最近は、国体(国スポ)の廃止、全国中学の縮小、そして部活動の廃止などに関するニュースが多く入ってきます。
その議論の中心にあるのが、財政や労働時間の問題です。
少子化の問題も含めて、これらはすべて「大人の事情」によるものです。
最近のニュースによるとこのような「大人の事情」で、子どもたちのスポーツ活動の場が失われていくようです。
特に「体育」は、知育や徳育とともに人格形成に関して大事な徳目の1つのはずですが、その名称も消えつつあります。
文部科学省は「生きる力」を教育目標に掲げていますが、その力はテストで測れる能力だけではないはずです。
時代の流れとともに変化することはあるでしょうが、「体育」の理念に基づいて築いてきた先人の努力とその成果は、他国に類のない貴重な財産です。
その財産は数値で測れるものではありませんが、生徒や教員の人生に計り知れないほど大きな影響を与えています。
私自身もこれまでの教員生活を通じて選手と生活や勉強をともにし、大会での活躍を目指して同じ目標の下に努力してきました。
長年にわたって、国体では東京都選手団の一員として、全国中学やインターハイでは学校の代表として、多くの貴重な経験や様々な人とのつながりを得てきました。
その価値は、労働時間や給与と比べられるものではありません。
4月上旬に愛知県の中京高校と大阪の桃山学院と行った練習会は、3日間というわずかな期間でしたが、学校の部活動を通した最高の練習会でした。
普段は別々の学校で練習をしていますが、選手たちは水泳を通じてお互い良い刺激を受け、最後には志を同じくする「仲間」となりました。
ちなみに中京高校の竹内先生は私の教え子であり、同じ理念の下で授業や部活動に励み、オリンピック選手を輩出する指導者になったことは教員としてこの上ない喜びです。
このような活動はすべて、大会での活躍を目指しているからこそ成り立っているものです。
大会や部活動の廃止・縮小というこの流れのなかで、「体育」のゆくえは一体どうなるのでしょうか。
時代の流れとはいえ、先人が築いた貴重な財産は何かということをもう一度よく考えるべきです。
やめることはいつでもできますが、やめてしまったら失われるものがあることは確実です。
学校はテストで点数をとる勉強の場というだけではなく、様々な活動を通して人間を教育する場です。
社会で生きていくうえで、テストで点を取る能力よりも大切なものがあるということはいうまでもありません。
様々な「大人の事情」はあるかもしれませんが、先人の築いた貴重な財産を受け継ぐために、何とか続けられる方法を見つけることが大人の知恵といえるのではないでしょうか。
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竹村知洋