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バニラ・エア謝罪

2017-06-29 07:47:48 | 日記

車いす客に自力でタラップ上がらせる バニラ・エア謝罪

 鹿児島県奄美市の奄美空港で今月5日、格安航空会社(LCC)バニラ・エア(本社・成田空港)の関西空港行きの便を利用した半身不随で車いすの男性が、階段式のタラップを腕の力で自力で上らされる事態になっていたことがわかった。バニラ・エアは「不快にさせた」と謝罪。車いすでも搭乗できるように設備を整える。

【写真】バニラ・エアの奄美空港のタラップ

 男性は大阪府豊中市のバリアフリー研究所代表、木島英登(ひでとう)さん(44)。高校時代にラグビーの練習中に脊椎(せきつい)を損傷し、車いすで生活している。木島さんは6月3日に知人5人との旅行のため、車いすで関空に向かった。木島さんとバニラ・エアによると、搭乗便はジェット機で、関空には搭乗ブリッジがあるが、奄美空港では降機がタラップになるとして、木島さんは関空の搭乗カウンターでタラップの写真を見せられ、「歩けない人は乗れない」と言われた。木島さんは「同行者の手助けで上り下りする」と伝え、奄美では同行者が車いすの木島さんを担いで、タラップを下りた。

 同5日、今度は関空行きの便に搭乗する際、バニラ・エアから業務委託されている空港職員に「往路で車いすを担いで(タラップを)下りたのは(同社の規則)違反だった」と言われた。その後、「同行者の手伝いのもと、自力で階段昇降をできるなら搭乗できる」と説明された。

 同行者が往路と同様に車いすごと担ごうとしたが、空港職員が制止。木島さんは車いすを降り、階段を背にして17段のタラップの一番下の段に座り、腕の力を使って一段ずつずり上がった。空港職員が「それもだめです」と言ったが、3~4分かけて上り切ったという。

 木島さんは旅行好きで158カ国を訪れ、多くの空港を利用してきたが、連絡なく車いすで行ったり、施設の整っていない空港だったりしても「歩けないことを理由に搭乗を拒否されることはなかった」と話す。

 バニラ・エアはANAホールディングスの傘下で、国内線と国際線各7路線で運航する。奄美空港だけ車いすを持ち上げる施設や階段昇降機がなく、車いすを担いだり、おんぶしたりして上り下りするのは危険なので同社の規則で認めていなかったという。バニラ・エアは奄美空港でアシストストレッチャー(座った状態で運ぶ担架)を14日から使用、階段昇降機も29日から導入する。

 同社の松原玲人(あきひと)人事・総務部長は「やり取りする中でお客様が自力で上ることになり、職員は見守るしかなかった。こんな形での搭乗はやるべきでなく、本意ではなかった」とし、同社は木島さんに謝罪。木島さんは「車いすでも心配なく利用できるようにしてほしい」と話している


セミクジラ、相次ぐ不穏死

2017-06-29 07:39:31 | 日記

絶滅危惧のセミクジラ、相次ぐ不穏死 3週間で6頭

 
ニュージーランド、オークランド諸島(亜南極諸島)のミナミセミクジラ
 
カナダのセントローレンス湾、死因は未解明

 絶滅危機に瀕する大型動物が数週間のうちに相次いで死んだとなれば、保護活動に関わる人々は、原因究明のためにあらゆる手を尽くす。

【写真】アラスカに漂着した謎のクジラは新種だった

 一見したところ健康そうなタイセイヨウセミクジラ6頭が、カナダのセントローレンス湾で死骸となって見つかった。現在、カナダ水産海洋省、動物保護団体のマリン・アニマル・レスポンス協会、カナダ沿岸警備隊などが、力を結集してクジラの死因を探っている。

 タイセイヨウセミクジラは、クジラの中でも特に希少な種だといわれている。国際自然保護連合(IUCN)によると、かつては数万頭が暮らしていた北西大西洋における現在の生息数は、わずか350頭だという。カナダ水産海洋省は、世界のタイセイヨウセミクジラの数を500頭と推測している。

 6月6日に報告のあった1頭目の死骸は、ニューブランズウィック州の東に位置するマグダレン諸島(マドレーヌ諸島)沖を漂っているところを発見された。

「この種の場合、たとえ1頭であっても、その死は種全体にとって大きな痛手となります」と、マリン・アニマル・レスポンス協会のトニア・ウィマー会長は語る。タイセイヨウセミクジラは、20世紀に捕鯨が原因で激減したのち、生息数が回復することのないまま現在に至っている。カナダでは絶滅危惧種法の対象とされ、米国では海産哺乳動物保護法によって保護されている。

 最初の死骸が見つかってから約2週間後の6月19日に2頭目、6月20日に3頭目が発見された。ウィマー氏によると、そのほかの3頭の死骸が見つかったのは6月20~23日までの間だそうだ。

「これほどの短期間に、同じエリアでクジラが立て続けに死ぬというのは、極めて異常に感じられます」とウィマー氏はいう。「大災害と言っていいでしょう」

クジラの死因は?

 セントローレンス湾周辺の海には、十数種のクジラ目が生息している。なかにはシロイルカなど、夏には必ずこの海に戻ってくる種もある。しかし活気ある港のそばでは、海洋生物は船にぶつかったり、有毒物質に汚染されたりなど、多くの危険にさらされる。

 2013年のある報告書には、水質汚染物質、騒音、餌となる生物の減少、地球温暖化などのすべての要素が、セントローレンス湾のシロイルカの生息数に打撃を与えているとある。シロイルカがすむ海域は、セミクジラのそれと重なる。またシロイルカとは違い、クジラが餌にしているのは、気候の変化に影響を受けやすい動物プランクトンだ。

 ウィマー氏ら地元の保護団体は、クジラの死骸を岸に上げて検視を行い、死因を特定することを検討している。結果が出るのがいつにはるのかはまだわからないが、死骸はすでに腐敗が始まっていることから、事態は一刻を争う。死因には、すぐに判明するものもあれば、見ただけではわからないものもある。

 6頭のクジラに共通する死因が判明すれば、研究者や政府が、漁業を規制する、船の航路を変えてクジラの通り道を避けるといった対策を提案できるようになる。

「一つの団体だけでは、この事態に対処することは不可能です」。ウィマー氏は、種の救済には協力が不可欠だと強調する。「現在我々は、セミクジラを絶滅の淵からなんとか引き上げようと活動しています」