![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/e2/333847018aaa91c61a458a3c617012ba.png)
常々思っていたのですが、ソイの筆の持ち方って、
どこかえんぴつ持ちというか、寝かせて持って書いていますよね。
それに比べて本元チョン・ギジュンは、
ぴしーっと立てて持ち、サラサラと文字を書く。
あがりと両班育ちの差を見たような気がいたしました。
シン・セギョンが現代っ子だというだけのことかもしれませんが。
演出だったら細かいね。
《あらすじ》
王の文字を知って、改心したカン・チェユン。
それはまさに王が求めていた彼の役割だ。
最後までトルボクのままでいて、すべてを判断してほしい。
「この計画が、わたしたちを生かすものなのか、殺すのものなのか、
最後まで見届けます」
チェユンは、しっかりと王の期待を受け止めた。
カリオンは、そうしたチェユンの行動をまだ知らない。
チェユンは、それを逆手にとった計画を考えた。
このまま広平大君が行方不明だと思わせておく。
そうすれば、そのうち密本から接触があるはずだ。
泮村にあやしい人物もいる。
自分が密本に潜入捜査をし、チョン・ギジュンを捕らえる。
「わたしがもし、チョン・ギジュンを捕らえて文字が無事公布できたら……」
「また杯か?」
王は笑う。
「その時、ひとつお願いをします。よろしいですか?」
「なんでも叶えよう」
王は約束した。
チェユンは王に最大級の礼を尽くして忠誠を誓うと、嬉しそうに笑った。
ムヒュルは、自分の刀をはじき飛ばした密本の刺客について考えていた。
いったいあれは何者なのか?
チェユンのことは好きになれないが、ムヒュルは彼に忠告した。
「密本には恐るべき刺客がいる。過信せず、気をつけることだ」
それはおそらく、イ・バンジ師匠からの使者を殺した人物。
チェユンもあの技を思い出していた。
兼司僕として宮廷に戻ったチェユンを見て、シム・ジョンスは驚く。
いったい大君はどうなったのか?
ジョンスはカリオンに様子を報告した。
そもそも王が大君を見捨てることは予想済みである。
このまま計画を推し進めよう。
大君はおそらく、チェユンに殺されたのだろう。
やつとは目的が重なる。王の命を狙っている。
「カン・チェユン、あいつめ」
カリオンは嬉しそうにつぶやいた。
一方チェユンは、仮面の男の名がユン・ピョンだと知り、ほくそ笑む。
これでトダム行首と密本のつながりがはっきりした。
文字創製の事実が明らかになった今、不意打ちの公布は無理だ。
大臣たちはこぞって反対し、反発するだろう。
当初の計画を変更するしかない。
斬って斬って斬りまくるしかない。
言葉で、文章で、反対派を斬る。
言葉は刀より強いことを証明しよう。
大臣たちはもとより、集賢殿の学士たちまで、文字創製には反対している。
しかし、王の態度は変わることがない。
座り込みの抗議をするヘガンの前に出て、王は議論を始める。
「文字の創製が朱子学を捨てることになるのか、議論しよう」
王は、三峯先生の言葉を用いて、ヘガンの主張を退けた。
彼らが師とおしいただくチョン・ドグァンの言葉で、彼らは論破されてしまい、ぐうの音もでない。
反対するものたちは、ことごとく論理的な王の言葉で斬られてしまった。
しかし、一番の難物がまだ残っている。
副堤学のチョ・マルリだ。
彼は何枚にもわたる長紙に、意見を書き連ねている。
マルリはサンムンとペンニョンを呼び戻し、王の文字について尋ねた。
もちろんふたりは話すことができない。
マルリは腹を立て、呼びつけたふたりをまた追い出してしまった。
密本たちの計画は、こうだ。
文字の公布など、好きにさせておけばいい。
民衆が文字など覚えられるはずがないのだから、
放っておいてもいずれ廃れてしまうだろう。
だから、文字公布と引き替えに、自分たちが本当に欲しいものを得る。
宰相総裁制への2つの礎。
議政府署事制の実質的な定着と、集賢殿の撤廃だ。
右議政は、宰相総裁制が実現すれば、自分が権力を得られると思っている。
密本組織も一枚岩ではないのだ。
もちろんその点は、チョン・ギジュンもわかっている。
私欲をうまく使い、利用するまでだ。
しかし、大君はいったいどうなったのか。
それが気がかりだ。
