小さな琥珀に閉じ込められた9900万年前のひな鳥。CTスキャンで調べた結果、ミャンマー産の琥珀の中から発見されたものとしては、最も完全な状態を維持した化石であることがわかった。
頭や翼、爪の生えた足から、なんと皮膚と羽毛まで肉眼ではっきり
9900万年前の琥珀(こはく)の中から、恐竜時代の鳥類のひなが発見された。
6月6日付けの学術誌「Gondwana Research」に発表された論文によれば、このひな鳥は、約6500万年前の白亜紀末に恐竜とともに絶滅したエナンティオルニス類に属するという。今回の発見は、歯を持つこの古代の鳥について、そして、現代の鳥類とどのように違うのかについて、決定的な情報をもたらすものだ。
発見された恐竜時代のひな鳥の復元図
また、ひな鳥の化石は、これまでにミャンマー産の琥珀から発見された化石のなかでは最も状態がよい。ミャンマー北部のフーコン渓谷は琥珀の産地であり、そのなかには白亜紀(1億4550万年前~6550万年前)の動植物が世界で最も多く閉じ込められていると考えられている。今回の研究はナショナル ジオグラフィック協会エクスペディションズ・カウンシルも支援している。
羽毛の生え方から、研究チームはこのひなが生後わずか数日~数週間で樹脂に覆われ、文字通り、時が止まったのではないかと推測している。約7.5センチの琥珀の中に体の半分近くが保存されており、頭、翼、皮膚、羽毛、爪の生えた足を肉眼ではっきり確認できる。羽毛は白、茶、ダークグレーで、研究チームはビルマ語で琥珀色をしたタイワンヒバリを意味する「ベロン(Belone)」というニックネームを付けた。
研究チームには、2016年12月、琥珀の中から恐竜の尾を発見したメンバーもいる。こちらは羽毛を持つ獣脚類の恐竜で、羽毛の構造を調べた結果、飛行は不可能だったのではないかと判断された。一方、それ以前に琥珀の中から発見されたエナンティオルニス類の翼は、現代の鳥類の風切羽(かざきりばね)と酷似していることがわかっている。