大改革になるかのような物言いですが、?と思わざるを得ないのです。著作権法についてきちんと議論しないで、このような新法で、いくらIT等の活用と言っても、それは無理な相談ですね。
私自身は、最近はやりのebooks といったあり方は今後、より進めてもらいたいと思っています。だいたい、書籍なり資料を積んでおく、あるいは大きな倉庫でも借りないといけないような状態はどうかと思っています。それはともかく、著作権者との新たなルール作りができ、その権利保護を図りつつ、デジタルデータを幅広く利用できるようなシステムができることへの期待は抱いています。が、これこそ難題でしょうね。
すでに京大を含む少なくない大学で、古い文献などをデジタル化して公開していますが、著作権の対象外のものですね。官民データの活用はデータ化、縦割り、活用のあり方など、より各地で実践的な議論、実施を重ねて、拡大してもらいたい思います。
なお、この制度への批判的な意見として<日本版オープンデータ(官民データ活用推進基本法)から抜け落ちる政治と政治資金の情報公開>は正鵠を得ていると思います。
自分で打ち込んだたため、少し時間がかかりました。1時間をとっくに過ぎています。今日はこの辺で終わりとします。