右議政は、領議政ファン・ヒと相談し、王に集賢殿の撤廃を求めた。
集賢殿に不満を持つ士大夫たちの不満が、文字創製の一件で爆発したのだ。
このまま官使たちのストライキが続けば、国は建ち行かぬ。
王は立腹し、目をむくが、実はこれは王の計略だ。
領議政に頼んで、議論を誘導した。
どうせ文字を公布しても、何もかわらない。
そうあなどっている大臣たちに餌を与え、公布を認めさせる。
そして文字を管轄する省庁を作る。
取引をするなら、最大限のものを手に入れなければ。
領議政が王とつながっていることは、右議政もうすうす感じている。
シム・ジョンスはその洞察力に舌をまいた。
政治は複雑だ。
集賢殿廃止の混乱をさけるよう、右議政に言われたジョンスは、
副堤学マルリに会いに行く。
大臣たちが文字公布を認めるつもりだと聞かされたマルリは驚く。
「どうせ使われずに消えます」
と涼しい顔のジョンスを、マルリが叱った。
「情けない奴め。王様を理解しておらんな。
13年も温めておられた計画だぞ。王は不可能なことなどなさらない。
お前の知る王が、心血を注いできた計画だ。徒労に終わるものか。
本当に公布されれば、漢字を押しのけ、万民が使う文字になるぞ」
ジョンスはあらためて、その可能性に思い至るのだった。
その夜、ユン・ピョンは手下を連れてチェユン襲撃に出た。
しかし、部屋にチェユンはいない。
彼は、トダム行首の元へ忍び込んでいたのだ。
刀を突きつけ、「お前は密本だな?」と迫る。
「お前らのせいで、ソイと逃げることも邪魔された。
仕方なく大君も殺した。
全人生をかけた計画をお前らが台無しにしたんだ。
残された方法が何かわかるか?」
しらばくれていた行首の態度が一変した。
「計画を台無しにされたのはこちらだ。
お前のせいで密本の書を失い、長い間バラバラだった!」
「最後の手段はチョン・ギジュンを捕まえることだ。やつはどこにいる?」
行首は、チェユンを抱き込もうとする。
「お前とは争う理由がない。お前も王を、殺したいのだろう?」
行首を救いに、ユン・ピョンらがかけつけた。
チェユンはあくまでチョン・ギジュンを捕まえ、王を殺すチャンスをものにしたい。
しかし、行首は彼を説得する。
そんなに簡単に王を殺して満足か?
同じ苦しみを味あわせてやりたいと思わぬか?トルボク?
もしお前が手をかしてくれれば、我々も手をかそう。
お互いの望むものが、より簡単に手に入るだろう。
チェユンは、その誘いに乗った。
カン・チェユンが自ら乗り込んできたことに、
チョン・ギジュンはちょっとした違和感を抱く。
ただ、コクセから聞いたソイの言葉が、彼の行動に裏付けを与えた。
ソイは、トルボクが大君を殺したと言った。
彼女はトルボクを、けして見捨てない。
もちろん、ソイはチェユンに言われて口裏を合わせていたのである。
「どうしてコクセおじさんが会いにくるってわかったの?」
「密本は大君がどうなったか気にしているだろ?
俺よりお前の方が近づきやすいからな」
ふうーん、とソイはうなずいた。
「コクセおじさん、心配してた。兄さんが暗殺を諦めてないって思って。
わたしも王妃様じゃなくて密本に助けられてたら、暗殺を考えたかも」
「俺たち下々のものは、お偉方のせいで人生が簡単に変わっちまうんだ」
ソイは、チェユンが王様に何を頼むのか、興味津々だ。
チェユンは何となく言葉を濁して教えてやらなかった。
王の計画のキモは、密本側が新しい文字の実体を知らないということだ。
「公布されても使われない」
そう信じさせておけば、公布の確約が得られ、最大限の譲歩を引き出せる。
「チェユン、お前はわたしの首を狙って捜査をしていた頃より、
生き生きとしているな」
王はチェユンの様子を見てそう言った。
「王様は、民に生きる喜びを与えたいと仰せでした」
「そうだ、生きる喜び、楽しみ」
「そんなものがあるのですね」
復讐だけを誓って生き延びてきたトルボクは、
今初めて、人間らしい喜びの中に生きているのだ。
「お前の願いと関係があることなのか?」
チェユンは微笑んで、答えない。
(お前の願いとはもしや……)
時間が来て、王はキョンヨンに赴いた。
ジョンスは、自分の不安をギジュンに伝えに来た。
やはり、肝心の文字の正体が隠されているのが気にかかる。
なぜ公開して人々を説得しようとしない?
