娘の部屋は3階で西側に窓があり、夏場は屋根からの熱気と西日でかなり熱く、娘はクーラーをガンガンにかけていたが、4月はポカポカとして心地良い。
2階の窓には大きな桜の木が迫り、今の時期はその枝や花びらの隙間からしか景色が見えないが、3階の窓は遊歩道に挟まれた川と道路の向こうに建物があり視界が抜けていた。
窓を開けると桜の木のてっぺんがゆらゆら揺らして「こんにちは」、心地よい風が吹き込んで部屋が深呼吸。
娘がいた頃は旧堺港の大漁夜市の祭りで打ち上げられる花火を見られたが、今は立体駐車場のタワーと高層マンションが立ち並びあまり見えなくなった。
物換星移(ぶっかんせいい)、18年の歳月が世間や景色や環境を変えていく。
二度と帰ってくることのない娘の部屋 今はちょっとした物置と化し1脚のマッサージチェアも置いている。
時々それに座り目をつぶっては、娘の幼い頃から大人になった時までの事を思いめぐらせる。
この部屋には思春期を迎え、成長していく子供の甘くて痛くてほろ苦い思い出が詰まっている。
娘が1歳の時から24年間過ごした部屋である。あちこちに娘と過ごした景色が浮かんだ。
※物換星移=世の中が移り変わること。物事は変わり、歳月が過ぎゆく意から。
※慕嬢詩(ボジョウシ)=亡くした娘を慕う気持を綴った詩・文。私の創作語。
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