東京都は、2025年度までにすべての公立中学校で部活動の地域移行を広げる方針を明らかにしました。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/74bc199391faf8f9f1a3e877369a526b4ec0a755)
教員の働き方改革や少子化対策などを含んだ問題で、中学生にとっては地域クラブで専門的な指導を受けることができるメリットなどもあります。
一方では、地域の受け皿の問題や地域クラブに加入することで発生する費用、教育的な指導に関連することなど、問題も山積しているようです。
この流れは、数年後には高校のクラブ活動にまで広がっていくことでしょう。
このままいくと10年後には全国の公立学校から部活動が消滅していることが予想されます。
私は公立学校でクラブ活動を廃止する流れにある今だからこそ、私立学校の役割が重要になるものと考えています。
例えば、日大豊山高校・中学校の水泳部では、有資格者によって専門的な水泳指導を受けることができます。
部費の徴収などもありませんし、参加費や宿泊費などを含めて大会にかかる費用はすべて学校が負担致します。
さらに日常の活動や大会において不足する部分は、水泳部OB会(豊水会)の応援によってまかなわれているため、クラブ活動において費用が発生することはほとんどありません。
私立学校はそもそも授業料が高額ではないかという声もありますが、東京都に関しては、「私立高等学校等授業料軽減助成金事業」という制度があり、私立学校の学費負担を軽減する制度もあります。(https://www.shigaku-tokyo.or.jp/pdf/pamphlet/r4_brochure.pdf)
さらに本校は大学付属校でもあるため、塾や予備校などに通わなくても、学校の授業をしっかり受けていれば日大に進学することは十分に可能です。
クラブ活動の時間に関しても、通常のスイミングクラブの選手コースは18:00以降から始まることが多いと思いますが、本校では授業後すぐにクラブ活動を行います。
そのため一番遅くまで活動するチームでも、平日は18:30、土曜日は17:00にはすべての活動が終了し、さらに日曜日は休みにしていますから、十分に身体を休め、家族と食事をとり、学習する時間を確保することができます。
また本校水泳部は泳力ごとにチーム分けをしているため、それぞれの体力や目標に応じた活動をすることができますので、泳力にかかわらず誰でも入部することができます。
水泳部は総勢で200名以上という大所帯ですが、それぞれのチームにコーチをつけられるように顧問数やコーチ数も確保されています。
私立学校は独自の教員採用試験を課しているため、クラブ活動を専門的に指導できる教員を採用することができるわけです。
学校の勝利至上主義が問題とされているようですが、そもそも勝利を目指して活動することから学ぶことは大変多いですし、頑張ったことで得られる喜びは何にも代えがたいものです。
水泳部ではクラブ活動と授業を通して、それぞれの水泳・学習の目標を達成するために、全人的な教育活動を展開しています。
例えば今年の高校3年生の合格先は、水泳と学習それぞれで、GMARCHクラスであれば明治大学2名、青山学院大学3名、中央大学2名が合格しており、日本大学では薬学部2名や法学部1名をはじめとし、全員が進路を決定しています。
今も受験中の生徒がいるため、よい報告を待っているところです。
そして高校卒業後は水泳部OB会の一員として、生涯にわたってつながりを保ち続けることになります。
それでは顧問やコーチの働き方はどうかというと、近年は日曜日や夏季休暇中に行われる大会に対して振替休日の設定などがあり、日常的な労働時間に関しても十分な配慮をしていただいております。
労働に関してキツイことは間違いないですが、以前に比べれば相当改善されています。
このように私立学校は、公立学校ではできない活動が可能になるというメリットが大いにあると考えています。
スポーツ庁における部活動の地域移行会議の議事録をみると、「クラブ活動を教育的な活動であると勘違いをしている教員がいまだにいる」というような記載もみられますが、私たちはこれからも意識的に、クラブ活動を教育的な活動であると「勘違い」していく所存です。
来年度の全国中学校水泳大会はスイミングクラブから出場できるため、大会の名称は変更され、おそらくほとんどの選手はスイミングクラブからの出場となることでしょう。
このような流れであるからこそ、「学校水泳」を存続し、全国大会に学校名で出場することに意義があると考えています。
時代が変わったとしても、大切なものがあるということを忘れずに活動を続けていきます。
竹村知洋