そこへ、両班崩れのハンが、慌ててやってきた。
彼は、小屋に残されたソイの作図から、文字の正体を推理したのだ。
新しい文字の可能性がわかってきた。
たったの28文字で、とてつもなく多くの言葉が書け、読むことができる。
「君那弥欲」が表していた言葉は、「密本」という発音そのものだったのだ。
ギジュンは、ケパイや飯屋の少女ヨンドゥが文字を書いているのを見て、驚愕する。
彼は、自分の名を書いている。カルペイ。漢字では書くことのできなかった彼の名。
そしてヨンドゥは、すでに文章を書いている。
ギジュンが言った言葉をそのまま書いたのだ。
すべての民が、文字を読み書き出来る世の中……。
それはいったいどんな世の中だろう?
文字は、言葉は、武器だ。
刀より、何より強い武器。
士大夫が士大夫であるのは、読み書きができるからだ。
もし、すべての民ができるとなれば、秩序が乱れる。
士大夫は滅ぶ。
朝鮮の根が滅んでしまう……。
「イ・シンジョクをとめろ!」
ギジュンは大声で叫んだ。
(つづく)
ほっほっほっほ、チョン・ギジュン。
物事の本質を見誤り、迷走しておりますね~。
そもそも、王の文字とはいったいどんなものなのか?
そこに着眼したのはマルリだけ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/32/ad2becccf7fd96466a8c5b5aca856f8a.png)
こういう人と一緒に仕事をしたい。尊敬できる上司です。
あの人、チョ~頑固なおじさんみたいですが、
さすが実直な学者。
ものを見る目がありますね。
集賢殿という、王直属の組織にいたくせに、何もかも王様に賛成じゃないのね。
こういう公平な人をきちんと登用したから集賢殿の中立性が高まり、
よい提案を行うことができたんだね。
マルセンは「集賢殿は王の親衛隊」と言ったけど、
黒も白、と言っちゃうような集団ではなかったと思うよ。
このおじさんを説得するのは至難の業だ。
イ・シンジョクは取引をまとめる気まんまんだけど、
マルリのせいで話が長引きそう。
これは横やりが入って、取引は決裂してしまうのでは……?
そもそも、なぜ独自の文字を作ってはいけないのか?って話ですよ。
やっぱ漢民族が強いんだよね、この時代。
特に朝鮮はできたてほやほやの国家だから、まだ未熟。
武力の面でも恐ろしくて、明にたてつくようなことはしたくないのだ。
学問も、朱子学、儒学が基本で、科挙制度なんかも明にならっている。
文化的にもすぐれた大国に睨まれるようなことは、避けるのが無難無難。
陸続きの国は気をつけないとすぐ攻め込まれちゃうからね。
でも、朝鮮という国家を独立国家として強くしたい!と願っている人もいるはず。
ただ、ギジュンたちのように、
特権階級を守らなければ国の秩序が乱れる!と思っている人もいる。
エリート思想ですね。
余談ですが、現代日本。
一億総中流化時代、と言われた時代に、私たちは一億総化したんだと思っています。
もちろんみな読み書きは出来ますが、多くの人が、
「政治は難しい。素人にはわからない」そう言って、
お偉方のやることから目をそらしてきた。
家族のために一生懸命働いて、高い税金を納め、
お偉方が変わるたんびに生活が少しずつ変化していく。
「俺たちには関係ない、生きるだけで必死だよ」と
いうセリフは、このドラマの中の奴碑の言葉ですが、
現代日本の多くの人々は、同じようにつぶやいているのではないでしょうか?
そんなことを考えると、
「文字が使えたってどうしようもないよ」とチョン・ギジュンに教えてあげたくなる。
国民を骨抜きにして士大夫が国の中枢を握るやり方なんて
いくらでもありますよ~って。
ま、そんな卑屈なことを言ってたってしょうがないので、
自由に読み書き出来るわたしたちはがんばって生きていかなくては。
文字が使えれば、政府の御触書を読むこともできるし、
きちんとした契約書を作ることもできる。
自分たちの生活を守ることができるんです。
民衆が力を得る。
これって、三峯先生が望んだことじゃないでしょうか?
