30億光年先からの重力波=検出3回目、ブラックホール合体―米観測装置「LIGO」
米国内に2カ所ある重力波観測装置「LIGO(ライゴ)」を運用する国際研究チームは1日、約30億光年先でブラックホール同士が合体して放出された重力波を今年1月4日に検出したと発表した。重力波の検出は3回目で、過去2回より2倍以上遠くで起きた現象を捉えた。検出例が増えればブラックホールの謎の解明が進むと期待される。
今回の重力波は、質量が太陽の31倍と19倍のブラックホールが合体して発生。太陽1個分の質量が重力波のエネルギーに変わり、太陽の49倍のブラックホールが残った。
LIGOのうち、北西部ワシントン州の装置で重力波を検出してから1000分の3秒後に南部ルイジアナ州の装置でも検出したため、約30億光年先で放出されたと推定した。
合体前のブラックホールをめぐっては、恒星2個のペアがそれぞれブラックホールに変わるパターンと、元は離れていた2個のブラックホールが接近するパターンが考えられ、今回は接近パターンの可能性があるという。
重力波は質量を持つ物体の運動により、周囲の時間と空間に生じたゆがみが光速で波のように伝わる現象。アインシュタインが約100年前に一般相対性理論で予言し、LIGOによる初検出は2015年9月14日、2回目は同年12月26日だった。それぞれ約13億光年先と約14億光年先でブラックホール同士が合体し、残ったブラックホールの質量は太陽の62倍と21倍だった。
欧州はイタリアにある観測装置「Virgo(バーゴ)」、日本は岐阜県飛騨市にある「KAGRA(かぐら)」で重力波の検出を目指している。