日大豊山高校水泳部の最大の特色は、「全人的教育」にあります。
水泳の練習を通して競泳選手として優れた成績を残すことはもちろんですが、学習や日常生活の全般を通して教員と生徒が深い関係を築くことができます。
日中は授業、放課後は練習、合宿所生徒の場合は日常生活まで、教員と生徒が接している時間がとても長いです。
私は1年生の体育クラスの現代社会の授業を担当していますが、教室では哲学や宗教を教え、放課後はプールやトレーニングルームで水泳の練習です。
たいていは授業などで生徒の一部分しか知ることができませんが、これだけ長い時間接していると生徒の様々な「顔」を知ることができます。
授業では沈黙している生徒も練習ではいきいきとしていたり、普段は強がっている先輩が後輩にやさしく接している様子を見ることもできます。
学校という「公」を離れた日常生活を一緒にしていると、普段はなかなか見られないような「私」の部分を知ることもできます。
身の回りをいつも清潔にしている生徒、料理や動物が好きな生徒、小さな子供と接するのが得意な生徒もいました。
これらのことはなかなか練習や授業だけではうかがい知ることの出来ない部分です。
私が20代の頃には、通勤から練習、授業、そして合宿所に帰ってからは夕食や風呂まで、ほとんど一日中生徒と一緒に過ごしていたこともあります。
一緒にいるからといっても常に教育的なことを話しているわけではありませんが、かといってなれなれしい関係になるわけでもありません。
生徒ひとり一人の様々な「顔」を知ることで、生徒への理解を深めることができるのです。
高校時代に男だけで集団生活をするという機会も大変貴重なものだと思っています。
特に合宿所の生徒は親元を離れて暮らしますので、食器の片付けや洗濯、掃除など身の回りのことは自分でやらなければなりません。
親から離れてみることで、親に対する感謝の気持ちも自然とわいてくるものです。
教育の場としては理想的な環境にあり、この環境を十分に生かせるようこれからも努力してまいります。
本日の練習後に栄養補給をしている選手の様子(全人的教育の一例!?)。
竹村知洋