でもギジュンはおののく。
秩序が乱れるって。
気持ちはわからないでもないのよ。
頭が良くて人柄もすぐれた良い指導者が、
本当に人々のためになる施政をおこなってくれたら、
民衆は、難しいことを何も考えずにしあわせに生きていける。
でもさ、本当にそれでいいわけ?
いや、いいかどうかじゃなくて、
もしもすごく悪い、私利私欲に走る指導者がトップにたったら?
王だけが力を持つことも、士大夫だけが力を持つことも、
同じリスクをはらんでいるんじゃない?
しかも自分はリーダーなわけでしょ?
この人、昔っからそうだけど、謙虚さが足りないのよね~。
一族郎党殺されたあの事件にしても、
科挙の試験であんなこと書かなきゃよかったわけじゃない。
自分の賢さをひけらかすから、ああいうことになったんじゃないか。
最下層のになって暮らしたわりに民衆の心を知らないやつだな。
意外に賢い両班崩れハンのおかげで、新しい文字のすごさがわかったギジュン。
ドラマ的には、やはり公布の確約は取れずに終わるのでしょう。
王様サイドは新たな作戦を考えなくてはなりませんね。
チェユンの潜入捜査は、うまくいくかな?
一応「大君を殺してしまい、手詰まりになったチェユン」と思われてるから
しばらくは大丈夫だと思うけど……。
賢い男だよ、まったく。
その賢い男が、「王様に何を頼むの?」とソイにきかれて、
モゴモゴとごまかす様子が何とも言えないの。
アホみたいにまっすぐなソイの視線に、
なぜか照れくさそうなチェユン。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/a1/ba4563d7e2788fbc1f9a5854b131b80e.png)
この微妙な距離感がイイ!単に画角の関係かもしれんが……。
彼の願いはなんだろうねぇ。
ちょっと前には、タムと所帯を持って、しあわせに暮らすことを夢見た男。
でも、もう、そんな個人的な願いは超越していると思うんだよね。
例えば、女官であるタムを解放してほしい、とか、そういうことではないと思うの。
それこそ、奴隷制をなくしてほしい、とか、大きいことを望んでいると思うなー。
あ、もしかして、自分が文字を教える伝道師になって
国中をまわりたい、とか?
そういうのもいいな。
生きる喜び、生きる楽しさを、後ろめたさ無しで本当に味わえるようになったトルボク。
そこへもってきて、目標までできたんだから、
今彼は本当にしあわせなんだろうな……。
ソイといるときは、子どもに戻ったようなチェユンが好きだ。
あの頃の関係性が、今も続いてるよね。
男として彼女を守る、という強い気持ちと、
彼女の賢さを尊敬する気持ち、
バカだなぁと思いながらも、彼女の純粋さを愛しく思う気持ち。
そういうのが伝わってきて、ふたりのシーンはしあわせな気持ちで見ています。
このままだったら大丈夫そうだよね?
きっとしあわせになれるよね?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/83/977819b03e687b64fd1d9763c0720288.png)
あ、やっぱりかわいい。
王様を取り巻く面々が渋く、いい味出してて大好きです。
王の実行力と信念を認め、尊敬しているマルリ。
「大君さまの無事がかかっているのですぞ!」と本気で怒ってるマルセン。
処世術ですじゃ、みたいな顔で、実は陰の実力者ファン・ヒ。
密本側のシム・ジョンスも、以外にクリーンな男で、
だんだん好感が持てるようになってきた。
うぬぼれてる割には、勘が鈍いし。かわいいとこあるじゃん。
問題はイ・シンジョクだよ。
こいつは日和見の悪い奴ですねー。
この人、ホン・ギルドンでもこういう立ち位置だった気がする。
こいつの自分本位な行動が、密本を壊滅に導く……かもしんない。
どこかえんぴつ持ちというか、寝かせて持って書いていますよね。
それに比べて本元チョン・ギジュンは、
ぴしーっと立てて持ち、サラサラと文字を書く。
あがりと両班育ちの差を見たような気がいたしました。
シン・セギョンが現代っ子だというだけのことかもしれませんが。
演出だったら細かいね。
《あらすじ》
王の文字を知って、改心したカン・チェユン。
それはまさに王が求めていた彼の役割だ。
最後までトルボクのままでいて、すべてを判断してほしい。
「この計画が、わたしたちを生かすものなのか、殺すのものなのか、
最後まで見届けます」
チェユンは、しっかりと王の期待を受け止めた。
カリオンは、そうしたチェユンの行動をまだ知らない。
チェユンは、それを逆手にとった計画を考えた。
このまま広平大君が行方不明だと思わせておく。
そうすれば、そのうち密本から接触があるはずだ。
泮村にあやしい人物もいる。
自分が密本に潜入捜査をし、チョン・ギジュンを捕らえる。
「わたしがもし、チョン・ギジュンを捕らえて文字が無事公布できたら……」
「また杯か?」
王は笑う。
「その時、ひとつお願いをします。よろしいですか?」
「なんでも叶えよう」
王は約束した。
チェユンは王に最大級の礼を尽くして忠誠を誓うと、嬉しそうに笑った。
ムヒュルは、自分の刀をはじき飛ばした密本の刺客について考えていた。
いったいあれは何者なのか?
