建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

偽装建築(1)

2015-11-05 10:49:58 | Weblog

杭データ偽装で建設業の信頼が一気になくなってしまったが、
杭工事に限らず見えない所(特に鉄筋量)で検査合格させている本音をつづっているので紹介しよう。
偽装建築(1)

………………………(偽装建築)…………
何とかして建設業界のイメージを向上させようとしているのに、とんでもない言葉が
マスコミに書かれて、三面記事を騒がせている。
《手抜き》と言う文字を使うのが最も多いのが土建業となっていること事態、
許せないのだが、手抜き以上に悪どい言葉である《偽装建築》について、
怒りを覚える。

ゼネコンがISO取得認定だとかで浮かれていつつ、又、TQCだのVEだのと綺麗な
言葉を使っていながら、真反対な評価で一気に信用を落としてくれた。
どこにその根源があるのか、ニュースキャスターの読み上げる報道に答えは出て来ない。
設計ミスではないならば、施工ミスであり《手抜き》と何ら変わりがない。

それも、名の通っているISO認定のスーパーゼネコンで偽装建築の発覚事態である。
だから、二番煎じの下手な現場芝居が出てきても、驚きもしなくなった。

偽装建築物である事が、工事途中で気がつかないほどスーパーゼネコン(S建設)の
建築技術が堕落したのなら、ここで話は終わらせる。
「鉄筋量が間違っていたまま工事したのが途中で分かった」
と全く責任を感じていないゼネコンの背広組がいるのに、驚きだ。

《子守唄》《風来坊》にも躯体工事中の配筋検査がいかに大切であり、現場監督が
大変苦労しているかを、しつこいくらいに伝えたし、この本でも述べている。

缶コーヒー並みの太い鉄筋が百本以上も少ない事が、言われるまで
気が付かない訳がない。

高層(45階建)建物で途中の階(30階)まで繰り返しコンクリートを打設して
鉄筋の少ないのを隠していたのは、監理者と請負業者がグルになっていて、
簡単に偽装出来たと言う事だ。

職人気質としては、設計図から柱の主筋を《抜き盗る》考えは絶対にしない。
何故ならば、鉄筋職人さんは鉄筋を組み上げた重量がそのまま賃金の
起算になるのである。
給料を少しでも多くもらうには1本でも多く組みたいものであるし、手を抜いた本数分は、
手取りが下がるのだから、それで喜ぶ職人はいないでしょう。

それなのに、どうして耐震偽装になったのかだ。
なぜ、耐震偽装建築の原因追及をしないのかだ。
それでもISOで国際品質認定の取得なのかだ。

監理者及び構造設計監理者を騙したままの配筋検査を、数回繰返せるほど、
現場の監理者に隠匿技術があるとは思えない。

設計図では1つの柱に直径5㌢の極太鉄筋が22本並ぶ事になっていて、実際には
20本の鉄筋が立っていて、数名いる官庁検査官の中で誰も気がつかない訳がない。

配筋検査の前には鉄筋担当者が組み立て完了写真として報告する為に、壁も柱も
コンクリートで隠れる部分は総て写真を撮るように命ぜられる事もしばしばある。

スーパーゼネコンだから代表的な柱を数本撮影しただけだったかもしれない。

それでも、写真撮影したのは、多分、若手技術員(出向社員)の仕事であり、
極太の鉄筋の本数を確認しないでシャッターを押すまでの度胸はない筈だ。

だが、途中までの各階の工事記録写真は撮影済みであり、本来ならば完成図書の一部
として提出すべき筈のものが、間違った本数の写真そのままであるとは思えない。

写真を見て少ない本数だと気がつかないまま工事を進める事は考えられない。
工事写真は後日クレームが出た場合証拠にもなるし、証明にも使うのだから現場監理上、
写真の内容はその都度チェックを入れるものである。
また、そういう決まりをISOで品質管理手段にマニュアル化しているものだ。

配筋写真の撮影は設計図と見比べながらの作業であるから、現場慣れしていない若者である
ほど、几帳面に太さや本数や間隔を確認して1枚の提出写真が完成できる。
折角の写真でも鉄筋が重なって映っていて、本数の確認にクレームが出れば大変な事になる。
その大変さを知っている若者が、写真撮影時に数量不足に気がつかない訳がない。
気がついていたのは若手だけではあるまい。

柱の鉄筋は下の階の鉄筋と「圧接」という継ぎ手をして上へ、上の階へと伸びて行くのだから、
圧接の職人さんも圧接本数が少ないのに気がついていた筈だ。
明らかに施工者側が一団となって仕組んでいながら、間違えたと頭を下げる問題ではない。

「補強しますが、耐震には問題がない」
と詫びる様子もなく答えているが、問題がなければ最初から少ない本数で設計した筈だ。

万引きがバレたのでお金を払い、買えば罪が消えるとでも思っているらしい。
偽装建築物を創っておきながら、創った人が「補強したら問題がない」なんて説明を、
誰が信じられるのかだ。

もう少し、この現場を推理をすれば、
《なぜ偽装建築だとバレたのか》の部分であろう
                 (偽装建築その2へ つづく)

 

 

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