ロンドン西部の高層アパート「グレンフェルタワー」で14日未明(日本時間同日午前)、大規模な火災が発生し、英警察は6人の死亡を確認した。犠牲者数はさらに増える可能性がある。これに先立ち、救急当局者は「悲しいことだが、多数の死者がいることが確認された」と述べていた。負傷者は50人以上とされ、5カ所の病院に搬送された。ロンドンのカーン市長は14日、連絡の取れない住人が「たくさんいる」と述べた。火災の原因は分かっていない。

 AFP通信によると、消防当局者は、現場に集まった記者団に「建物が大きく構造は複雑で(犠牲になった)人数を確認できない」と語った。ロイター通信は「救急当局によると負傷者50人」と報じたが、こうした多数の負傷者に死者が含まれているかは分かっていない。日本の外務省によると、邦人が被害に巻き込まれたことを示す情報はない。

 消火活動は難航し、炎が一時、ビル全体を包んだ。住人の一人は「寝ていたら誰かがドアをたたいて火事だと叫んだ。廊下にはすぐに煙が広がり、恐ろしかった」と証言した。窓から飛び降りて外に逃げる人もいたという。逃げ遅れた住人の存在が危惧され、被害は拡大する恐れがある。消防車による消火が続く傍ら、多数の救急車が現場に集まり、レスキュー隊が救助を続けた。

 火災発生の通報が当局にあったのは午前1時(同午前9時)すぎだった。このため発生は午前1時ごろとみられている。出火は低層階で起きた可能性があり、火の手は上層階へ上っていったもようだ。

 建物は1974年に建てられた。ビルの高さは「27階建て」(AFP通信)、「24階建て」(BBC放送)と伝えられ、情報は入り乱れているが、120戸が入居し、当局によると「数百人」が居住していた。

 消火が終わった部分も崩壊の恐れがある。破片が落下する危険があり、当局は周辺を立ち入り禁止にした。ただ、消防当局は14日、応急的な検査の結果、建物全体が崩壊する危険は取りあえずないと発表した。