チェユンのことは好きになれないが、ムヒュルは彼に忠告した。
「密本には恐るべき刺客がいる。過信せず、気をつけることだ」
それはおそらく、イ・バンジ師匠からの使者を殺した人物。
チェユンもあの技を思い出していた。
兼司僕として宮廷に戻ったチェユンを見て、シム・ジョンスは驚く。
いったい大君はどうなったのか?
ジョンスはカリオンに様子を報告した。
そもそも王が大君を見捨てることは予想済みである。
このまま計画を推し進めよう。
大君はおそらく、チェユンに殺されたのだろう。
やつとは目的が重なる。王の命を狙っている。
「カン・チェユン、あいつめ」
カリオンは嬉しそうにつぶやいた。
一方チェユンは、仮面の男の名がユン・ピョンだと知り、ほくそ笑む。
これでトダム行首と密本のつながりがはっきりした。
文字創製の事実が明らかになった今、不意打ちの公布は無理だ。
大臣たちはこぞって反対し、反発するだろう。
当初の計画を変更するしかない。
斬って斬って斬りまくるしかない。
言葉で、文章で、反対派を斬る。
言葉は刀より強いことを証明しよう。
大臣たちはもとより、集賢殿の学士たちまで、文字創製には反対している。
しかし、王の態度は変わることがない。
座り込みの抗議をするヘガンの前に出て、王は議論を始める。
「文字の創製が朱子学を捨てることになるのか、議論しよう」
王は、三峯先生の言葉を用いて、ヘガンの主張を退けた。
彼らが師とおしいただくチョン・ドグァンの言葉で、彼らは論破されてしまい、ぐうの音もでない。
反対するものたちは、ことごとく論理的な王の言葉で斬られてしまった。
しかし、一番の難物がまだ残っている。
副堤学のチョ・マルリだ。
彼は何枚にもわたる長紙に、意見を書き連ねている。
マルリはサンムンとペンニョンを呼び戻し、王の文字について尋ねた。
もちろんふたりは話すことができない。
マルリは腹を立て、呼びつけたふたりをまた追い出してしまった。
密本たちの計画は、こうだ。
文字の公布など、好きにさせておけばいい。
民衆が文字など覚えられるはずがないのだから、
放っておいてもいずれ廃れてしまうだろう。
だから、文字公布と引き替えに、自分たちが本当に欲しいものを得る。
宰相総裁制への2つの礎。
議政府署事制の実質的な定着と、集賢殿の撤廃だ。
右議政は、宰相総裁制が実現すれば、自分が権力を得られると思っている。
密本組織も一枚岩ではないのだ。
もちろんその点は、チョン・ギジュンもわかっている。
私欲をうまく使い、利用するまでだ。
しかし、大君はいったいどうなったのか。
それが気がかりだ。
右議政は、領議政ファン・ヒと相談し、王に集賢殿の撤廃を求めた。
集賢殿に不満を持つ士大夫たちの不満が、文字創製の一件で爆発したのだ。
このまま官使たちのストライキが続けば、国は建ち行かぬ。
王は立腹し、目をむくが、実はこれは王の計略だ。
領議政に頼んで、議論を誘導した。
どうせ文字を公布しても、何もかわらない。
そうあなどっている大臣たちに餌を与え、公布を認めさせる。
そして文字を管轄する省庁を作る。
取引をするなら、最大限のものを手に入れなければ。
領議政が王とつながっていることは、右議政もうすうす感じている。
シム・ジョンスはその洞察力に舌をまいた。
政治は複雑だ。
集賢殿廃止の混乱をさけるよう、右議政に言われたジョンスは、
副堤学マルリに会いに行く。
大臣たちが文字公布を認めるつもりだと聞かされたマルリは驚く。
「どうせ使われずに消えます」
と涼しい顔のジョンスを、マルリが叱った。
「情けない奴め。王様を理解しておらんな。
13年も温めておられた計画だぞ。王は不可能なことなどなさらない。
お前の知る王が、心血を注いできた計画だ。徒労に終わるものか。
本当に公布されれば、漢字を押しのけ、万民が使う文字になるぞ」
