蛍光に光るカメレオンを発見、原因も解明
皮膚を通り抜けて骨が光っていた、初めて報告
カメレオンは、体の色を変え、目をぎょろぎょろと動かし、長い舌を伸ばして一瞬で獲物を捕らえることで知られている。だが、彼らが暗闇の中で光ることはご存知だろうか?(参考記事:「カメレオンの舌、重力の264倍で加速と判明」)
このほど科学誌『Scientific Reports』に発表された新たな研究によると、カメレオンの骨が蛍光に光るという。脊椎動物の骨の蛍光発光が報告されたのは、今回が初めてだ。
暗闇の中で光る
骨を構成するタンパク質や色素などは、紫外線が当たると光を発することがある。蛍光塗料を塗った顔にブラックライトを当てるのと同じことだ。これまでの研究で、深海生物の75%は暗闇の中で光ることがわかっている。海洋生物の場合、蛍光発光はさしてめずらしい性質ではない。(参考記事:「見えてきた!深海サメの光る理由」)
しかし、陸上の脊椎動物ではめずらしく、2017年3月にアマゾンで蛍光を発するカエルが初めて発見されて話題になった。
1月15日、ドイツの研究チームが、カメレオンの骨が紫外線の下で光るという論文を発表した。彼らは、アフリカ、マダガスカルの固有種であるカルンマカメレオン属の31種160匹に紫外線を照射した。マイクロCTスキャンにより、カメレオンの骨格が明るい青色の光を発していること、この光が皮膚を通り抜けて出ていることが明らかになった。
カメレオンの顔面には、円形の小さな突起が点在している。また、その皮膚は4つの薄い層からなり、皮膚に含まれる各種の色素が、体色を変えるのに役立っている。科学者たちがカメレオンに紫外線を当てると、骨格で反射した光が皮膚を通って外に出て、顔面の突起が光った。
論文の筆頭著者で、ミュンヘン動物学収集博物館の博士課程学生であるダーフィト・プレッツェル氏は、カメレオンに紫外線を当てたときには「自分の目が信じられませんでした」と話す。「ほとんどの種の頭部で、これまで見えなかった青色の発光パターンが見られました。全身が光るものもありました」
研究チームによると、円形の突起がある部分は皮膚が薄く、紫外線が入るための「窓」になっているという。ここから入った紫外線が骨に到達して吸収され、青色の蛍光を発するのだ。
カメレオンにとっては、この光は人間が見たときよりも明るく感じられるだろう。カメレオンの生息する森には青いものがあまりないため、暗闇の中の青い光は、緑と茶色の背景の中でよく目立つはずだ。
変幻自在の体色
カメレオンの体色は、多くの因子により変化する。気温、湿度、光量のほかに、気分の変化(おそらく恐怖や怒り)によっても、色合いは変化する。オスはときに、メスの気を引いたり優位性を示したりするために、より鮮やかな色になることがある。反対に服従を示す際は、茶色や灰色に変わる。メスの体色の変化は、オスのパートナーを受け入れるか拒絶するかを示すほか、妊娠の兆候であることもある。(参考記事:「色でおしゃべり カメレオン」)
しかし、カメレオンは好きな色になれるわけでも、周囲の色を厳密に模倣しているわけでもない。縞模様や水玉模様の背景に置かれたからといって、そうしたファンキーな模様になることはできない。
カメレオンがまとうことのできる模様や色は決まっている。神経インパルスとホルモンの変化によって皮膚が伸び縮みすることで、さまざまな色とパターンを作り出している。(参考記事:「カメレオンの七変化、秘密は皮膚の小さな結晶」)
カメレオンの骨が闇の中で光る理由は、まだ明らかになっていない。円形の小さな突起が光るパターンは種ごとに異なるため、同じ種であるかどうかを見分けるのに役立っているのかもしれない。オスはメスより突起が多いことも今回明らかになり、こうした性的二形は、繁殖の準備ができた時期を知らせている可能性があるという。
暗闇の中で光る性質は、カメレオンが過剰な日光から身を守り、花粉を運ぶ昆虫をおびき寄せ、捕食者を怖がらせて撃退するのに利用されているのかもしれない。もしかすると、光を放つ陸上の動物がもっとたくさん発見される日が来るかもしれない。(参考記事:「【動画】蛍光に光るウミガメを発見、世界初」)
すご~い不思議です