雑記帳(新居)

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フェド杯決勝最終戦

2004-12-02 01:37:02 | テニス
決勝はロシア対フランスという対戦だったところ、フランスのエースと目されていたモーレズモとピエルスがいずれも欠場。
下馬評ではロシアが断然有利と思われたけれども、クズネツォワがよもやの2敗を喫し(ミスキナはきっちりシングルス2勝)、2勝2敗となってダブルスに決着が持ち越されたというところまで知っていた。だからダブルスの試合を最初に見た。

このダブルスの試合、ロシアはミスキナ・ズボラネワというチーム、それに対しフランスはバルトリ・ロワという組み合わせで、ランクではいうまでもなくロシアの方がはるかに高い。しかしそれで計り知れないのが、ダブルスであり、国別対抗戦である。
そして解説は圧倒的にフランス寄りである(怒)。解説者の中に長塚さんがいたので、96年有明で最終ダブルスでドイツを撃破した奇跡と(当時のドイツには、いうまでもなく女王シュテフィ・グラフがいた)、今回のフランスチームの粘りを重ね合わせていたようだ。

この試合、果たして壮絶なものとなった。もうだめだといったい何度思ったことか、数え切れない。第1セット開始直後こそロシアチームが2ゲーム連取したものの、第1セットの中盤以降は、フランスチームのチームワークがよくなり、思い切ったプレーも多く出てフランスの流れに変わっていった。第1セットの後半は常にフランスチームが先手をとっていた。第1セットゲームカウント3-5、ロシアチームが再びブレークされて5-6、そしてタイブレークも最初3ポイントフランスが連取した。
このタイブレーク、2-4フランスリードから、ベラが驚異的なロブでフランスをかわしたところから流れが変わり、タイブレーク7-5でロシアが奪った。

長いラリーも多く、さらにデュースもブレークポイントも異常に多い。むしろサービスゲームを取る方が難しい。イージーなゲームなど一つとしてない。
そして、両チームの間を流れがたびたび行き来する。そしてさらに、同じチームの中でみても、どちらの選手が流れに乗っているかが入れ替わる。おおよそ、片方の選手が調子がよければもう一方は沈んでいる。(だいたいダブルスというのはそういうものらしいが)両方の選手が調子がよい時間はほとんどない。
第1セットは実に1時間15分、ダブルスとしては異例の長い長い攻防となった。
これで思い出すのは、全米オープン準決勝、ディメンティエワとカプリアティの試合である。そのときも両者を小刻みに流れが行き来し、デュースの連続ブレークポイントの連続で、最終セット1時間26分というとてつもない激闘になった。

しかし今回フェド杯の最終試合は、それが1セットで終わらなかった。第2セットに入り、ロシア先行の時間が多くなったものの、なおも第1セットと同様の粘りあいが続いた。ロシアチームがゲームカウント5-3とリード、第9ゲームには優勝まであと2ポイントと迫りながら、結局このゲームはフランスがキープ。第10ゲームのロシアのサービスゲームも、ロシアが30-0としながらフランスがブレークバックで、5-5となってしまった。
言うなればこれが最後の産みの苦しみだった。第11ゲームはロシアがまたもブレーク、それもこの試合初めてのラブゲームだった。さらに12ゲームも一気に奪い、最後は2ゲーム8ポイント連取、ついにフランスチームにとどめを刺した。

7-6(5), 7-5というスコアで最終のダブルスを制し、ロシアが悲願のフェド杯初優勝。ロシア旋風の吹き荒れたシーズンを締めくくった。
数字こそストレート勝ちだが、試合時間も2時間14分と並みの3セットの試合以上、それ以上にほとんどのゲームでどちらに転んでもおかしくない攻防が続き、1試合で何試合分もの緊迫感を味わうことのできるとてつもない試合になった。

この試合、ミスキナは終始安定感のあるプレーを見せ、特にフランスチームの2人の間を抜くショットは精密機械のような正確さだった。フランスチームもそれがくることはわかっていて、それでも返せない。
しかし、要所で流れを変えたのはむしろズボラネワだったと思われる。特に、第1セットタイブレークで3-4としたポイントは、相手のドロップショットをほとんどネットと平行方向のロブで返すという、信じ難いプレーだった。この一発でタイブレークの流れがまず変わったのだ。狙ったのではなくラケットに当たったボールがたまたまいいところにいった、と思われるプレーも何度かあったけれども、優勝するためには幸運の女神の加護が絶対に必要である。

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