ジョンスはあらためて、その可能性に思い至るのだった。
その夜、ユン・ピョンは手下を連れてチェユン襲撃に出た。
しかし、部屋にチェユンはいない。
彼は、トダム行首の元へ忍び込んでいたのだ。
刀を突きつけ、「お前は密本だな?」と迫る。
「お前らのせいで、ソイと逃げることも邪魔された。
仕方なく大君も殺した。
全人生をかけた計画をお前らが台無しにしたんだ。
残された方法が何かわかるか?」
しらばくれていた行首の態度が一変した。
「計画を台無しにされたのはこちらだ。
お前のせいで密本の書を失い、長い間バラバラだった!」
「最後の手段はチョン・ギジュンを捕まえることだ。やつはどこにいる?」
行首は、チェユンを抱き込もうとする。
「お前とは争う理由がない。お前も王を、殺したいのだろう?」
行首を救いに、ユン・ピョンらがかけつけた。
チェユンはあくまでチョン・ギジュンを捕まえ、王を殺すチャンスをものにしたい。
しかし、行首は彼を説得する。
そんなに簡単に王を殺して満足か?
同じ苦しみを味あわせてやりたいと思わぬか?トルボク?
もしお前が手をかしてくれれば、我々も手をかそう。
お互いの望むものが、より簡単に手に入るだろう。
チェユンは、その誘いに乗った。
カン・チェユンが自ら乗り込んできたことに、
チョン・ギジュンはちょっとした違和感を抱く。
ただ、コクセから聞いたソイの言葉が、彼の行動に裏付けを与えた。
ソイは、トルボクが大君を殺したと言った。
彼女はトルボクを、けして見捨てない。
もちろん、ソイはチェユンに言われて口裏を合わせていたのである。
「どうしてコクセおじさんが会いにくるってわかったの?」
「密本は大君がどうなったか気にしているだろ?
俺よりお前の方が近づきやすいからな」
ふうーん、とソイはうなずいた。
「コクセおじさん、心配してた。兄さんが暗殺を諦めてないって思って。
わたしも王妃様じゃなくて密本に助けられてたら、暗殺を考えたかも」
「俺たち下々のものは、お偉方のせいで人生が簡単に変わっちまうんだ」
ソイは、チェユンが王様に何を頼むのか、興味津々だ。
チェユンは何となく言葉を濁して教えてやらなかった。
王の計画のキモは、密本側が新しい文字の実体を知らないということだ。
「公布されても使われない」
そう信じさせておけば、公布の確約が得られ、最大限の譲歩を引き出せる。
「チェユン、お前はわたしの首を狙って捜査をしていた頃より、
生き生きとしているな」
王はチェユンの様子を見てそう言った。
「王様は、民に生きる喜びを与えたいと仰せでした」
「そうだ、生きる喜び、楽しみ」
「そんなものがあるのですね」
復讐だけを誓って生き延びてきたトルボクは、
今初めて、人間らしい喜びの中に生きているのだ。
「お前の願いと関係があることなのか?」
チェユンは微笑んで、答えない。
(お前の願いとはもしや……)
時間が来て、王はキョンヨンに赴いた。
ジョンスは、自分の不安をギジュンに伝えに来た。
やはり、肝心の文字の正体が隠されているのが気にかかる。
なぜ公開して人々を説得しようとしない?
そこへ、両班崩れのハンが、慌ててやってきた。
彼は、小屋に残されたソイの作図から、文字の正体を推理したのだ。
新しい文字の可能性がわかってきた。
たったの28文字で、とてつもなく多くの言葉が書け、読むことができる。
「君那弥欲」が表していた言葉は、「密本」という発音そのものだったのだ。
ギジュンは、ケパイや飯屋の少女ヨンドゥが文字を書いているのを見て、驚愕する。
彼は、自分の名を書いている。カルペイ。漢字では書くことのできなかった彼の名。
そしてヨンドゥは、すでに文章を書いている。
ギジュンが言った言葉をそのまま書いたのだ。
すべての民が、文字を読み書き出来る世の中……。
それはいったいどんな世の中だろう?
