藤村庸軒の次子、藤村正員(ふじむら せいいん)の著書『茶道旧聞録』を読んでみます。「柄杓、蟹挟みといふ事、嫌ふことなり」『茶道旧聞録』 (炉の時など、釜に置いた柄杓を取る時、人指し指と中指で挟んでから持ち上げるのはよくないということです。蟹というたとえが良い悪いということではないと思われるが、釜に引いた柄杓を扱う時には、まずしっかりと持つ事から始めるべきであります。持ち固めてから、畳から少し持ち上げ、湯を汲む動作に入るべきなのです。湯を汲むために持ち替える必要があるため、その時に初めて柄杓を挟んでから持ち替えることになります。しっかりと、指の中ほどで湯を汲む時の手つきに挟むためには、すこし持ち上げて扱う必要があります。柄杓を、釜に置いたまま扱おうとすると、指先で挟むことになり、不安定さが生じてしまい、場合によっては持ちながら手の中で位置を調節しなければなりません。不自然な動きにならないためには、持ち手と汲み手を、しっかりと扱い分ける意識を持つようにしなければなりません。
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