前回は具体例として、40歳男性の事を書いてみましたが、今回は30歳の女性のケースを書いてみたいと思います。
30歳、女性、独身のキャリアウーマンであったが、心身の不調をきたし休職中。ご縁の深いソウルメイトさんとの関係性の中で、葛藤し、ついに心身の不調がMAXになった状態でセッションにいらっしゃいました。
お話を伺うと、この方のパートナー自身も、20代後半から精神的にやや病んだ状態で、彼女と出逢ってからはしばらくの間、嘘のように回復傾向にあったものの、付き合いが深まるにつれて、回避傾向が増し、スムーズに会えない状態になったりを繰り返していたようでした。
彼の性格は、わかりづらく内向的でもあり、言葉足らずのことが多かったみたいです。
彼女から見れば、煮え切らない態度に振り回されているような感じが続き、未来への希望も持てず、中途半端な付き合いを長く続けることに疲弊してしまいました。
彼の煮え切らない態度について、指摘すればする程、彼は頑なになっていきました。
ここで、本質と別人格の話になるのですが、彼女の生育歴からいろいろと話していくうちに見えてきたのは、彼女の本質がまさに彼が表に現している「内向的であまり感情を表現できない大人しい人格」だったという事でした。
そのままではうまく対人関係を作れないため、ある時期から彼女は、「白黒はっきりした、自己主張ができる明るい人格」を創ったようです。
その別人格の性質がいつしか自分の個性だと信じ込むようになっていきました。
しかし、彼と出会い、彼に惹かれていく中で、彼女は最初、彼の大人しい、控えめで自己主張が強くない人柄が、自分にはないものとして羨ましく、好ましく感じていったのです。
こうなると、彼女の別人格は、彼女の本質の正反対のエネルギーに対して、敵対意識を抱くようになってしまいました。「これまで、自分が守ってやって生かしてやったのに、今更、本質のエネルギーを思い出して、それを取り戻そうなんて許せない!、自分の居場所がなくなるじゃないか!それを思いださせた彼との関係を破壊してやる!」
こんな風に自分の内なるバトルが起きるようになり、別人格は本質のエネルギーにならせまいと躍起になるのです。
ここまでいくと、彼女の無意識は、このバトルに耐えれなくなり、自分から彼に距離を置こうとするか、別人格の破壊的なビームを受けた彼から距離を置かれるかどちらかになってしまいます。
どちらにせよ、関係性は遮断されてしまうわけです。
別人格に嫌われてしまうと、思った以上に厳しい状態になってしまいます。
それぐらい、私たちを長年守ってくれた別人格のエネルギーは強いからです。
彼女は、人格の統合を含むセッションの中でそのメカニズムを理解され、自分をこれまでこの社会の中で守り、支えてくれた別人格に心から感謝できるようになっていきました。
そして、別人格に彼といくら親しくなっても、本質のエネルギーを思い出しても、決して別人格を追い出したり、見捨てたりしない事を約束しました。
それから、しばらくして、心身も回復し、彼との関係性はスムーズにいくようになってきて、復職できたとご報告をいただきました。
私たちは生きていく上で、本質のエネルギー全開で生きていけない時もあります。別人格は、うまく生きるために助けとなっている場合が多いのです。
偏らず、どちらも大事な自分自身なんですね。そのバランスをうまくとることができた時、目の前の人との関係性もスムーズになっていきます。