文字は、言葉は、武器だ。
刀より、何より強い武器。
士大夫が士大夫であるのは、読み書きができるからだ。
もし、すべての民ができるとなれば、秩序が乱れる。
士大夫は滅ぶ。
朝鮮の根が滅んでしまう……。
「イ・シンジョクをとめろ!」
ギジュンは大声で叫んだ。
(つづく)
ほっほっほっほ、チョン・ギジュン。
物事の本質を見誤り、迷走しておりますね~。
そもそも、王の文字とはいったいどんなものなのか?
そこに着眼したのはマルリだけ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/32/ad2becccf7fd96466a8c5b5aca856f8a.png)
こういう人と一緒に仕事をしたい。尊敬できる上司です。
あの人、チョ~頑固なおじさんみたいですが、
さすが実直な学者。
ものを見る目がありますね。
集賢殿という、王直属の組織にいたくせに、何もかも王様に賛成じゃないのね。
こういう公平な人をきちんと登用したから集賢殿の中立性が高まり、
よい提案を行うことができたんだね。
マルセンは「集賢殿は王の親衛隊」と言ったけど、
黒も白、と言っちゃうような集団ではなかったと思うよ。
このおじさんを説得するのは至難の業だ。
イ・シンジョクは取引をまとめる気まんまんだけど、
マルリのせいで話が長引きそう。
これは横やりが入って、取引は決裂してしまうのでは……?
そもそも、なぜ独自の文字を作ってはいけないのか?って話ですよ。
やっぱ漢民族が強いんだよね、この時代。
特に朝鮮はできたてほやほやの国家だから、まだ未熟。
武力の面でも恐ろしくて、明にたてつくようなことはしたくないのだ。
学問も、朱子学、儒学が基本で、科挙制度なんかも明にならっている。
文化的にもすぐれた大国に睨まれるようなことは、避けるのが無難無難。
陸続きの国は気をつけないとすぐ攻め込まれちゃうからね。
でも、朝鮮という国家を独立国家として強くしたい!と願っている人もいるはず。
ただ、ギジュンたちのように、
特権階級を守らなければ国の秩序が乱れる!と思っている人もいる。
エリート思想ですね。
余談ですが、現代日本。
一億総中流化時代、と言われた時代に、私たちは一億総化したんだと思っています。
もちろんみな読み書きは出来ますが、多くの人が、
「政治は難しい。素人にはわからない」そう言って、
お偉方のやることから目をそらしてきた。
家族のために一生懸命働いて、高い税金を納め、
お偉方が変わるたんびに生活が少しずつ変化していく。
「俺たちには関係ない、生きるだけで必死だよ」と
いうセリフは、このドラマの中の奴碑の言葉ですが、
現代日本の多くの人々は、同じようにつぶやいているのではないでしょうか?
そんなことを考えると、
「文字が使えたってどうしようもないよ」とチョン・ギジュンに教えてあげたくなる。
国民を骨抜きにして士大夫が国の中枢を握るやり方なんて
いくらでもありますよ~って。
ま、そんな卑屈なことを言ってたってしょうがないので、
自由に読み書き出来るわたしたちはがんばって生きていかなくては。
文字が使えれば、政府の御触書を読むこともできるし、
きちんとした契約書を作ることもできる。
自分たちの生活を守ることができるんです。
民衆が力を得る。
これって、三峯先生が望んだことじゃないでしょうか?
でもギジュンはおののく。
秩序が乱れるって。
気持ちはわからないでもないのよ。
頭が良くて人柄もすぐれた良い指導者が、
本当に人々のためになる施政をおこなってくれたら、
民衆は、難しいことを何も考えずにしあわせに生きていける。
でもさ、本当にそれでいいわけ?
いや、いいかどうかじゃなくて、
もしもすごく悪い、私利私欲に走る指導者がトップにたったら?
王だけが力を持つことも、士大夫だけが力を持つことも、
同じリスクをはらんでいるんじゃない?
しかも自分はリーダーなわけでしょ?
