学校教育現場でモンスターペアレンツという言葉が広く知られるようになってもうずいぶんになります。
少なくとも私が講師になりたての頃、その兆しがあって、ただでさえ疲弊している教員の就労環境が刻々と悪化していくのを見ていました。
最近、「カスタマーハラスメント」という言葉が周知されつつあります。
消費者対応と心理・福祉領域にまたがって仕事をしているため、この分野の研修をご依頼いただくことも多々あるので、個人的には「旬」なテーマです。
先日も航空会社2社が共同で、迷惑なお客様に対しての対処方針を発表していました。
事例を知るに本当に、何をしてもいいって訳ではない卑劣な事例もあります。
お客は神様ではなく、あくまでお客であって、お客と従業員はお互いが人格を持った一人の人間です。
なんざんしょ…
本当にそれがわからない劣化した国民が増えたというか、わかっていても感情の制御ができない認知機能の低下した国民が増えたというか💧
30代半ば、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の消費者対応研究会で消費者対応について熱く学んだ時期がありました。
当時は、難クレームの対応事例を会員で熱心に学んでいたのですが、あれは今思えばカスハラへの対処方法について学んでいたのかもしれない。
この研究会には大手企業のお客様相談センターや相談室のトップの方が何人もいらっしゃりトップクラスの対応方法を学び鍛えていただくことができたのですが、
その時にやったことは、徹底したお客の心情理解や背景の理解だったように思います。
今、心理や福祉の領域にいて思うのは、それに加えて疾患や障害(認知症や精神・人格障害)のような脳の機能に由来するもの考慮しなければならないと思われる事例も確実に増えているように思います。
対応難しいですよね…
ご家族とか高齢者や障害者の支援職の方を巻き込んで対応していく他ないってところに追い込まれても立ちはだかる個人情報保護の壁とか、ややこしい時代です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/dd/65ca721b6abe27635571cb7dcefbf789.jpg)
(写真は「photpAC」からお借りしました)
そうは言っても、
にっちもさっちも行かない組織と個人の対話について「ご家族や支援していただいている方にもご相談いただけますか?」みたいな、一旦、ブレイクタイムを意図的に生み出すって大事なんじゃないかなと思います。
それができない方は、そもそも希薄な関係性の中でやり場のない怒りを組織側にぶつけてきていることが考えられます。
破滅した論理を繰り返して、組織を振り回している間は自尊心を満たすことができますが、組織というのはそういうことのために存在しているのではないです。
働く人には役割があります。
その役割が果たせなくなるほど、仕事の邪魔をすれば罰せられます。
自分の主張がなかなか叶えられないからといって、相手を罵詈雑言で傷つける必要もありません。
ご高齢の方に散見される、説教か?と思われる長時間のお電話も迷惑です。
接客の仕事をしていて最もよく私たちが学び、サービスの改善しようと動かずにはいられないのはマナーが良いお客様です。
カスハラには、荒んだ心が見えます。
今、自分の身近なところに、能登半島地震で被災し、行政への不満が鬱積してカスハラ寸前という住人がいます。
行政側にも配慮が足りない面もあるし、住人側も破綻した地域の関係性の中で、個人で声を上げざるを得ず、孤軍奮闘になってしまっています。
クレームを言う人の背景を知ると解決策として提案する中身が変わってきます。
しかし、多くの場合、それらは見過ごされます。
これらを見過ごさない感度の高い応対者もいるにはいますが、そもそも関心がない人には「◯の耳に念仏」です。
それでも、そう言うことができる人は、不要な時間を対応に使うことなく、自分の仕事のストレスを自ら減らすこともできるのではないかと思うのです。
それらを見過ごしたまま「警察や弁護士に相談します」「お電話を切らせていただきます」「対応はこれで終わりにさせていただきます」と言う対処方法が独り歩きしていくことはあってほしくないなと思います。
長きに渡りこの分野で研修を担当しているとそう思うことはよくあります。