パリオリンピックまでで日大豊山水泳部出身のオリンピック選手は、合計14名となりました。
日大豊山水泳部出身の最初のオリンピック選手は1956年ローマオリンピック代表の石井宏選手で、800mリレーで銀メダルを獲得しています。
ローマからパリまでで、実に68年間という歳月を経ています。
「学校水泳」でこれほどの長い年月にわたって活動し、数多くのオリンピック選手を輩出している学校はほかにありません。
このような活動ができているのは、ひとえに学校側の部活動に対するご理解や水泳部OB会のご支援があることにほかなりません。
また、水泳部の目標が「インターハイ総合優勝」であり、チームとして切磋琢磨する練習環境を整えることによって優秀な選手が育っています。
最近指摘しているように、部活動の地域移行や学校対抗の全国大会をやめることで、部活動を縮小していくことはよく考えるべきです。
時代の流れで継続することが難しいことはあるかと思います。
やめることは簡単ですが、それによって「失うもの」があることも確実です。
部活動をなくすことで、「失うもの」が何なのかということを皆で考えるべきです。
失ったものをあとから元に戻そうとしても、もう戻りません。
例えば全国中学校大会が学校対抗をなくしたことで、メドレーリレーの出場校が激減しました。
学校対抗を失くせば、チーム意識がなくなり、個人重視になることは目に見えています。
今後、全国中学校大会に学校対抗が復活することはないでしょう。
また日大豊山の「学校水泳」で活動しているのは、競技力の高い選手ばかりではありません。
水泳初心者も多数在籍しており、各自の泳力に合わせて練習し、大会に出場しています。
部活動をやめた場合、地域のスイミングクラブは中学生や高校生を泳力に関わらず、すべて受け入れて大会の引率もしてくれるのでしょうか。
私たちが「学校水泳」による部活動を継続しているのは、そこに高い教育的意義を見出しているからです。
部活動では、学習と運動、人間形成など全人格的な教育を実現することができます。
谷口選手のような「男」もいれば、柳本選手のような「爽やかな好青年」もおり、部活動で多様な人間関係を築くこともできます。
働き方改革を考えた場合、部活動が大きな問題になることは理解しています。
しかしそれはあくまでも大人の事情です。
「学校水泳」からオリンピック選手が育つということは素晴らしいことであり、部活動を通して一流選手とともに活動することができます。
今後の部活動のあり方は再考すべきことが多い問題であると考えています。
竹村知洋