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外国映画主要作品日本公開史 * 1950年公開 (その2)

2015-02-12 09:54:48 | 外国映画公開史

外国映画主要作品日本公開史 * 1950年公開 (その2)

▼参考資料・キネマ旬報1950年ベストテン
①自転車泥棒…ヴィットリオ・デ・シーカ
②情婦マノン…アンリ・ジョルジュ・クルーゾー
③三人の妻への手紙…ジョセフ・L・マンキーウィッツ
④無防備都市…ロベルト・ロセリーニ
⑤赤い靴…マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー
⑥天国への階段…マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー
⑦靴みがき…ヴィットリオ・デ・シーカ
⑧虹を掴む男…ノーマン・Z・マクロード
⑨密告…アンリ・ジョルジュ・クルーゾー
⑩女相続人…ウィリアム・ワイラー
⑪霧の波止場…マルセル・カルネ
⑫田園交響楽…ジャン・ドラノワ
⑬幸福なる種族…デヴィッド・リーン
⑭幸福の設計…ジャック・ベッケル
⑮のんき大将脱線の巻…ジャック・タチ
⑯沈黙は金…ルネ・クレール
⑰腰抜け二丁拳銃…ノーマン・Z・マクロード
⑱最後の突撃…キャロル・リード
⑱白雪姫…デイヴィッド・D・ハンド
⑳火の接吻…アンドレ・カイヤット


前年に蜂起したイタリアン・リアリズムの波はさらに大きなうねりとなり、デ・シーカの『自転車泥棒』と『靴みがき』、
ロセリーニの『無防備都市』、デ・サンテスの『荒野の抱擁』と立て続けに傑作が生まれました。
デ・シーカの作風としては厳しすぎる現実ながらもそれを究極の悲劇とせず、少なくとも未来は明るくあってほしいという
願望が覗えます。やむを得ずに自転車泥棒になってしまった父親が釈放されるラストシーンにその傾向が現れています。
同じイタリアン・リアリズムのロセリーニが撮っていたならラストシーンは警官に連行される父親に息子が石畳の上で
泣き崩れるといったシーンではなかったのかなと想像させられてしまいます。
冷酷な現実を追求しながらも未来に希望を与えるデ・シーカの作風はフェリーニへと受け継がれていきました。
また、この年には鬼才クルーゾーの『情婦マノン』が公開されました。一見すると恋愛ドラマと見られる作品ですが、
ユダヤ人のパレスチナ問題が提起されいます。ラストシーンは鳥肌がいつまでも治まらないほどの感動作となりました。
この年もイタリア、フランス、イギリスのヨーロッパ作品がベストテンを席巻する結果となりました。


↑はヴィットリオ・デ・シーカ監督の『自転車泥棒』