この人、昔っからそうだけど、謙虚さが足りないのよね~。
一族郎党殺されたあの事件にしても、
科挙の試験であんなこと書かなきゃよかったわけじゃない。
自分の賢さをひけらかすから、ああいうことになったんじゃないか。
最下層のになって暮らしたわりに民衆の心を知らないやつだな。
意外に賢い両班崩れハンのおかげで、新しい文字のすごさがわかったギジュン。
ドラマ的には、やはり公布の確約は取れずに終わるのでしょう。
王様サイドは新たな作戦を考えなくてはなりませんね。
チェユンの潜入捜査は、うまくいくかな?
一応「大君を殺してしまい、手詰まりになったチェユン」と思われてるから
しばらくは大丈夫だと思うけど……。
賢い男だよ、まったく。
その賢い男が、「王様に何を頼むの?」とソイにきかれて、
モゴモゴとごまかす様子が何とも言えないの。
アホみたいにまっすぐなソイの視線に、
なぜか照れくさそうなチェユン。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/a1/ba4563d7e2788fbc1f9a5854b131b80e.png)
この微妙な距離感がイイ!単に画角の関係かもしれんが……。
彼の願いはなんだろうねぇ。
ちょっと前には、タムと所帯を持って、しあわせに暮らすことを夢見た男。
でも、もう、そんな個人的な願いは超越していると思うんだよね。
例えば、女官であるタムを解放してほしい、とか、そういうことではないと思うの。
それこそ、奴隷制をなくしてほしい、とか、大きいことを望んでいると思うなー。
あ、もしかして、自分が文字を教える伝道師になって
国中をまわりたい、とか?
そういうのもいいな。
生きる喜び、生きる楽しさを、後ろめたさ無しで本当に味わえるようになったトルボク。
そこへもってきて、目標までできたんだから、
今彼は本当にしあわせなんだろうな……。
ソイといるときは、子どもに戻ったようなチェユンが好きだ。
あの頃の関係性が、今も続いてるよね。
男として彼女を守る、という強い気持ちと、
彼女の賢さを尊敬する気持ち、
バカだなぁと思いながらも、彼女の純粋さを愛しく思う気持ち。
そういうのが伝わってきて、ふたりのシーンはしあわせな気持ちで見ています。
このままだったら大丈夫そうだよね?
きっとしあわせになれるよね?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/83/977819b03e687b64fd1d9763c0720288.png)
あ、やっぱりかわいい。
王様を取り巻く面々が渋く、いい味出してて大好きです。
王の実行力と信念を認め、尊敬しているマルリ。
「大君さまの無事がかかっているのですぞ!」と本気で怒ってるマルセン。
処世術ですじゃ、みたいな顔で、実は陰の実力者ファン・ヒ。
密本側のシム・ジョンスも、以外にクリーンな男で、
だんだん好感が持てるようになってきた。
うぬぼれてる割には、勘が鈍いし。かわいいとこあるじゃん。
問題はイ・シンジョクだよ。
こいつは日和見の悪い奴ですねー。
この人、ホン・ギルドンでもこういう立ち位置だった気がする。
こいつの自分本位な行動が、密本を壊滅に導く……かもしんない。
あの息詰まるシーンをカットとは……。
ユン・ピョン役のイ・スヒョクくん名演技なんですけどね。
「運命のように君を愛す」はわたしも未チェック。
だっていまさらロマンチック・コメディ?と思って~。
ロン毛は似合わないに同感ですわ。
チャン・ヒョクさんぱっと見は、好みのタイプではないのですが、
ドラマを見ていると、どんどん引き込まれます( *´艸`)
ビスコさんオススメのチュノも見て見たいです!
でも、運命のように君を愛す
の社長役も彼だと知った時はショックでしたw
CM見て、イマイチ~と思って見ませんでした。
ロン毛は似合わないですよね!(笑)
苦悩している姿も好きだし、あはって笑ってる顔も好きで好きでしょうがないです。
dTVという配信サービスで、全話ノーカットで観られます。
1ヶ月は無料で視聴できるので、試してみてもいいかも。
テレビでは専用の機器が必要なので、パソコンかタブレットの視聴になりますが。
テレビ放送だとどの辺がカットされているのかな?
演じているチャン・ヒョクさん、他のドラマもいいですよ。
いろんな表情を見せてくれて、惚れ惚れします。
私はテレビで見ているので、けっこうカットされていてショックです。
DVDを借りて、もう一回見ようと思います。