たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

タクシー運転手 NHK <地球タクシー「バルセロナを走る」>を見ながら思うこと

2018-06-16 | 心のやすらぎ・豊かさ

180616 タクシー運転手 NHK <地球タクシー「バルセロナを走る」>を見ながら思うこと

 

四半世紀以上前だったと思いますが、外国人向け法律相談を東京弁護士会でやっていた頃、インド人の方が相談に訪れました。相談内容はまったく覚えていないのですが、その職業を聞いて当時驚いた思いが残っていました。たしか最初はインドではタクシー運転手をしていたということでしたが、よく聞いてみると、私と同じ弁護士でもあるというのです。そしてインドでは弁護士としては生活が成り立たず、ドライバーになったというのです。

 

当時のわが国の場合司法試験合格者が年間500人くらいで、弁護士になるひとが大半とはいえ、まだまだ引く手あまたで、仕事は結構合ったと思います。それで国によっては弁護士も大変なんだと驚いたのですが、それから30年近く経ち、最近の弁護士も少々似たような傾向になりつつあるのでしょうか。

 

とはいえ、わが国ではタクシー運転手はたいてい大手企業の社員になっているのではないでしょうか。個人タクシーもそれなりにいますが、自分の自由な運転スタイルといった方はかなり希少な存在ではないかと思うのです。もっと自由なスタイルでやればいいのにと思うのですが、大手タクシー会社と似たような感じに見えるのはあまり乗らないからそう見えるのでしょうか。

 

外国などでタクシーに乗ると、その国によって違いはありますが、結構、自由にいろんな話をしてくれました。ま、外国人と言うこともあるのでしょうか。

 

たとえば、ナイアガラフォールのたしか1kmくらい上流にあるラブキャナルは、大量の有害汚染土壌が発生し、健康被害を訴える人も大勢出て、当時のカーター大統領が緊急事態宣言を発令し、その後アメリカの廃棄物処理法を劇的に変える契機となった場所でわが国でも著名です。そこに四半世紀前私ひとりで訪れ、タクシー運転手の案内で、アメリカEPAが国家的権威をかけて汚染浄化対策を講じた後の状況を聞いたり見たりしました。

 

その運転手は地元出身で、政府は安全宣言を出し、浄化対策を講じた土地を分譲地として売り出したけれども、誰も手を出す人がいないとのことでした。ま、地元の情報などいろいろ話してもらいました。タクシー運転手との有意義な時間をもてました。

 

あるときはカナダの場所は忘れてしまいましたが、地方都市まで電車で行き、無人駅をおりると 一台のタクシーしかなく、それに乗って街の案内をしてもらいましたが、カナダではたいてい助手席に座らされた記憶があり、そのときも横に座って、あれこれ楽しい話題を提供してくれました。中身はすっかり忘れてしまったのですが、友人とドライブしているような感覚にさせてくれました。

 

これがロンドンのタクシーだと、あおのでかい・ゆったりした車で、むろん後部座席で、ほとんど会話をした記憶が残っていません。たまたまかもしれませんが、座り心地はいいですが、話しづらい雰囲気でした。

 

ともかく海外でいろいろタクシーに乗ると、日本での雰囲気との違いをいつも感じていました。

 

そんなとき偶然、今朝NHKBSで<地球タクシー「バルセロナを走る」>を見ました。男女⑷,5人くらいの運転手の方が登場するのですが、それがそれぞれとてもほがらかで、しかも言葉に力があるのですね。生き方もとても心豊かさを感じさせてくれました。

 

あまりにいい言葉が次々とでてきたので、私の記憶量を超えてしまい、いま思い出せません。だいたいそれぞれ自由な服装をして、自分の時間を大事にしながら、生活をエンジョイしていることがよくわかります。だいたい仕事に誇りをもち、楽しんでいます。

 

その中で、ある男性の運転手が言った言葉が心に残ります。たしか今を大切にして満足しているというような話だったと思います。そして過大な望みを持たない、ま、足るを知るでしょうか。仕事でも、男女でも夫婦でも、衝突やけんか・トラブルになるのは、相手によりなにかを求めすぎるというのです。大事なのは相手をリスペクトする事だというのです。そうだ、と思いながらも、難しいことをすらりと本気で話す彼にリスペクトしてしまいました。

 

彼はイスラム教徒で、ほとんどのイスラム教徒は相手をリスペクトして、暴力を振るうようなことはないというのです。たしかに世界中に多くの信者がいて、キリスト教に次ぐというのですから、そうでなければ各地だ問題が起こるでしょうね。

 

ある男性は犬好きで、犬を連れて散歩するそうですが、ひょいと取材中に訪れた芝生で犬を連れた二人の若い女性に近づき、2匹のわんちゃんとすぐに仲良くなって手なずけていました。タクシー運転手の自由さを感じさせる一瞬でもありました。

 

といって経済的には厳しいのは日本とそう変わらないようです。しかし、宵越しの金はもたない?国民性なのか、貯金をするよりいまの生活を楽しむことに重点を置いているようで、それが陽気な一面にもつながるのでしょうか。

 

このバルセロナは40数年前に訪れていますが、タクシーの車窓から見える風景で覚えているのはほんのわずかでした。ただ、人々の陽気な様子はなんとなく記憶の奥底に残っているような感じです。

 

そろそろ一時間となりましたので、この辺でおしまいとします。また明日。