高校3年生にとっては大学への進学を検討する時期にきています。
水泳に高い志を抱いて進学を考える選手にとって、水泳を中心に大学を検討することが多いはずです。
確かに水泳選手として日本や世界の舞台で戦いたいという希望を抱いて、それにふさわしい大学を選ぶということも理解できます。
しかし本来、大学は学問を修得する場所であることを忘れてはならないと考えています。
知識を得るということは大変貴重な経験です。
将来の職業や生活に直接役立つかどうかはともかく、純粋に「知」を追求するという時間は幸福なことです。
社会人になると読書などの時間もなかなか持つことができず、学生時代がいかに貴重な時期であったかと思う人も多いはずです。
そして多くの大人は、あのときもっと勉強しておけばよかったと後悔することになるのです(私も同様です)。
私は公民科の教員として20年以上にわたって哲学や宗教、政治・経済を学んできて、学問をすることの素晴らしさを知ることができ、少しでも高校生にそれを伝えられればよいと思っています。
特に哲学は、人生を根底から支える学問であると考えています。
今月号のスイミングマガジンの編集長コラムで桜間さんが「何を学びに大学へ行くのか」という質問に答えられる高校生が少ないことを記事にされています。
これは学問を主に大学進学を考える高校生が少ないことを示しており、それは進学を相談する教員やコーチ、保護者に原因があることも考えられます。
毎年、大学進学を相談している私自身が反省しなければならないことです。
学問は人間力を高め、人間力は競技力を高めます。
そして桜間さんの記事にあるように、大学時代には将来を見据えて競技者として一区切りしたあとの人生のことも考えるべきだということです。
社会人としての人生の方が長く、より重い責任が問われることになります。
大学時代は学問に没頭し、スポーツで身体を鍛えることができる貴重な時間です。
大学進学を相談する大人と高校生は、貴重な時間をいかに過ごすかを考えて慎重に大学への進学を検討するべきだと改めて考えています。
竹村知洋